陸自戦車が公道を走る!ミリタリーファン垂涎の「C経路」の見学方法とは?

戦車

 今年に入り、SNS上でやたらアップされるようになったのが、公道での戦車の目撃情報だ。といっても、むろん走行しているのではなく、トレーラーに乗せられて移動するシーンではあるのだが……。

 そんななか、北海道千歳市にある陸上自衛隊第7師団の90式戦車3両を含む、装甲車両11両が苫小牧市の苫小牧西港から東千歳駐屯地(千歳市)までの公道約30キロを走行したことが報じられたのは、去る9月1日のこと。

「これは、機甲部隊を遠隔地に展開する長距離機動訓練の一環なんですが、陸自の戦車が訓練で苫小牧市内を走るのは2年連続。11両は前夜に釧路市内の公道を走行し、釧路港からフェリーに乗船。翌日の午後には苫小牧西港に到着し、夜9時を待って港を出発。東千歳駐屯地に向かいました。沿道では市民団体による抗議活動もありましたが、陸自の主力である90式戦車など各車両が連なって走行するとあって、沿道には多くのミリタリーファンが詰めかけていましたね」(北海道在住のカメラマン)

 戦車は、振動や騒音対策のため無限軌道(履帯)にゴムパッドを装着。時速20〜30キロで国道などを走行したというが、実はファン以外にはあまり知られていないが、日本にも日常的に戦車が公道を走行しているエリアが存在するという。それが北海道千歳市と大分県玖珠町だ。

 前出のカメラマンによれば、北海道千歳市のwebサイトには「令和元年度C経路通行予定のお知らせ」というページがあり、

「『C経路』というのは、陸自の戦車などが東千歳駐屯地から北海道大演習場まで移動する際に通過する区間のこと。移動に際しては、部隊単位で車列を作って駐屯地を出発しますが、車列の前には戦車が通行することを知らせる先導車が走り、最後尾にも後衛車が付きます。面白いのは、戦車は低速走行で、車列の間隔が空くとその間に一般車が入ってきたり追い越されたり。もちろん、戦車もタイミングを見計らって減速したりして譲ったりしますが、さすがに戦車相手にあおってくるような猛者はいません(笑)。地元ではそんな光景が日常的になっていますね」

 一方、大分県玖珠町でも、玖珠駐屯地から日出生台演習場までのルートを「戦車道」と呼び、町のwebサイトには「戦車道における戦車等の通行予定について」として、戦車や装甲車が駐屯地から演習場まで、公道を使って移動する日程が告知されている。

 ところで、素朴な疑問だが、戦車が公道を走る場合、特別な免許や車検などは必要なのだろうか。軍事ジャーナリストが解説する。

「戦車は道路交通法上、大型特殊車両に分類されるため、大型特殊自動車免許または大型特殊免許(カタピラ限定)のいずれかが必要です。加えて戦車の運転に必要な、機甲MOSと呼ばれる自衛隊内技能認定に合格する必要があり、これは陸上自衛隊員にのみ習得が許されている技能なので、『兵器』としての戦車を運転するには、やはり陸上自衛隊員になるしか方法はありません。ただし、兵器機能を撤廃した戦車を運転するのであれば、民間人でも大型特殊自動車免許または大型特殊免許(カタピラ限定)のどちらかで運転できます。よく、オークションなどで見かける砲身を切断、あるいは充填装置を使用できなくしてある戦車なら購入は可能ですが、車検を通すのが極めて難しいため、海外から“中古戦車”を購入しても動かすのではなく、コレクションとして陳列するだけ、という使い方が大半だと思いますね」

 さらに、車検はもとより、実際の運行で問題となるのは重量で、一部の主要国道・県道には重さ指定があり、そういった道路は25トン以上の車両の通行を制限されているのだとか。

「重量44トンの10式は戦車にしては軽量なため、主要国道8割での走行が可能ですが、やはり走行の際にはアスファルトへのダメージを低減するため、通常はカタピラにゴムクッションを貼っての移動となります。そういったハードルの多さが、戦車を所有したり、ましてや運転することが難しい理由の一つなんです」(前出・ジャーナリスト)

 ちなみに、10式戦車は全長約9.5m×幅約3.3m×高2.3m、重量は約44トン。水冷4サイクルV型8ターボ付きディーゼルエンジンを搭載。最高速度は時速70キロ以上だとされるが、

「製造しているのは、三菱重工業で販売価格は約9億5000万円。ただし、戦車は兵器であるため民間人には販売していません。また、自衛隊の装備は使い終わるとすべて処分され、払い下げもないので、だからこそ、備品などのプレミアム性が高い。まあ、戦車を買おうと思う人はそうそういないでしょうが、もし、間近で見たいと思ったら北海道か大分を訪ねるのも手だということです」

 公道を走る戦車を一目でいいから見たい……。そんな方は自治体のwebをチェックしたうえでGoToキャンペーンを利用して出かけてみては?

(灯倫太郎)

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