ワイルドなルックスなのに、イクメン!? 恐竜の知られざるロマンスを覗き見

ともに死を迎えたとされる、カーンの雄(左)と雌の化石。まさにロミオとジュリエット!

『恐竜博』といえば「夏休みに親子でわいわい」のイメージだけど、週刊女性は大人の楽しみ方を提案したい! 

 最後の時を一緒に迎えたり、母性あふれる子育てしたり、これまで知られてこなかった恐竜の“人間的”な素顔を見てきた――。

■■実は恐竜はロマンチストだった!? 

「うちのダンナもこれくらい子育てに積極的だったら! ■まさか恐竜のほうが子育てに積極的だったなんて情けない(笑)。子どもだけじゃなく、ダンナも自由研究の題材にしてほしいくらい」

「よい母親トカゲ」が学名由来のマイアサウラ。恐竜が子育てをする可能性を初めて示した

 と、苦笑いを浮かべるのは30代のママさん。別にファミレスで、パパの愚痴をこぼしているわけじゃない。■ここ東京・上野の国立科学博物館では現在、『恐竜博2019』が開催中とあって、多くの家族連れでにぎわっている。

 いつもなら「恐竜カッコよかった!」「ものすごい迫力で驚いた」なんて、夏休み中の子どもたちの感想が次から次に聞こえてくる恐竜博。

 ■でも今回は、子どもの付き添いのママも思わずうなってしまう、恐竜の意外なヒミツが明かされているのだ。

 その最たる例が、冒頭のママさんの感想。■“超コワモテ”イメージが強い恐竜だけど、中にはなんと育児をしていたとされる“イクメン恐竜”がいたというからビックリ!

「■恐竜博2019では、子どもの恐竜や抱卵など、恐竜の子育てといった部分にも焦点を当てているため、女性が見ても楽しめます」

 そう太鼓判を押すのは、監修を務める同館標本資料センターの真鍋真さん。■例えば、オヴィラプトル類と呼ばれる恐竜は、オスが巣の上に座って卵を守り、自分の体温で成長を促進していた可能性が高いという。

恐竜研究の第一人者でもある真鍋さん

 現生生物ではペンギンのオスも同様の行為をするのだけれども、見た目がキュートなペンギンならともかく凶暴そうな恐竜、■しかもオスが子育てに参加していたなんてギャップ萌え。

■ “不良なのに席を譲る親切な人”みたいでズルい……。

「恐竜は、爬虫類のように卵をたくさん産んで、子どもの世話はしないと考えられていたのですが、■鳥類のルーツとなるような恐竜に関しては、翼を使って抱卵していました。

 ■現代の鳥類の行動の多くは、恐竜から引き継いでいたことが次々と明らかになっています」(真鍋さん、以下同)

 恐竜のイメージを覆すような驚きの発見は、これだけではない。 

■恐竜のロマンス劇場

カーンは全長1・8mのオヴィラプトル類。翼をもった、鳥にも似た恐竜

「カーン」という恐竜のオス、メス2体の化石が展示されているのだが、■これは日本初公開の“化石界のロミオとジュリエット”と呼ばれるカップル。

 なぜ、そう呼ばれているかというと採掘時、■わずか20cmの距離で寄り添うようにして発見されたのだ。恐竜にもそんなロマンチックな感情があったの!?

「■砂嵐のようなものに巻き込まれて、一緒に死んでしまったのではないかと言われています。生前の関係はわからないのですが(笑)、一緒に死んでしまったことは事実」

 ■“2人”が本当に愛し合っていたかはカーンのみぞ知るところだが、太古に非業の死を遂げた1対の恐竜を、7500万年もの時を超えてお目にかかれるだけでもロマンチック! そこに愛があったと信じたい!

 また鳥類の祖先であることを考えれば、■翼を使っての求愛をはじめとして、愛を語り合っていたのかもしれない。

 ロミオとジュリエットの距離を見ていると、そんな妄想が止まらなくなりそう。

 もちろん、イクメン恐竜やロマンチスト恐竜以外にも、恐竜博には歴史を塗り替えるような貴重な恐竜たちも集う。

「恐ろしい手」と名づけられた、大迫力の前あしを持つデイノケイルス。「謎の恐竜」とされたが、全身骨格を世界で初めて復元

 中でも、本展で世界初公開となる、■“恐ろしい手”を意味する「デイノケイルス」の全身復元骨格は圧巻。

 特徴的な前あしの長さだけで2・4m(!!)とあって、ひと飲みならぬひとつかみされそうな特大インパクト!

 さぞかし“暴君”ティラノサウルスにも負けず劣らず、と思いきや草食傾向の強い雑食性だったというから、■これまた“大男なのに食が細い”みたいなギャップが。

■ 恐竜にもいろんなタイプがいるんだな〜。

■高い社会性が存在した恐竜の世界

 また、■日本の恐竜研究史上最大の発見と言われる、骨格の8割以上がそろう恐竜「むかわ竜」の実物化石と、全身復元骨格の展示も大きな見どころ。

 床面に置かれた化石をくまなく見られるように、天井にミラーを配置するなど展示にも工夫が施されている。こちらも地元の北海道むかわ町以外では初公開とのこと。

日本が世界に誇るむかわ竜。現在、18道県から骨や歯、卵などの国産の恐竜化石が発見されている

 今回の「恐竜博2019」は初めてづくしの展覧内容があふれているので、恐竜初心者から、愛好家まで広く楽しめるスポットになっている。

「■恐竜の中にも、高い社会性が存在していたことが明らかになりつつあります。どこまでが恐竜で、どこからが鳥類なのか、その境界線がわからないくらい連続的な進化があったんですね。

 ■恐竜が進化したように、恐竜博も進化しています。ぜひ、新発見を目撃しに訪れてください」

 弱肉強食の世界だけじゃない。恐竜にも人間に負けない(!?)■個性豊かな生態と暮らし、恋して、生んで、育てる“愛”があった。

 子どものためだけではない、■大人の恐竜博に足を運んでみては?

(取材・文/我妻弘崇 撮影/渡邉智裕)

■特別展『恐竜博2019』
上野・国立科学博物館にて10月14日(月・祝)まで開催
開館時間9:00〜17:00 金曜・土曜は〜20:00
※入館は各閉館時刻の30分前まで
入場料(税込み)一般・大学生1600円、小・中・高校生600円
休館日 9月2日、9日、17日、24日、30日
その他お問い合わせ、詳細は
電話 03-5777-8600(ハローダイヤル) https://dino2019.jp/

関連記事(外部サイト)