1993年の『DUNE』から『HEART』まで。L'Arc〜en〜Cielの名曲はコレだ!

結成30周年を迎え、先日アリーナツアーを東京ドーム2Daysで終えたばかりのL'Arc〜en〜Ciel。hyde(Vo)、ken(Gt)、tetsuya(Ba)、yukihiro(Dr)からなるラルクは、2022年5月、これまで発表したアルバムをリマスターしたものをまとめた『L’Arc〜en〜Ciel 30th L’Anniversary「L’Album Complete Box -Remastered Edition-」』を発表。

多くの人が知る「HONEY」「snow drop」「winter fall」などのヒットシングルだけじゃない、アルバム内の隠れた名曲にも注目が集まっています。

そこで今回、自身も音楽活動を行い、先日のアリーナツアーもチケットを購入して見に行ったミュージシャンの高橋翔(ex. 昆虫キッズ)に、音楽家とファンの目線を交えた「L'Arc〜en〜Cielのオススメしたい曲」を、インディーズ時代のアルバム『DUNE』から1998年リリースの『HEART』までのなかから5曲を選んでもらいました!

ミュージシャンだからこそ語れる、L'Arc〜en〜Cielのスゴさを感じてください。

■桂正和のアニメ『D・N・A2』で知ったラルク

1994年、小学4年生だった俺は生まれて初めて、他人に対して“あれ、思ったよりみんなについていけてないな”と違和感と焦りを感じていた。

具体的に言うと、クラスメイトたちが話すテレビやマンガの話題や、男子女子の恋愛が視野に入ったようなコミュニケーションに全くついていけてなかった。さっきまで団地で鬼ごっこをしたり、公園でバカみたいにボールを追っかけてた連中は、大人しく家でドラクエに興じたり、金持ちのボンボンの家に入り浸ってミニ四駆をコースで走らせたり。

俺はまだ、みんなと一緒に駆けずり回っていたかったけど、公園で遊ぶことはほとんどなくなってしまった。趣味も特技も、デカい家も最新ゲームもなく、勉強や運動も平均そこそこの男の子は、クラスでも自然と隅っこが定席になるものだ。

俺は初めて“学校がつまらないな”と思うようになった。ただただ楽しくはしゃいで、ふざけていたかったのに……。なんだかそれすら、とてもみっともないことのようだった。

ある日の給食の時間。クラスメイトのUくんが「翔さ、DNA2ってアニメ見てる?」
と尋ねてきた。俺はそのアニメをまったく知らなかったけど、”知らない”と返すことがとても恥ずかしく思えて、答えをはぐらかした。

曖昧な態度を見透かしたのか、Uくんは「主題歌がとにかくかっこいいんだよ。●●ってバンドなんだけど。兄ちゃんがビデオ録画してるから、あとで家で見ようぜ?」と声をかけてくれた。

うれしかったけど、また劣等感じみたものを覚えてしまうことが少し怖かった。まして、Uくんは同じ小4とは思えないほど雰囲気が大人びて身長も高く、いつもクールな男子だった。だが、誘いを断る理由も思いつかなくて、しぶしぶ放課後にUくんの家に向かった。

Uくんが言った“DNA2”。ちなみに、正式には『D・N・A2 〜何処かで失くしたあいつのアイツ〜』は、当時『少年ジャンプ』で連載していた桂正和によるSF漫画。正直、小4でこの作品を楽しめるのは、感覚がかなり大人びてないと難しいと思う。

話は戻り、Uくんは自宅のリビングに俺を招くなり、すぐにVHS再生機の電源を入れた。「このバンドかっこいいから」と少し興奮した様子で彼は再生ボタンを押す。

90秒ほどのオープニングが終わり、真っ先にUくんに聞いた。

「これ歌ってるの、なんていうバンドなの?!」

彼は優しく微笑みながら答えた「L'Arc〜en〜Cielってバンド」。

前置きが長くなりましたが、このコラムは「私とラルク」というテーマでの、ごく個人的な文章。僭越ながら私は高橋翔と申します。2015年まで昆虫キッズというバンドで活動しており、バンド活動終了後の現在は、ソロミュージシャンという形でコツコツやってます。

先ほど書いたように、ラルクとの出会いは1994年。彼らがメジャーデビューした年です。それから中学、高校時代も彼らを追い続け、自分の高校卒業のタイミングくらいでラルクも長い活動休止に入りますが、2004年の復活後の曲群は琴線に触れることがなく、新作はほとんどノータッチでした。

ただ、2011年にリリースしたシングル『XXX』の攻めた内容が凄まじく、約11年振りにラルクのシングルを購入。これがきっかけとなって、再びラルクを追いかけるようになりました。

正直、ラルクについて自由に書くことって非常に難しいんです。バンド30年の歴史のなかで出典されたものは、既知であればあるほど、マニュアルみたいになっておもしろくないんです。情報ベース的なものならWikipediaを読んだりすればいいし、マニアックな事柄を深堀りするのなら、ファンサイトがいくらでもあります。

なので、自分が今でも聴き続けてるL'Arc〜en〜Cielの楽曲から5曲をセレクトして、“この曲、聴いたことないから聴いてみよう”ってきっかけになればいいかなということで、早速参りましょう。

ちなみに、順位ではなくてリリース順での記載です。流れで聴くとラルクの持つ楽曲の振り幅が存分に堪能できるはずです。

■tetsuyaとkenの特性が活かされた知られざる名曲

「Shutting from the sky」(1993 : from album DUNE)

インディーズ時代のアルバム『DUNE』の1曲目。ラルクって、インディーズ時代から、バンドコンセプトとディレクションを、楽曲に落とし込むセンスと技術が異常に高いんです。理由としてはブレーンであり、リーダーでもあるテッちゃん(tetsuya)の手腕もあるけど、追随するように各メンバーの能力値がずば抜けてることも大いにあります。

この曲はラルクでは珍しく、作曲クレジットがバンド名義になっていて、おそらくスタジオセッションやライブでのアレンジを経て、変化を重ねていったと推察していますが、散々こねくり回した楽曲でアルバムの1曲目を飾るということは、冒頭からバンドの美学を集約してリスナーにぶつけてやろうという気概を感じます。そして忘れちゃいけない大事なことは、ラルクはロックバンドってことなんです。

「Blame」(1994 : from album Tierra)

バンドにおいて、ベースという楽器パートに、どういうイメージをお持ちでしょうか? 縁の下の力持ちだったり、グルーブを作る役割だったり、サッカーでいうとキーパーみたいなポジションかな。

この曲においてのベースプレイは、前述の固定観念を薙ぎ倒し、圧倒的な自己主張のもと5分10秒を駆け抜ける。それでも見事な調和と美しさを描ける稀有よ。先日、配信でもリリースされた既発アルバムのリマスター群は、更に低音が洗練されエッジが立っているので、テッちゃんのベースプレイの異常さをより堪能できます。

「ガラス玉」(1995 : from album heavenly)

ラルクで、いちばんガサツそうなのに誰よりも繊細な曲を書く男。それがギターのkenちゃん。kenちゃん楽曲の特徴って、曲展開が映像的でコントラストとダイナミズムのバランス感覚がピカイチ。

このガラス玉の曲構成は、静から動へのシンプルなロックバラードではあるけど、波の音や時計の秒針の効果音が更に映像性を高めていて、サビからギターソロへのつながりがめちゃくちゃ気持ちいい。

■hydeの中のロック魂に火がついた初めての曲?

「Round and Round」(1996 : from album True)

実は、hydeがスタンスとしてのロックへの傾倒がいちばん強いんです。hyde作曲といえば「HONEY」や「HEAVEN'S DRIVE」などゴリゴリなロック路線の曲が目立つけど、「Round and Round」はhydeの中のロック魂に火がついた、初めての曲かなと。

苛立ちと焦燥感がハードロック調のリフとうまく絡んで、一歩踏み外すとダサくなりそうなのに、ポップにまとめるのがラルクの編曲能力の高さを証明してます。「痛みを知らない大人(こども)は嫌い」という歌い出しも、当時は浸透してなかったメタ視点でユニーク。この曲の後あと同じくhyde作曲の「flower」が続くけど、振れ幅どうなってんの。

「fate」(1998 : from album HEART)

kenちゃん楽曲。方向性としては「ガラス玉」と同じく、Aメロからサビの展開パターンが映像的。当時、ナインインチネイルズあたりがインダストリアルなリズムをよく使っていたので、ドラムアレンジはその辺の影響が出てるかなと。シンセの浮遊感と機械的なドラムを縫って響くギターがとにかく美しい。

今でも定期的にライブで披露されるけど、ラルクのダークな部分がしっかり打ち出されていて、アルバム曲とは言えどバンドにとって重要な位置付けの曲です。

1998年から2022年現在までのラルク。さらに深掘りしたオススメ5曲 | WANI BOOKS NewsCrunch(ニュースクランチ)( https://wanibooks-newscrunch.com/articles/-/3254 )

■プロフィール

高橋 翔(Sho Takahashi)

1984年9月11日生まれ、神奈川県出身。2007年頃に昆虫キッズ結成。2009年3月、”my final fantasy"にてデビュー。2015年1月の活動終了まで4枚のフルアルバム、5枚のシングル、1枚のミニアルバムを発表する。2021年12月、個人事務所兼音楽レーベル「オフィス翔」設立。2022年1月ソロデビューシングル「キセキ」配信スタート。現在、キャリア初となるソロアルバムを制作中。Twitter: @shotakahashi 、Instagram: @0ffice_sho

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