猫の下痢の原因とは?獣医師が教える病院に連れていくべきか見極める8つのポイント

猫の下痢が続くととても心配ですよね。今回は猫が下痢になる原因や対処法について獣医監修のもと詳しく説明します。普段からできる下痢の予防法もご紹介していますので、是非参考にしてくださいね。

猫の下痢の原因とは?病院に連れていくべきか見極める8つのポイント

猫ねこさん
たかが下痢とあなどるなかれ。。。命にかかわる場合もあるので油断は禁物ですよぉ。下痢の原因は感染や食事、病気などさまざま。少しでも気になることがあれば、迷わず獣医さんに相談してくださいねぇ。


平松育子

猫の下痢が続くととても心配ですよね。
下痢になる原因には、いったいどんなことが考えられるのでしょうか。

また、どのタイミングで病院を受診すればよいのかも気になるところです。
しばらく様子を見てよいものか、すぐに病院に連れていった方がいいのか…迷っているうちに症状が悪化しまうことも考えられます。

そこで、今回は猫が下痢になる原因や対処法について獣医師監修のもと詳しく説明します。普段からできる下痢の予防法もご紹介していますので、是非参考にしてくださいね。

■猫の下痢とは

猫とトイレ

下痢とは、消化管の何らかの異常によって、正常時の便と比べて便の中の水分量が増えた状態のことをいいます。

正常時の便の水分量は約70%と言われていますが、約80%以上になると「下痢」と呼ばれます。

猫の正常な便とは

猫の便が正常かどうかは、便の色、におい、固さ、形・艶、排便回数によって分かります。健康なときの便の状態を知っておくことで、異常にすぐ気づくことができます。日頃から猫の便をしっかりチェックしておきましょう。

以下の表は、猫の正常な便についてまとめたものです。

排便回数通常1〜2回/日(フードや体質により異なる)
便の色茶色・こげ茶色
便のにおいにおいがある
便の固さティッシュで包んで崩れない程度
便の形・艶艶があり少し長さがある

猫の1日の排便回数は1〜2回です。しかし、食べているキャットフードや体質によって回数は異なるので、一概にどれくらいが正常の範囲内とは言えません。猫の健康状態を知るためには、「1日○g食べたら1日○回排便する」というだいたいの目安を把握しておきましょう。

また、猫の便はにおいがなく乾燥してコロコロしていると思われる方もいるかもしれませんが、これは決して健康な状態とは言えません。水分不足で腸内に長く便がとどまっている場合、このようなコロコロウンチになります。正常な便は、艶やにおい、適度なやわらかさがあると覚えておきましょう。

■猫の下痢の種類

猫とトイレ

ひとくちに下痢といっても、便の状態や、下痢の原因部位、下痢が続いている期間などにより次の7種類に分けられます。

水様便

軟便

血便・血様便

小腸性下痢

大腸性下痢

急性の下痢

慢性の下痢

〜 水様便(水分の多い下痢) 〜

便に含まれる水分量が90%以上の液体状の便を水様便と呼びます。

〜 軟便(水分が少なめの下痢) 〜

便に含まれる水分量が80〜90%ほどの半固形状の便を軟便と呼びます。

水様便に比べると固さがありますが、すぐに形が崩れてしまうようなやわらかい便の状態をいいます。

〜 血便・血様便(血液や混じる下痢) 〜

便の中に血液が混じっている便を血便・血様便と呼びます。肛門に近い大腸からの出血が疑われる場合に、便に血液が混じります。大腸へのダメージがある場合は、ゼリー状の「粘液便」となります。

また、胃や小腸などの消化管からの出血が疑われる場合は、腸内細菌により血液中の鉄分が酸化され、真っ黒な便(タール便)になることもあります。

〜 小腸性下痢 〜

小腸の水分バランスの崩れが原因で下痢になる場合を小腸性下痢と呼びます。食べたものが上手く消化吸収できず、便量が増え悪臭を伴います。便の中には消化できなかったものが見られます。

〜 大腸性下痢 〜

大腸の水分バランスの崩れが原因で下痢になる場合を大腸性下痢と呼びます。大腸性下痢の場合は、食べたものは小腸で消化されているため、便の中に消化できなかったものはほとんど見られません。しかし、大腸で炎症が起こると大腸粘膜が剥がれ落ちてしまうため、便の中には大腸から分泌された粘液が大量に見られます。

便意があるにも関わらず便が出ない、残便感があり腹痛がある、排便があったとしても少量しか出ない、などの「しぶり」が見られるのが特徴です。

小腸性下痢・大腸性下痢の違いについては以下の表も参考にしてください。

?小腸性下痢大腸性下痢
排便回数やや増加何度も繰り返す
しぶりなしあり
便のにおい・形悪臭泥状
1回の便の量大量少量
便中の血液黒色便鮮血・下血
便中の粘液なし、または少量大量
症状体重減少
嘔吐を伴う
脱水

それほど激しくない体重減少
脱水


〜 急性の下痢 〜

急性の下痢の場合、ある日突然下痢になって約1〜2週間ほどで症状がおさまります。

〜 慢性の下痢 〜

慢性の下痢の場合、治療を行っても症状が数週間(3週間以上)にわたって続きます。

猫ねこさん
下痢の対処法を知る前に、どんな便が正常かをしっかり知っておくことが大切ですよぉ。色、艶、におい、柔らかさ、回数がいつもと違うときは要注意ですねぇ。

ぼくなんか普段便秘気味なんで、今日みたいに何度もトイレに行くのは一大事ですっっ。クロベエ

■猫が下痢になる原因

猫と獣医

では、猫が下痢になるのはどのような原因が考えられるのでしょうか。主な原因について見ていきましょう。

感染(ウイルス・細菌・寄生虫)による下痢

食事(消化不良・食物アレルギー)による下痢

異物の誤飲・誤食による下痢

病気による下痢

ストレスによる下痢

薬による下痢

〜 感染(ウイルス・細菌・寄生虫)による下痢 〜

ウイルスや細菌、寄生虫に感染して下痢になることがあります。感染性の下痢の場合は、便検査を行うことでウイルス、細菌、寄生虫の有無を検査し診断します。免疫力が弱くなっている子猫や老齢猫などの場合は、症状が重篤化しやすいので注意が必要です。

ウイルス

ウイルス性の下痢では、パルボウイルスによる「猫汎白血球減少症」や、コロナウイルスによる「猫伝染性腹膜炎」などが代表的です。

特に子猫が猫汎白血球減少症にかかった場合、死に至る危険性もあるため注意しなければなりません。猫汎白血球減少症は3種〜7種混合ワクチンを接種することで予防できますので、必ず接種しておきましょう。

また猫伝染性腹膜炎は、猫同士の感染があるため、感染猫との接触を避けることで予防できます。新たに同居猫を迎える場合は、必ず事前に検査を受けて確認をしておきましょう。

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細菌

細菌性の下痢では、「カンピロバクター感染症」や「サルモネラ感染症」などが代表的です。

カンピロバクターは腸管に常在する菌ですが、症状には個体差があり、無症状の場合もあれば嘔吐や腹痛を伴った下痢の症状が続く場合もあります。子猫や免疫力の低下している猫などは発症する可能性が高いと言われています。感染動物の排泄物や、殺菌していない水や牛乳などから感染すると考えられていますので、室内飼育を徹底し適切な食事管理を行うことが予防策となります。

サルモネラ菌は動物の腸内、汚染された土壌や水、食べ物などに含まれており、口から体内に侵入することで急性胃腸炎や敗血症などを引き起こします。水様性で粘膜や血液が混ざった下痢となり、進行すると脱水症状や菌血症、敗血症性ショックなどを引き起こし死に至る危険性があります。症状は無症状の場合もあれば重度になる場合までさまざまです。動物の排泄物に触れたり汚染された食べ物を食べることで感染するため、カンピロバクターと同様、室内飼育の徹底と適切な食事管理を行うことが予防策となります。

寄生虫

猫が感染する主な寄生虫は、次のように分けられます。

外部寄生虫(体表面に寄生):ノミ・疥癬(かいせん)、耳ダニなど

内部寄生虫(消化管内に寄生):回虫(かいちゅう)、鉤虫(こうちゅう)、線虫、条虫、原虫(コクシジウム、トリコモナス、ジアルジア)など

健康な成猫では特に症状が出ないケースでも、子猫の場合は下痢や血便を起こし重篤な症状に陥る恐れもあります。

特に、外で暮らしている猫は寄生虫に感染している場合がほとんどですので、新たに迎え入れる場合は必ず動物病院で健康診断を受けてから受け入れるようにしましょう。先住猫がいる場合は、その猫たちへの感染を広げないためにもとても大切なことです。

〜 食事(消化不良・食物アレルギー)による下痢 〜

食べた食事によっても下痢になることがあります。

消化不良

食べすぎや、キャットフードを切り替えた場合、人間の食べ物を食べた場合などに、消化不良で下痢になることがあります。

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食物アレルギー

さまざまな食物アレルギーが原因で下痢になることがあります。アレルゲンを特定するための検査を行い、獣医師指導のもとアレルゲンとなる食べ物を与えないよう食事管理をしていく必要があります。

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〜 異物の誤飲・誤食による下痢 〜

洗剤や殺虫剤などの誤飲・誤食が原因で下痢になることもあります。

中毒症状を起こしている場合は、早急に動物病院を受診することが大切です。猫が誤って異物を飲み込まないように、普段から部屋を片づけておきましょう。

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〜 病気による下痢 〜

何らかの内臓疾患や内分泌系の病気によって下痢になることもあります。

内臓疾患

以下のような内臓疾患が原因で下痢の症状が出る場合があります。病気の診断についてはX線検査や超音波検査が必要となることもあります。

肝炎

胆管炎

膵炎

腸管の悪性腫瘍

炎症性腸疾患(IBD)

内分泌系の病気

甲状腺機能亢進症などの内分泌系の病気でも、下痢の症状が出ることがあります。

〜 ストレスによる下痢 〜

人間と同じく猫もストレスで下痢になってしまうことがあります。引っ越しや家族環境の変化、部屋の模様替え、長時間の移動など人間にとってはストレスに感じないようなことでも、猫にとっては大きな負担になってしまうことも。

徐々に環境に慣れていくにつれ症状がおさまることが多いですが、症状が長く続くときはかかりつけの獣医師に相談しましょう。

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〜 薬による下痢 〜

抗生物質などの飲み薬の副作用で下痢になることもあります。

薬を飲み始めて数日で下痢の症状が出始めたら、すぐに中止して処方された動物病院に相談しましょう。

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