交際の先まで進めないのはなぜなのか婚活カウンセラーに相談してみた

 57歳からの再婚を目指して婚活に勤しむフリーライター、石神賢介氏。実は複数回のデート、交際といってもよい段階に進んだことは少なくない。が、その先に進めない。

 誰が悪いのか? もちろん「お前が悪い」と言われればそれで終わりなのだが、もう少し客観的なアドバイスを受けてみたい。そう考え、カウンセリングを受講することにしたという。

(文中の紹介文、登場人物はプライバシー保護の観点から一部を変更してあります)


■婚活カウンセリングを受講


 婚活を重ね、コンスタントにデートはできている。婚活を本気で始めた40代後半から十数年の間で、交際まで発展した、つまり男女の関係になり旅行を楽しんだり週末同棲をしていたりというケースも2度や3度ではない。

 50代末期、婚歴アリ、フリーランス、容姿は並以下……にしては健闘している自負はある。しかし、結局はいつも別れている。肝心の成婚にはいたっていない。どこがダメで結婚まで進まないのか? どこを改善すればいいのか? なぜ婚活の成果が上がらないのか? わからなくなってきた。自分を客観視できないのだ。

 そんなとき、ネットで心惹かれるキャッチコピーを発見した。

「イメージアップ講座 あなたの魅力を10倍にする! 男性編」

 婚活カウンセリングへの誘いだった。自分のささやかな魅力を増幅してくれるらしい。キャッチにある“10倍”の根拠がなんなのかはわからないが、女性の目からどう見られているのか、知っておきたい。そう思って申し込んだ。

 この講座でちょっと気になったのは、主催が大手結婚相談所ということだ。おそらく入会を勧められるだろう。でも、営業をかわすくらいの社会経験は積んでいる。

 訪ねてみると、講座は2部構成だった。

 前半の約40分は体形や肌の色による服装のアドバイス。講師は40代くらいの女性で、元モデルだという。優しそうな表情と口調のアドバイザーだ。

 参加している男性は5人。ほかの4人は30代くらい。全員まじめそうだ。

 女性講師は一人一人丁寧にアドバイスしてくれる。頭が大きく、首が短く、重心の低い僕は、カジュアルなセーターやトレーナーは避け、ブリティッシュ系のジャケット、ラインの細いパンツ、スニーカーよりも革靴がいいそうだ。言われてみると、いつもの自分の服装だ。講師も僕の服装を見て「いまのままでよろしいかと思います」と言った。

 そして、地肌が比較的黒いので、ブラウン系のジャケットやコートが合うという。ふだんはブラックやネイビーが多いことを伝えると、ブラウン系も試すことを勧められた。

 想定内のアドバイスがほとんどで、特に参考になる内容ではなかった。


■働きたくない女性が多数派?


 後半は、部屋を移動して、前半とは別の婚活カウンセラーによる一対一の個人面談だった。パーテーションで仕切られて10ほどのブースがあり、そのなかの一室に案内された。テーブルの上にプロフィール用紙があり、身長、体重、出身地、職業、年収、学歴、求める女性の年齢層……などの記入を求められた。

 隣のブースで女性カウンセラーが女性相談者に対応する声が聞こえる。

「もう3カ月会っていますが、結婚を申し込まれる雰囲気がありません。私のことをどう考えているのかわからなくて、とてもつらいです」

 かなり切羽詰まった相談だ。

「3カ月でどのくらいまで関係は進まれていますか? キスはされましたか?」

 カウンセラーがストレートに聞く。

「はい。お泊まりもしています」

 女性相談者も躊躇せずに答えている。これがふつうなのか。全部話せるほど信頼できるのか。

「でも、一度も結婚の話題にはならないのですね?」

「はい」

「あなたから話されてみては?」

「嫌われないでしょうか?」

 隣のカウンセリングがいよいよ佳境にさしかかろうかというとき、僕の担当カウンセラーが来てしまった。ヤマムラさん(仮名)という女性だ。30代前半くらいの綺麗な方だった。

 どんな婚活を体験したか尋ねられ、婚活パーティー、結婚相談所、婚活サイトと答えた。バスツアーやハイキングや寺社婚活は面倒なので省いた。

「パーティーでカップルになったり、相談所でお見合いをされたりは?」

「しました」

「でも、うまくいかれなかった?」

「交際はできますが、その先に進めません。この人と結婚したい、という気持ちに発展しないんですよ。相手の態度から察するに、女性も同じだと思います」

「どんな女性をお探しでしょうか?」

 その質問で、どんな人と出会いたいのか、自分の心にあらためて問いかけた。趣味とか年齢とか見た目とか理想はあれこれ言えるけれど、一番大事だと思う点を言った。

「頑張って生きている女性が好きです。あとは、洗練されたフレンチでも、街角のラーメン屋でも、おいしそうに食べる人でしょうか」

 すると、ヤマムラさんはかすかに困った表情で言った。

「それは難しいリクエストですね」

 そんな特別な条件とは思えないが……。

「難しいですか?」

「はい。私どもの結婚相談所では結婚しても頑張って働きたい女性は少数派です」

「え――――――!」

「私どもの相談所に登録している女性の多くは、経済力のある男性を見つけて、無理をせずに人生を歩いていきたいと考えています。積極的で人生を自分の力で切り拓いていくタイプの女性はすでにパートナーを見つけています」

「では、僕は存在しない女性を探しているということでしょうか?」

「もちろんゼロではありませんが、ほとんど出会えないと思っていただいてまちがいありませんね。できれば仕事をしないで子育てに専念したいかたが多数派でしょう」

 結婚相談所に登録している女性の多くが仕事をやめたいと思っていることをいまさらながら知った。夢のない話だが、これが現実なのだと自分に強く言い聞かせた。

■カウンセリングは自分の気持ちの整理のチャンス


 婚活カウンセラーのアドバイスで、婚活市場の様子はわかったけれど、個人的な参考にはならなかった。

 思うに、アドバイスが実は画一的だからなのかもしれない。人間は百人百様。求める相手も違う。それを型にはめて指摘しようとすると無理が生じる。

 婚活アプリのサイトや結婚相談所では“婚活のプロ”“結婚のプロ”を自称して、アドバイスする人が少なくない。

 しかし、どこまであてにしていいのだろうか。そもそもこの場合の“プロ”の基準は何なのか、あいまいだ。プロだとする理由について、しいて言えば、婚活をビジネスにしているということくらいだろう。必ずしも人生経験が豊富ではないようだし、資格制度もない。実際の婚活は厳しい。相手に罵倒されることもあれば、油断すると高額なプレゼントをさせられそうにもなる。女性の場合、妻子持ちの男にだまされるリスクもあるだろう。

 ただし、カウンセラーと会話を交わすことには、別の価値を感じた。自分の気持ちの再確認だ。今やっている婚活について誰かと率直に会話を交わすと、しゃべることによって、自分自身の気持ちを整理することができる。

 婚活パーティーや婚活アプリや結婚相談所で多くの女性に会うと、自分がどんな相手を求めているのかがわからなくなってくる。どんな相手を求めているのか。どんな人生を送りたいのか。どうしても譲れない条件は何なのか。話すことで整理され、再確認できるのだ。

 カウンセリングそのものには期待せず、ただし、人と話すことで自分を整理する。そういう目的ならば、カウンセリングを受ける価値はあると感じた。

 日本の婚活システムは成熟している。結婚相談所をはじめ、婚活パーティーや婚活アプリでも、頑張れば、チャンスを得ることができる。実際に、40代以降の婚活によってすでに数多くの女性と食事をしたり、お茶をしたり、お見合いをした。ドライブにも行ったし、旅行にも行った。

 しかし、そこから先が難しい。この人と一緒に暮らせるだろうか? 一緒に暮らしてくれるだろうか?

 半世紀以上生きていると、一度結婚したことも含め、恋愛に関して膨大な失敗体験があるので、自信が持てないのだ。


■婚活ツールで交際にいたるまでのポイントとは


 ここで、婚活ツールの三大メインストリーム、婚活アプリ、婚活パーティー、結婚相談所で成果をあげるポイントについて整理しておきたい。

 ただし、これらは成婚へのアドバイスではない。筆者自身成婚にいたっていないのだ。

 あくまでも、最初の出会いから次のデートなどに進んでいくためのヒントだと思ってほしい。そして、あくまでも、主観だ。

 それでも、いくつかのことを徹底すれば、くり返しになるが、50代末期で、婚歴があり、安定収入のないフリーランスで、容姿も並以下の筆者でもそれなりの人数の女性と先へ進み、交際に至ったこともあるのだ。今回、婚活熱がぶり返す以前、40代の頃の婚活体験は『婚活したら、すごかった』にありのまま書いたが、約10年間で、会社員をはじめ、女優、モデル、ドクター、CA、銀座のホステス、代議士秘書、看護師などと交際までは進んでいる(もちろん、その代わり、数えきれないほどふられた)。

「そんなやつの言うことにどんな意味があるのか」というのは、婚活の場で悩んだことのない方の考えだと思う。数々の現場で僕は、客観的に見て僕よりもうまくいきそうな要素があるのに、ちょっとしたことでその場で撃沈する例を見ている。以下はそういう人と、これから婚活を始めようと思っている人に向けての基礎的な情報と思ってほしい。

◎婚活アプリ

(1)登録者が多いサイトを選ぶ。人の好みや相性は多様なので、登録人数が多ければ多いほど、チャンスも多い。
(2)低価格のサイトは避ける。金額が安ければそれだけ登録者の真剣度も低い。
(3)プロフィールは全項目書く。職業、学歴、身長、婚歴、子どもの有無、男性の場合は収入欄などが未記入だと、不信感を持たれて、会ってもらえない。
(4)写真は必ず掲載する。言うまでもなく、顔のわからない相手と会おうとする人はいない。なお、できるだけ笑顔のカットを載せる。
(5)気に入った相手にアプローチするメッセージ文には、相手のどこに魅力を感じたのかを具体的に書く。
(6)数多くアプローチする。仕事での営業同様、機会を増やさなければ、成果も少ない。
(7)根気よくメッセージを送る。アプローチに相手が応じてくれて、いわゆる“カップリング”しても、必ずしも会えるわけではない。日にちを空けず、誠実に、メッセージを送り続ける。その際、相手に興味を持っていることを示すために、さしさわりない程度の質問を心がける。
(8)よほど強いポリシーがない限り、食事は割り勘にせず男性が持つ。
(9)常に複数のレストランやカフェの候補をストックし、相手の苦手な食べ物を確認して、食事の提案をする。
(10)ナンパ目的の男性、高額なプレゼントを求める女性が一定数いることを前提に活動する。会話していて怪しいと感じたら、速やかに交流を断ち、サイトに報告する。

◎婚活パーティー

(1)会費が高めのパーティーを選ぶ。低価格のパーティーは真剣度が低い。女性参加者無料、あるいは女性の参加費500円といった低価格パーティーは避けること。
(2)会話、対人関係に自信があるならば、参加人数が男女各10名以下のパーティーを選ぶ。少数タイプのパーティーは、概して一人との会話時間が長めに設定されている。自分の長所が生かせる。
(3)会話や対人関係よりも容姿に自信があるならば、参加人数の多い男女各20人くらいのパーティーを選ぶ。一人との会話時間が短めに設定されているからだ。第一印象で勝負する。
(4)自分に合った街で開催されるパーティーを選ぶ。自分が会社員ならばオフィス街、専門職ならばそういうオフィスが多い街だと、価値観の近い相手と出会う確率が上がる。
(5)ホテルや品のいいサロンで開催されているパーティーを選ぶ。雑居ビルの一室で行われるようなパーティーは避ける。概して会場にふさわしい参加者が集まっている。
(6)清潔な服装を心がける。髪を整え、できればジャケットを着用し、靴も磨いて参加する。ブレスケアやガムで口臭を予防し、鼻毛を切り、爪も切る。
(7)一人で参加する。友人と一緒だと、相手に避けられる傾向がある。また、好みの相手が友人と競合するリスクも生じる。
(8)会話は相手の目を見て、身振り手振りも交える。真剣度が高く、健康的で、活発なイメージを与える。
(9)自慢話はせずに、相手の話をきちんと聞く。
(10)パーティーにも、ナンパ目的の男性、高額なプレゼントを求める女性が一定数いることを前提に活動する。会話していて怪しいと感じたら、速やかに交流を断ち、サイトに報告する。

◎結婚相談所

(1)登録者数が多い会社を選ぶ。会員が少ない会社の場合、出会いのチャンスが少ないことを覚悟する。会員数の少ない相談所は「会員数が多いからといって出会いが多いとは限りません」と言うが、その言葉を信じてはいけない。会員数の多さは明らかに出会いの機会の多さにつながる。
(2)会費が安過ぎる会社は避ける。安ければそれだけケアもされないことを覚悟する。
(3)プロフィールは全項目書くように求められるが、さらに、できるだけ具体的に書く。
(4)気に入った相手にアプローチするメッセージ文には、相手のどこに魅力を感じたのか、具体的に書く。
(5)相手の写真はよりよく見せるための加工が施されていることを前提で見る。
(6)数多くアプローチする。仕事の営業同様、機会を増やさなければ、成果も少ない。
(7)担当カウンセラーと積極的にコミュニケーションを取り、よりよい情報、よりよいサービスを受けられるように、自分の婚活が有利に展開することを心がける。
(8)お見合いの際、スーツを勧める相談所が多いが、自分に似合う服装をよく考えて選ぶ。スーツが似合えば、もちろんスーツで臨む。
(9)ナンパ目的の男性、高額なプレゼントを求める女性が一定数いることを前提に活動する。怪しいと感じたら、速やかに交流を断つ。

 これらはどれも当たり前だと感じるかもしれない。特に恋愛や結婚であまり困ったことのない方からすれば「何をお前は当たり前のことを偉そうに言っているのだ。成功していないくせに」という感じだろう。

 しかし、婚活パーティーの参加者を眺めると、実践されていないケースが多い。自分自身なかなかうまくいかずに、周囲の意見に耳を傾けて、自分を顧みて、態度、言葉遣い、服装、髪型、生活習慣……など一つ一つ見直している途上だ。

 当たり前のことを当たり前に行うことによって、チャンスは広がる……と思う。

石神賢介(イシガミ・ケンスケ)
1962(昭和37)年生まれ。大学卒業後、雑誌・書籍の編集者を経てライターになる。人物ルポルタージュからスポーツ、音楽、文学まで幅広いジャンルを手がける。30代のときに一度結婚したが離婚。

2021年2月6日 掲載

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