大都会・新宿に異変! 高層ビル群を飛びまわる怪鳥の正体とは?

■東京・新宿の高層ビル群がハヤブサの住処に

みなさん、“ハヤブサ”という鳥をご存知でしょうか。

世界一速い鳥として知られています。その速さ、なんと時速300kmを超えると言われています。本来は海岸の断崖などに巣を作って暮らしているのですが、なぜかいま、東京で増えているのです!

▲日本最大のビル群・新宿にハヤブサが生息しているなんて!? イメージ:PIXTA

申し遅れました。私、東京都大田区の「五十三次どうぶつ病院」で院長をしている北澤功と申します。

簡単に私の経歴を話させてください。1966年長野県生まれ。北海道の大学を卒業し、生まれ故郷の長野県にある長野市城山動物園に獣医として勤務。その後、2010年にいまのどうぶつ病院を開院しました。

話を戻しましょう。

ハヤブサは、全長42〜49cmほどになります。身近にいる鳥だと、大体カラスと同じくらいの大きさ。白いお腹に黒い縞模様が入っています。猛禽類(もうきんるい)に分類され、鋭い爪とくちばしを持ち、他の動物を捕食します。

目から頬にかけての黒いラインと黄色い目の縁取りは歌舞伎の隈取そっくり。かっと見開いた目は、市川海老蔵さんの睨みさながらといった感じです。

▲普段は断崖に棲むハヤブサ イメージ:PIXTA

ハヤブサは高い位置を飛びながら獲物を見つけると、羽をとがらせロケットのような形で急降下。脚で蹴落としたり空中でわしづかみにして獲物を捕らえます。日本各地に生息しているのですが、一時期その数が減少していました。

しかし、人間の生活圏とうまく共存することに成功し、少しずつ生息数を増やしています。高層ビルを人工的な断崖と見立てて巣を作り、公園や街路樹に暮らす鳩やムクドリを餌としているのです。

上昇気流や下降気流などのビル風を利用して狩りをするハヤブサにとって新宿の高層ビル街は、最高の住処となったのです。新宿の空を颯爽と猛スピードで飛ぶ鳥を見つけたら、それはハヤブサかもしれません。

■フクロウが日本からいなくなる!?

ハヤブサとは逆に、いま個体数が急激に減少している鳥がいます。それが、フクロウです。フクロウカフェなるフクロウと触れ合うところもあり、みなさんにとっても馴染みのある鳥ではないでしょうか。

私は現在、東京都の「傷病野生動物保護治療事業」に協力しています。

ある日、怪我をした鳥が動物病院に持ち込まれました。箱の中から、顔全体をくるくる回し大きな目で私を見つめていたのは、鳩よりもちょっと小さなフクロウ“オオコノハズク”です。

オオコノハズクは体長は約25cm。体色は褐色、灰色、黒色の複雑で細かい斑で、後ろ側に灰白色の斑があります。目はきれいなオレンジ色をしています。夜行性で、ネズミなどの哺乳類や鳥類、昆虫などを捕食します。

日本にいるフクロウの中では小さいサイズで、野生で目撃されることは滅多にありません。

▲オレンジ色の目が特徴的なオオコノハズク イメージ:PIXTA

診察を行うと、足の骨折による衰弱であることが分かりました……。フクロウは鋭い爪で獲物を捕らえるため、足のケガは致命傷となってしまいます。

保護された場所は東京都内。それも街の中だったので、都内にまだ生息していたことにビックリしました。生息数はとっても少なくなっていると思います。個体数を増やしたハヤブサと減らしたフクロウ、一体どこに違いがあるのでしょうか。

ハヤブサが、昼間に強い筋肉と硬い羽を生かしスピードで狩りをする。一方、フクロウは夜間にフカフカの羽で音をたてずに獲物を捕まえます。フクロウは周囲が暗ければ暗い程、狩りの能力を発揮できるのです。しかし、東京は暗闇がほとんどないため、フクロウにとって大変生きづらい環境になってしまったのです。

ハヤブサのように、人間の生活様式と上手く共存した生き物は増え、フクロウのように人間の生活様式に適応できない生き物は残念ながら数を減らしているのです。

病院に運び込まれたオオコノハズクは、その後も治療を続けたのですが、怪我の程度もひどく、運び込まれてきてから3週間後、天国に旅立ってしまいました。もう一度、月の光の中、大きな夜空を飛ばせてあげたかったな……。

獣医師をやっていると、必ず立ち会うのが、動物の死です。医学生の頃から動物園勤務時代、今の動物病院でも多くの動物の死に立ち会ってきました。しかし、いつになっても「死」に慣れることはありません。

ですが、命あるものには必ず死が待っている。この連載では、そういったことも取り上げられたらと考えています。

<病院情報>
五十三次どうぶつ病院
〒143-0012
東京都大田区大森東1-5-2
電話番号:03-3761-5676
診療時間:午前9:00〜12:00 ?午後13:00〜19:30
※日曜日は午後17:00までとなります。  
休診日:月曜日
※新型コロナウイルス感染拡大により、診療時間が記載と異なる場合がございます。ご来院前にホームページにて、ご確認ください。
ホームページ: https://53tsugi.com/

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