才能を爆発させるポイントは「批判があっても落ち込まない」
2023年03月18日 17時00分WANI BOOKS NewsCrunch
SNSなどで誰でも発信できる時代。写真・イラスト・音楽・ダンスなど、自分の才能を多くの人に見てもらうことができ、それが「いいね」につながれば、その才能で生きていくこともできるでしょう。心理学者の神岡真司氏が、才能を“爆発”させた成功者の共通点を研究した成果から、あなたの中に眠ってる新しい能力を見つける方法を教えます。
※本記事は、神岡真司:著『才能が見つからないまま大人になってしまった君へ』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。
■才能はスピードの速さにあらわれる
あなたは、スピードの速さを誇れるものを、自分の中にどのぐらいもっていますか。
数字に強く計算が速い。 文章をまとめるのが速い。 パソコン操作が速い。 しゃべるのが速い。 人を説得するのが速い。 本を読むのが速い。 計画し実行するのが速い。スピードが速いのは、その分野でなんらかの才能が隠されているということです。
速くできるというのは、物事の本質をつかむのが速いからこそ実現します。どこにポイントを置き、どこを省略するか――といったコツを呑み込んでいるわけです。
計算が速いのは、数字の呑み込みが速く、その扱いが巧みなのです。 文章をまとめるのが速いのは、表現すべき本質をつかみ、文章構築が器用なのです。 パソコン操作が速いのは、パソコンに精通し、機能の扱いに慣れているのです。 しゃべるのが速いのは、表現のツボを心得、言葉の取り扱いに手馴れているのです。 人を説得するのが速いのは、理性と感情を巧みに操り、メリット強調がうまいのです。 本を読むのが速いのは、文脈処理に長けていて、ポイントをつかむ能力が高いのです。 計画し実行するのが速いのは、段取りの組み立てと優先順位付けが上手なのです。スピードが速いというのは、効率がよいことを表わしています。スピードの遅い人よりも、格段に吸収力も高いのです。人より秀でた部分は、必ずなんらかの才能の裏付けがあるものなのです。
■“努力しない”でもスピードが速いものを探そう
こうしたスピードの速さは、他人との比較で気づくことが多いでしょう。学校でかけっこをして、足の速い人は幼児の頃から足が速いのです。
たくさんの練習を積んだわけではなく、生まれつきの能力なのです。本能的に備わっているものには、なんらかの才能の脈があるはずです。
細菌学の研究者として著名な野口英世氏は、青年期の放蕩エピソードもユニークですが、その研究はスピード重視でした。膨大な論文やデータを収集し、驚異的なスピードで読み、想定実験を複数行い「実験マシーン」とまで称されます。これが後世の数々の業績につながっていきます。
昭和の宰相・田中角栄氏は、尋常高等小学校卒の学歴ながら、数字に強く、計算が速かったことで有名です。演説のときでも、東大卒の秀才官僚を前にしたときでも、数字データを挙げて抜群の説得力を発揮し「コンピューター付きブルドーザー」の異名さえありました。

▲“努力しない”でもスピードが速いものを探そう イメージ:TATSU / PIXTA
【才能爆発のポイント】
人より、速くできるものに注目すべきです。あなたの才能は、そこに眠っている可能性大だからです。
人の気持ちを瞬時に汲み取り、気遣いや配慮に長けているというのも才能です。サービス向上のアイデアで、ライバルを出し抜く才能があるといえるでしょう。
自分が、他人よりスピードがある分野で才能を育めば、必ず才能は爆発させられるはずなのです。
「成功する人は動き続けている。間違いを犯すことはあっても、けっして立ち止まることはない」ヒルトンホテル創業者 コンラッド・ヒルトン
■他人から批判を受けたときは無視が正解
批判を受けるのは「嫉妬」「脅威」を与えている証拠です。人は、他人から批判されるのを嫌います。自分の存在を否定されたと思えるからです。
では、なぜ他人を批判するのでしょうか。それは、対象に嫉妬や脅威を感じるからなのです。
自分より、うまくいきそうな人を見ると、へこませてやりたくなったり、何か自分を不安にさせる未知のものを感じると、潰したくなる感情なのです。
今までにない斬新なもの、大胆なこと、不思議なことに遭遇すると人は驚きます。驚きの感情は、次の感情に移行する直前の初期反応で、本来は「中立」です。
心理学者のポール・エクマンは、「驚き」に続く「基本的感情」を次のように分類します。
「驚き」→「怒り」「恐怖」「喜び」「悲しみ」「嫌悪」「軽蔑」
感情は、他にも「後悔」「失望」「期待」……など、いくらでも細分化できます。
しかし、生存に直結する感情は「驚き」も含め7つとしたのです。そして「喜び」の感情以外は、すべて不快です。
「怒り」は敵と闘うための、「恐怖」は逃走のための、「悲しみ」は喪失したものの価値を計るための、「嫌悪」は汚物や危険を回避するための、「軽蔑」は集団行動の掟づくりに役立つ感情です。
「喜び」だけが、何かを獲得したときのうれしい感情なのです。
こうして人は、敵や自然界の脅威に対し、ネガティブに反応することで生き延びました。
他人から批判を受けたときは無視が正解です。言い返しても不毛な対立を生むだけです。むしろ、あなたが他人を批判しないようにすることのほうが大事なのです。嫉妬や脅威を抱くと、自分の信念が揺らぎ、不安と不快に苦しむからです。
漫画の神様とうたわれた手治虫氏でさえ、1960年代に入り、貸本漫画家が雑誌漫画界に大挙進出し、リアルな絵柄の「劇画ブーム」を起こした際には、嫉妬と脅威でスランプに陥ったと評されます。嫉妬や脅威は自分の才能を塞ぐだけなのです。

▲人から批判されるものには大きな可能性がある イメージ:SeventyFour / PIXTA
■人から批判されるものには大きな可能性がある
他人を批判するのは、そこに嫉妬やなんらかの脅威を覚えるからです。嫉妬ゆえに攻撃したり、脅威ゆえに潰しにかかるのが、批判というものなのです。
文化や芸術を語るまでもなく、あらゆるものに批判はついて回ります。
印象派の画家ルノワールは当初、光と陰に彩られた人物の肌色表現を「腐った肉体のようだ」と酷評されましたが、のちに「見事な陰影の表現で、みずみずしい肌の質感を出すことに成功している」と世界中からの絶賛の声に変わっています。
100円ショップ「ダイソー」の創業者・矢野博丈さんは、当初は倒産した企業などから商品在庫を安く仕入れ、トラックの移動販売で起業しましたが、値札をつけるのが面倒なため、全品100円で販売していました。大手スーパーの担当者からは「そんなごちゃ交ぜの商品販売がうまくいくわけがない」と酷評されましたが、今日では大成功しています。
【才能爆発のポイント】
自分が好きでやっていること、やりたくてやっていること、楽しくてやっていることへの、他人からの批判があったとしても、落ち込むべきではありません。
むしろ、そこにはものすごい才能の萌芽があると考えるべきだからです。人は、脅威や嫉妬を感じると攻撃したくなります。自分よりすごい才能だからこそ、攻撃して潰してやりたいと思うのです。
批判されたらチャンスがあります。それをもっと磨き続ければ爆発させられます。
「憎しみは積極的な不満で、嫉妬は消極的な不満である。したがって嫉妬がすぐに憎しみに変わっても不思議ではない」ドイツの文豪・ゲーテ
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