「ウチの子、好き嫌いがバラバラなんです」 3姉弟を育てる漫画家が山本ゆりさんに相談

「ウチの子、好き嫌いがバラバラなんです」 3姉弟を育てる漫画家が山本ゆりさんに相談

三本阪奈×料理コラムニスト山本ゆり

いま注目の“ギャグ漫画”がある。関西在住、3児の母でもある漫画家・三本阪奈さんが、自由気ままな5人家族の笑いあふれる日常を描く「ご成長ありがとうございます〜三本家ダイアリー〜」だ。
最新刊は『たべざかり編』。ブログ「含み笑いのカフェごはん『syunkon』」でレシピやコラムを発表する人気料理コラムニストの山本ゆりさんと、家族あるあるや献立の悩みについて語り合ってもらった。


■子どもたちの性格がそっくり


「ご成長ありがとうございます」には、長女ケイ(小5)、次女フミ(小2)、長男ユキ(年少)の3人お子さんたちが登場する。三本家同様、山本さんも3人のお子さんがいる5人家族で、しかも同じ姉弟構成だ。

山本ゆりさん:子どもたちの性格も似てるんです。長女のアミはしっかりしてるけど変わり者で、三本さんのところのケイちゃんにそっくり。しかも、ひとつくくりの髪形まで同じで、漫画を読んだアミは「これ私やん」って言ってます。フミちゃんのちょっと抜けてるようなマイペースな性格は次女のナミに似てて、夫もちょっと三本さんの旦那さんに通じるようなところがある。だから、どの話を読んでも共感出来てめちゃくちゃ面白いんです。私だけが三本さんみたいに穏やかなお母さんじゃないんですけど!

三本阪奈さん:私も穏やかじゃなくて結構怒るんですけど、子どもにはなぜか全然怖くないって言われますね……。

山本さんのブログは、結婚してすぐの頃からずっと読んでたので、そんな憧れの方と対談出来ることが信じられないくらい嬉しいです。特に、おばあちゃんとの思い出話とか、ブログに載せる用じゃない食事を紹介する「実際のごはんシリーズ」の包み隠さない感じを見て、人柄にもすごく惹かれていました。

私は料理が苦手なので、子どものお誕生日会とか家に人を招く時は、サラダやパスタ、ハンバーグとか全部山本さんのレシピで作ってます。簡単なのに、料理上手だと思ってもらえるから、本当に助かってるんです。


■〈これは子育て漫画じゃない〉


先月16日に発売した『ご成長ありがとうございます たべざかり編』の帯には、山本さんから寄せられた〈これは子育て漫画じゃない、読むと力が抜ける最高の家族のギャグ漫画です。大好き三本家!〉とのコメントが掲載されている。

三本さん:〈これは子育て漫画じゃない〉って言い切ってもらえたのが、本当に感動するほど嬉しかったんです。もちろん子育てしてる方に共感しながら読んで頂けることが、まず一番ありがたいことではあるんですが、全世代に届くギャグ漫画を描きたいとずっと思っていました。おこがましくて自分では言えないほど大きいそんな目標を、山本さんが帯のコメントに書いてくださったんです。

山本さん:子育て漫画も大好きでよく読むんですけど、『ご成長ありがとうございます』を読んだ時に、これは子どもとか家族のことを題材にしてはいるけれど、何よりめちゃくちゃ笑えるから、ギャグ漫画だなって率直に思ったんです。10歳のアミもいつも爆笑しながら読んでますし、全世代の人に読んでほしい!!って思って書きました。

三本さん:アミちゃんが面白がってくれてるのが嬉しいです。うちの子たちは「マンガ描くの頑張って!」って応援してくれるんですけど、たまに「もっとこうした方が面白い」とかってちょっと厳しいアドバイスもあるんですよね。

山本さん:笑えるけど感動もして泣けるところがすごいと思ってて、『たべざかり編』の「フミの待ち合わせ」で、フミちゃんが休みの日に友だちと遊ぶ約束をしたのに、相手が待ち合わせ場所に来なかった話すごく泣けました。子ども同士の口約束なんで、こんなことはしょっちゅうあるんですよね。漫画の中での、約束を楽しみにしながら健気に一人で待っていたフミちゃん。傷ついてることを悟られたくない気持ち。それをわかっているお母さんが、ひとり待ちぼうけのフミちゃんに何も聞かずに「アイス買いに来てん、フミも行く?」ってさりげなく声を掛けるところがすごく優しくて、その後のフミちゃんの涙のコマ含め、全部まとめて好きでした。

三本さん:これくらい年ごろの子どもにはよくあることで、別に誰が悪いわけじゃないんですよね。うちの子も、これまで友だちとの約束を忘れてしまったことがあるかもしれない。漫画にしたのも、自分の子が可哀想だってことを言いたいわけじゃ決してなくて、子どもってこういうことあるよねって思って欲しかったんです。

実は、例えばこういう話も、少し前までは漫画にするのをためらっていたんです。ギャグ漫画としてただただ笑って欲しいのに、子どものこととなると人それぞれ考え方が違うから、例えば「そんなやり方は間違ってる」とか思う人もいるかもしれない。これまでは批判されないってことに重きを置いて、その上で漫画に出来るネタを探していました。でもそれだと描けることを減らしてしまっているなって気づいて、最近になってやっと自分が描きたいものを描けるようになってきたと思います。


■ピザのレシピで傷つく人もいるかもしれない


山本さん:1冊目、2冊目ももちろん面白かったですが、3冊目が特に魅力的だったのはそのせいだったんですね。他には、ユキくんの出産のときに、家族が立ち会った話はアミのお気に入りで、「ここ見た?」って見せてくれました。三本さんがいきむために旦那さんをヘッドロックしたところに、めちゃくちゃウケてました。

三本さん:その話もちょっと思い切って描いた話だったので、嬉しいです。私は、山本さんのレシピだけじゃなくて、エッセイも大好きで、めちゃくちゃ笑えるけど、最後には励まされる。特に『syunkon日記 おしゃべりな人見知り』(扶桑社)は、あんな風に自分の考え方や内面に踏み込んで文章を書くのは、どれだけ大変なことなんだろうと思いながら読んでます。色んな事情を持った読者がいるってことを想像して、ものすごく配慮して書かれているんだろうなと思いました。

山本さん:後半に重い話を書きすぎて、最初の方の料理の話何やってん! って感じの本ですよね(笑)。毒にも薬にもならないことを書くのはやめようっていうのは、本を作るときに決めてたことなんです。当たり障りのないことを書いて100人に共感してもらうなら、誰か1人に思い切り刺さる作品にしたい。もちろん読んだ人を傷つけてしまうようなことは、避けられるなら出来るだけ避けますけど、それが第一の目的じゃないよなとも思います。

よりたくさんの人の目に入るブログやSNSの発信はもっと難しくて、絶対に誰からも批判されたくないと思ったら何も書けなくなってしまう。例えばピザのレシピを載せたとして、ピザに嫌な思い出がある人は、それだけで傷ついてしまうかもしれないじゃないですか。世の中に発信する限りは、絶対に誰にもマイナスな感情を抱かせないことは出来ない。そうやって割り切りながらも、ブログは投稿した後に、気になったところを何回も修正しています

三本さん:ゆりさんも悩みながらやっているって分かって、すごく安心しました。家族や子どものことを発信するのは、特に難しいですよね。当たり前ですけど、毎日生活していると色んなことがあって、良いことばかりあるわけじゃない。特に長女が小学校高学年になると、どんどん賢くなって大人びてくるから悩みも変わるし、ギャグとして漫画に描けないようなことも増えてくるんです。その分、末っ子のユキはめちゃくちゃ面白い年ごろになってきました。

山本さん:三本さんの漫画は、3人の子どもたちに同じだけスポットが当たってるのがすごいんですよ。読むと3人全員が好きになる。アミは「ケイちゃんは良いな、漫画にしてもらえて」って言ってます。三本さんのお子さんが中高生くらいになった時に漫画を読んで、親は自分のことをこんな風に見てくれてたんやって振り返ると、きっとすごく嬉しいでしょうね。

三本さん:私は最初、フミのことを漫画にしてインスタに載せたんですよ。フミは幼稚園に入る前から、一風変わってて自分の世界がある方だから、ちょっと心配になることもあったんです。それを漫画にしたら「フミちゃん面白い」「このまま大きくなって欲しい」ってすごく面白がってもらえて、そのおかげで、私自身がこれがフミの個性なんやって心から思えるようになりました。そこで火がついたから、今でも子どものことを漫画に描き続けてるんやと思います。


■お肉が好きな長女とひき肉しか食べない次女


三本さん:山本さんに聞きたいことがいっぱいあるんですけど、日々の疑問というか悩みを相談しても良いですか。うちは、次女のフミがお肉が嫌いでひき肉しか食べないんです。逆に、長女のケイはお肉が一番好きなんです。姉妹で好みが違うから、毎日のメニューを決めるのが大変なんですよ。

山本さん:うちも全く一緒で笑いました。次女のナミはひき肉以外は好んでは食べなくて、長女のアミはお肉が好き。だから、1度の食事で2人とも満足させられない日もあるって割り切ってます。「今日何食べたい?」って子どもに聞いても違う答えが返ってくるから、ある日はアミに聞いて、次の日はナミに聞いて、どっちかの嫌いなものがあったら、それだけよけて出す(笑)。

三本さん:そうすると、炒め物の肉をよけてピーマンだけになったりして、めっちゃひもじく見えませんか。

山本さん:ひもじくなりますね。でも、その日のおかずは他にもあるし、好きなものを出す日もあるから、1品くらいしょうがないって割り切ってます。アミの好みに合わせてお肉を使った料理にして、ナミがそれを食べない時は、ナミに「今日は特別な」って卵かけご飯にしてやるとめっちゃ喜ぶんですよ。

三本さん:子どもって卵かけごはんめっちゃ好きですよね。長男のユキは、肉も野菜も食べるけど、それとは別にめっちゃ卵かけごはんが好きなんで、誕生日はいくらでも卵かけごはんを食べても良いよ って言ったら、すごい喜んでました。料理は毎日のことだから、その一回で完璧と思えなくても良いんですよね。山本さんのところも一緒だって聞くと、すごく安心できました。

三本さんが今回の対談の様子を描いた描きおろし漫画は、「くらげバンチ」に掲載中。

デイリー新潮取材班

2021年10月22日 掲載

関連記事(外部サイト)