アイスにピラニア、パイナップルまで!人気の “映えラーメン” を実食調査

珍ラーメン甲子園

■「2011年、東日本大震災の影響で東京でも計画停電が行われ、調理が満足にできない中、たくさん生まれたのが加熱を必要としない冷やしラーメンでした。具材にグレープフルーツをのせたり、さまざまな創作ラーメンが生まれるきっかけになったと思います」(本谷亜紀さん)

 1996年ころ、『行列のできるラーメン特集』などテレビ番組でラーメンが注目されはじめた。鶏がらスープの王道ラーメンから魚介スープへ人気は移り、2002年には量の多さで有名な「二郎」の暖簾分け店舗の出店。

 2005年には鶏白湯など個性的なラーメンが台頭してきた。そして今、見た目のインパクトや想像を超えたトッピングのラーメンが一部の層に好まれているという。

■見た目はいいが味は??

 そんな変わり種ラーメンの台頭について教えてくれるのは、女性ラーメン評論家の本谷さん。ラーメンといえば男性がひとり黙々と食すイメージがあるのだが……。

「おしゃれラーメンが出てきてから女性が入店することの敷居が下がりました。東京・麹町にある『空の色』の“ベジタブルポタージュラーメン”はスープがにんじんのピューレを使用していて野菜もたっぷりでパスタに近いです。これも変わり種ラーメンのひとつかもしれませんが、見た目がとにかくおしゃれです」

 写真映えするラーメン、変わり種のラーメンはSNSで拡散され話題を呼ぶ。見た目はいいが肝心の味はどうなのか……。

■「限定ラーメンとか面白いラーメン、変わったラーメンはそもそも作るのが難しいです。変なラーメン屋さんが乱立しない理由のひとつでしょう。画家のピカソだって肖像画がうまかったように、定番のラーメンがおいしいお店だからこそ変わり種のラーメンもおいしいんです!」

 実際に食べてみないとわからない。ということで、週刊女性とラーメン評論家の本谷さんが厳選した珍ラーメン全8店舗をのぞき見隊が実食レポで一挙にご紹介!

■スープが色鮮やかなブルーハワイ色 鶏清湯 青

吉法師の鶏清湯 青

 渋谷に人気の変わり種ラーメンがあるという。そのメニューは……青いラーメン!?

 青色は食欲を減退させるといわれ、あまり料理には使われないと聞くが……。なぜ青いラーメンを提供するようになったのか店主の小泉貴央さんに話を伺った。

■「渋谷に移転してきてまだ1年たっていませんが、以前はスカイツリーの近くにお店を構えていました。オープン当初は鶏白湯のラーメンがイチ押しのメニューでしたが、周りで青いラーメンをやっていたのを見て自分もいつかは青いラーメンを作ってみたいと思い、期間限定で作ってみました」

 当初はどのような人が来店するのか想定していなかったが、女性や海外から来るお客さんが多いのだとか。今ではネットやテレビで広まり、この青いラーメンを目的に来るお客さんが圧倒的多数を占め、通常メニューになったそうだ。

 さっそく、その青いラーメンこと「鶏清湯 青」をいただいてみた。カリブ海を彷彿とさせる透き通ったブルーのスープ。鶏チャーシューと卵、三つ葉とねぎを添えたシンプルなトッピング。まるで海に浮かぶ小島のようだ。

 澄んだスープは、あっさりとしているのかと飲んでみると……がつんとした鶏のうまみが口いっぱいに広がる! 見た目とのギャップが激しいが、とてもうまい!

 この鶏清湯は、鶏白湯スープから濁りを取り除き、さらにだしを加えたものなんだとか。ちなみに、肝心の青い成分は残念ながら企業秘密。

 ガラス張りの外観はラーメン屋とは思えないほどおしゃれ。カフェ風の店内も相まって、女性も気軽に足を運びやすくなっている。

 ギャップと謎を兼ね備えた変わり種ラーメンをぜひ、ご賞味あれ!

■吉法師
(住所)東京都渋谷区神南1-11-5 ダイネス壱番館渋谷1F
(定休日)水曜日
(連絡先)03-6712-7285
(店主)小泉貴央さん

■トッピングもだしも世界最恐!? ピラニアラーメン 

期間限定のピラニアラーメン

■「期間限定でピラニアラーメンをやります!」

 今年8月、目を疑う情報を入手した。ピラニアって、あのアマゾン川にいる、狂暴といわれる肉食魚だよな……。そんな魚までラーメンにしてしまうなんて、さすがラーメン大好き日本人。でも、なぜピラニアをラーメンに?

「PR会社からの“エイプリルフールにウソをついてほしい”という依頼に応えたのがきっかけです。2017年についたウソが“ピラニア10万匹を日本に持ってきて、釣り大会をやります”というものでした」(矢野智之さん)

 炎上レベルの反響があり、じゃあ本当にやろう! と思ったそうだ。

「そして今年のエイプリルフールについたウソが“日本初のピラニアラーメンをやります”というものです。ピラニア釣りのイベントを運営した会社だからこそ信憑性の高いウソがつけると思いました。案の定、またとんでもないほど炎上しました」

 ■そして、今回のイベントのために用意したピラニアの量は300キロ、およそ2000匹! その量を日本に持ち込むために税関で12時間、足止めをくらうなど苦労があったのだとか。試練を乗り越え、ようやく日本に輸入されたのが食用ピラニアである。

 ■倉庫に運ばれた2000匹のピラニア。いざラーメン寸胴に入れて調理してみた結果、泥臭く食べられるものではなかった。そこで浅草で人気のラーメン屋さん「成田屋」とタッグを組むことに。試行錯誤の結果、生まれたのがピラニアの煮干し。この開発までにも1か月かかったそう。これでだしを取ったものを今回のラーメンのスープに使っている。

 完成したピラニアラーメンは澄んだスープの中に細麺が浮かび、器の半分以上あるフライにしたピラニアが“ド〜ン”とのっている。上からみると普通の川魚のようだが、口元を覗き込むと鋭くとがった牙が……。■白身で鯛の味に近く、弾力がありとても美味! スープも塩味ベースでピラニアのだしがきいていて、なんとも上品なお味! 

 期間限定だが、どうしても食べたい! という方はお店に連絡すると、もしかしたら出してもらえるかも?

■NINJA CAFE&BAR ASAKUSA?
(開催場所)東京都台東区西浅草3-27-14
(ツイッター)@HolidayJackjp
(連絡先)03-6231-7387
(運営会社)Holiday Jack
(代表取締役)矢野智之さん

■お好みの苦みにしてくれる!? コーヒーラーメン

 食後に飲むコーヒー。ホッとひと息つける至福の時間を想像する方も多いのではないだろうか。そんな人にピッタリの変わり種ラーメンがなんと、喫茶店にあった!

亜呂摩のコーヒーラーメン

 喫茶店にラーメン? と普通ならば疑問に思うところ。

「10年前から始めました。当時のラーメンブームに乗っかりました」

 と亜呂摩の店主・菅野庄晃さん。なんと息子さんは本格的なラーメン屋さんの店長だとか。さっそく、コーヒーラーメンを注文してみると、バナナやアイスクリームがトッピングにのっているではないか……。

 そう、これこそがコーヒーラーメンなのだ! いざ実物を前に口数が少なくなってしまう隊員。コーヒーラーメンの黒いスープを恐る恐る口に運ぶと、麺つゆのようなさっぱりとした味のあとに鼻の奥をコーヒーの香りがほのかに通り抜ける。意外とすっきりして美味しい! バナナも上にのっているサラミと一緒に食べると、生ハムメロンのように不思議とマッチしていて、こちらもグッド!

■ トッピングのアイスは溶けるとカフェオレのようなやわらかな風味になり、2度楽しむことができる。茶そばから構想を得たという麺は、コーヒーとカルシウムが練り込まれた自家製のもの。初めて食べるお客さんには、食べやすいようにスープに入れるコーヒーの量を調整しているのだとか。

 コーヒーラーメンの評判は日本だけにとどまらず、さまざまな国からお客さんがやってくる。世界から求められるコーヒーラーメン、1度食べたら忘れられない味です!

■亜呂摩
(住所)東京都葛飾区宝町2-19-16
(定休日)火曜日
(連絡先)03-3694-9156
(店主)菅野庄晃さん

 コーヒーを使ったラーメンはまだある。レトロな店内にはコンセントにスマホ充電用コード、ラーメン撮影用のライトまで完備されている。

 こちらの店のコーヒーラーメンは当初、週替わりメニューのひとつだった。ところが、とある人物との、

■「過去最高に売れたらレギュラーにする」

 というゲームに見事、勝利。最高記録をたたき出し、レギュラーメニューになったそうだ。スープに使うコーヒーは、

「コーヒーは香りを感じて楽しむものなので、注文が入ってから豆をコーヒーミルでひきます」

 とラーメン246亭の店主・島村清弘さん。毎月、豆のブレンドも変えているというこだわりよう。できあがったラーメンは、真っ黒のしょうゆベースのスープにチャーシューというシンプルな一品。さっそくスープを飲むとコクのあるしょうゆの風味からふわりとコーヒーの香りが鼻に抜ける。炭で肉を焼くときのような、そんな位置づけにコーヒーがいるかのようだ。想像できなかっただけに、うまい!

コーヒーの香りが楽しめる1杯

 一緒についてくる焦がしねぎののったライスにスープをかけて食べるとお茶漬けのようにサラっと食べられ、食べ終わってもコーヒーの効果なのか、不思議とスッキリとしたあと味になる。

■「コーヒー豆っていろんな料理に適用できるはずなんです。コーヒーのマヨネーズなんかも作ったことがありますが、揚げ物につけると、あと味はさっぱりします」

 コーヒーラーメンビギナーと常連客では違う味で提供しているとか!? 1杯で何度も楽しめてしまうラーメンなのでした。

■ラーメン246亭
(住所)神奈川県横浜市青葉区桜台26-3
(定休日)月曜日、祝日の場合は火曜日
(連絡先)045-515-0980
(店主)島村清弘さん

■食べたらへべれけ!? テキーララーメン 

テキーララーメン

 のんべえがラーメンを作ると、お酒もラーメンになってしまう? しかもテキーラで!? なぜそんなインパクト満載のラーメンを作ろうと思ったのか。

■「僕がテキーラ好きなんですよ。のんべえなのでお酒を使って何かやりたいと思っていたところ、テキーラ協会の会長にお会いする機会がありました。どのようなテキーラがラーメンに合うのかなど教えていただきました」

 と店主の河野三英さん。その後、いろいろな種類のテキーラで試作して今の形のラーメンが完成したそうだ。

 スープにはショット1杯分のテキーラが入っているため、20歳未満や、車を運転する人はもちろんNG。たしかにスープにはしっかりとテキーラの香りが残り、自家製の平打ち麺にはスープがよく絡むのでひと口食べるだけでお酒に弱い人は酔っぱらってしまいそうなほど。

■ トッピングはライム、チャーシュー、そしてたっぷりのパクチー。ライムはメキシコ産のものを使うという、こだわりようだ。もちろん、スープはテキーラに合うように塩味。これがまたさっぱりしていて女性でもペロリと食べられるほど。

■「テキーラは悪酔いするっていうイメージを持っている方もいますが、ちゃんとした飲み方をすれば、おいしいお酒なんですよ」

 強いお酒というイメージで、頼むのは男性が多いのかと思いきや、意外と女性の方も多いとか。女性に人気のパクチーをたっぷり使っているのもヒットの秘密なのかもしれない。

 食べるときは、公共交通機関を使ってぜひ!

■麺や河野
(住所)東京都板橋区赤塚新町2-2-13
(定休日)火曜日 月曜日は12〜15時のみ営業
(店主)河野三英さん

■■食べると常夏気分を味わえる!パイナップル塩ラーメン

玉子のパイナップルカラーで見た目も楽しい

 パイナップルが入った料理、といえば、酢豚を連想する人が多いのでは? まさかラーメンにパイナップルなんて想像する人は……いや、いました。「パパパパパイン」店主の倉田裕彰さんは誰も考えないような組み合わせのラーメンを作り上げてしまったのだ。

 そのラーメンが生まれた経緯は、

■「変わったことをやろうと。その中でもフルーツのラーメンはあまりなかったので。パイナップルを選んだのはなんとなくです(笑)」

 という冗談を言うほど気さくな倉田さん。実際はラーメン修業をしているころから、“パイナップルのラーメンを作ろう”と決めていて、誰かが先に始めないかとソワソワしていたそう。

 さて、パイナップルラーメンの肝心のお味はというと……。甘みと酸味が絶妙に調和している! スープの4分の1に100%のパインジュースが使われているためパインの主張がかなり激しいのかと思ったが、コクのある塩ラーメンだ! 

 グリーンペッパーもアクセントになっていて、スパイシーな香りも楽しめる。追加トッピングの味付玉子はきれいにパイナップル色に染まっていて、見た目も楽しい。

 珍しい組み合わせとかわいい見た目で、家族連れのお客さんが来店することも多いとか。店内にもこだわりがつまっていて、見事にラーメンとパイナップルが融合したお店になっていた。

 なんと! パインだけでなく期間限定で、ほかのフルーツを使ったラーメンを提供することもあるのだとか。

 ちなみに、店長の好きなフルーツもパイナップル?

■「いや、僕が好きなフルーツはぶどうです(笑)」

 トークも面白い、斬新な発想を持つ店主の次なるラーメンにも期待だ!

■パパパパパイン
(住所)東京都町田市原町田3-1-4町田ターミナルプラザ2F
(定休日)水曜日
(連絡先)042-709-3987
(店主)倉田裕彰さん

■溶けてなくなる組み合わせ!? ゆき味ラーメン 三角庵

バニラアイスが特徴のゆき味ラーメン

 ひつまぶし、手羽先、みそカツ。さまざまな名物料理のある愛知県。ここにも変わり種ラーメンはあった。その名も「ゆき味ラーメン」。いったいどんなラーメンが!? 出てきたラーメンはいたって普通? 

 いや、ラーメンのトッピングとしては選ばれないものがのっている。白くて丸い物体の正体はバニラアイス。なぜアイスをのせたのか、三角庵三代目の澤田和正さんにお話を伺った。

 このラーメンができたのは30年ほど前で、考案したのは澤田さんの父親である二代目。もともとラーメンの上にアイスをのせて提供していた。

 ■その意図は、親子で来店したとき、ラーメンの上にのったアイスクリームを子ども用に取り分けてデザートとして食べられるようにというものだったが、「混ぜて食べてもおいしい!」という声があり、取り分けずに食べるお客さんが出てくるようになったという。当時の名残で、今でも取り分け用の小皿とスプーンがついてくる。

 さて肝心のゆき味ラーメンのお味は……。今回はせっかくなのでアイスを混ぜて食べてみた。しょうゆベースのスープに甘いアイスが混ざるとまろやかでクリーミーに。アイスは冷たいのでスープがぬるくなってしまうのが難点だが味は結構いける!

 澤田さんに、このゆき味ラーメンのポイントを聞いてみると、

■「実は食べたことがないんです」

 ぜひ、三代目にも食べていただきたいと思った1杯なのでした。

■三角庵
(住所)愛知県常滑市保示町1-5
(定休日)木曜日
(連絡先)0569-35-2775
(店主)澤田和正さん

■インパクトは富士山級! 雪見ラーメン

まるで富士山のようなメレンゲ

 愛知県の変わり種ラーメン第2弾。こちらも名前は雪見ラーメン。

 確かに雪のようだ。雪山が丼の上にのっているように見える。高さは15センチくらいだろうか。とにかく目を引くこの雪山の正体はメレンゲだ。5〜6個の卵白を使用しているそう。メレンゲには多少、塩が入っているが、しょっぱいと感じるほどではない。味よりも食感を楽しむのがよさそう。

■ 雪山の上にはトッピングとして揚げ餃子が2つ、下にはとろみのついた酸辣湯に玉ねぎ、にんじん、もやしなどの野菜と麺が隠れている。雪山の部分がふたの役目になり、冬でもアツアツを長く保てるとか。

 酸味とこしょうの辛みがきいたスープはふわふわのメレンゲと一緒に食べるとまろやかになって美味!

 だが、メレンゲの雪山は崩してもなかなか減らないので、配分を考えながら食べるのが少々難点かもしれない。

 この雪見ラーメンができたのは20年ほど前。中華料理一筋の店主・稲吉栄二さんが卵白入りのフカヒレラーメンを作ろうとしたが見栄えが悪かった。

「だったらメレンゲをメインにしてのっけてしまおう!」

 というのが始まりなのだとか。

 これだけのメレンゲを作るのはとても時間がかかるので、

■「どちらかというと出てほしくない商品(笑)」

 と稲吉さん。ひとつを仲間でシェアするのがオススメですよ!

■台南麺 かちかち山
(住所)愛知県豊田市丸山町3-10-2
(定休日)月曜日
(連絡先)0565-71-1776
(店主)稲吉栄二さん

本谷亜紀 ラーメン評論家としてテレビなどで活躍中。これまでに4000杯のラーメンを食べ歩く。チェーン店の商品開発や講演会を行いラーメンの普及活動に努める。ライブ配信アプリ「17 Live」では毎日、ラーメン情報を配信中。

取材・文/佐々木清夏 撮影/廣瀬靖士、山田智絵、矢島泰輔

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