「仲間を裏切る」のネイティブな表現は? 在米医師が教える生きた英語

 コロンビア大学医学部外科教授であり、ニューヨークのトップドクターとして知られる加藤友朗医師。『ネイティブを動かすプレミアム英会話50』(新潮社)の著者でもある加藤氏が日常で出会う“ネイティブ英語”を紹介。

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 医療の世界で使われるinformed consentは「説明を受けた上での同意」と訳されることが多かったのですが、informedを「説明を受けた」と訳すのは間違いです。informedを英語の辞書で調べると“having knowledge”という訳が出てきます。つまりinformedは説明を受けたかどうかとは無関係で「知識を持っている」という意味なのです。informedが受け身の形になっているのでinformed consentのプロセスでは説明を与えることがその趣旨だと勘違いしている人がいますが、それは間違いで、理解しているかどうかが鍵です。僕はinformed consentは「理解した上での同意」と訳すべきだと思います。

 さて今週の表現はthrow someone under the bus。直訳すれば「(誰かを)バスの下に投げ込む」ということになります。なんとも物騒な表現ですが、これは「仲間を犠牲にして自分の利益を得る」「裏切る」「切り捨てる」という意味です。仲間を裏切ることがなぜバスの下に投げ込むという表現になったかはよく分かっていないようですが、バラク・オバマ氏が勝利した2008年の大統領選挙の際にメディアがよく使うようになって広まったと言われています。

 throw someone under the busの使い方の例は“I don’t want to throw anyone under the bus.”「私は誰も切り捨てたくない」や、“The governor threw his chief of staff under the bus after the issue became a scandal.”「知事はその件がスキャンダルになった後で首席補佐官を切り捨てた」などです。

 では練習問題です。(答えは漫画の下)

1.日本語に訳すと?

“My manager threw me under the bus by blaming me for his mistake.”

2.throw someone under the busを使って英語で言うと?

「現政権(current administration)は国民を犠牲にしようとしてはいまいか。」

加藤友朗(かとうともあき)
コロンビア大学医学部外科教授。東京大学薬学部、大阪大学医学部を卒業後渡米。世界初の多臓器摘出体外腫瘍切除手術を成功させ、ニューヨークのトップドクターとして世界中から集まる患者の命を救う。『ネイティブを動かすプレミアム英会話50』(新潮社)が発売中。

「週刊新潮」2021年7月15日号 掲載

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