健康でありたいなら「食」と同じくらい「睡眠」にもこだわりを

名医・今津嘉宏氏が、驚きの新生活習慣を提言! 人生の約3分の1を占める「睡眠」こそ、ちょっとした工夫をすれば健康を保つ重要な要素。「食」と同じようにお金と気を遣いましょう。

※本記事は、今津嘉宏:著『115歳が見えてくる“ちょい足し"健康法』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

■週末に「寝だめ」するくらいなら平日に「昼寝」を

平日は忙しくて睡眠不足で、週末は思いっきり10時間くらい「寝だめ」をする――こうした生活スタイルを実践している人もいることでしょう。結論から言うと、これにはなんの効果もありません。長い時間寝ることに意味はないからです。

しかし、それで本人が精神的な充実感を持てるのなら、ストレス解消の意味もあるので、一概には否定できません。

とはいえ、週末の朝寝坊習慣は、長時間睡眠にあたるのであまり意味がないですし、休日の時間がもったいないので、やめたほうがいいでしょう。その代わり、普段から寝不足を自覚しているのであれば、可能なら平日に昼寝することをオススメします。

昼寝をする場合に気を付けたいポイントは、30分以上の昼寝はNGだということです。昼に寝過ぎると、夜に寝られなくなってしまうという単純な話です。30分以上寝ると、スイッチが一度オフになりますから、うまくオンに戻さないと、ずっとボーっとした状態になってしまいがち。それで夜も同じように寝てしまったら、今度は寝過ぎになってしまいます。

昼に寝過ぎたせいで、ホルモンの出方が変わってバランスを崩してしまい、昼夜逆転と同じようになってしまっては、元も子もありません。昼夜合計して、一日に8時間も寝るようであれば、完全に寝過ぎです。ただ、それが自分で分かっていれば問題ありません。

そうならないようにするコツは、昼寝は布団でしないということ。昼寝をするのであれば、ソファーで仮眠するとか、デスクに顔を埋めて寝るのがいいでしょう。

▲週末に「寝だめ」するくらいなら平日に「昼寝」を イメージ:PIXTA

また、昼寝前にはコーヒーを飲むのもいい方法です。紅茶でも日本茶でもいいのですが、カフェインが効くまでのタイムラグがあるので、起きる時にはちょうどカフェインが効いてきて、すっきり目覚めることができます。

最近、質のいい睡眠ができる人が少ないので、昼寝は睡眠の練習になっていいかもしれませんね。

また「夜は寝ようとしても4時間しか眠れないんだけど、昼間は眠たい」という人は、やはり睡眠時間が4時間では十分でない人なのでしょう。昼間眠くなるという人は、仕事やランチのタイミングをうまく調節して、昼寝をする時間を作るべきです。

要は、夜の睡眠だけでは睡眠時間が総量として足りていない、ということなので、夜の睡眠時間を長くするのが一番の解決法です。

しかし、夜の睡眠時間を長くする物理的な障害、例えば仕事が忙しくて帰る時間が遅くなり、眠る時間が不十分なだけなのに「眠れてない」という言葉を使っていませんか? いわゆる「不眠」とは違うので、安易に睡眠導入剤などに手を出さないでほしいと願います。

■重要な役割を果たす睡眠にもっと「投資」を

私は最近、もっと睡眠に投資するべきだと考えています。

2013年、NHK『あさイチ』で「女のカネ お金がたまる夫コントロール術」として紹介された「家計の黄金比率」というものがあります。それによると、月に手取り30万円だとすると、住居費に25%(7万5000円)、食費に15%(4万5000円)、光熱費6%(1万8000円)、通信費5%(1万5000円)などとして、預貯金に18%(5万4000円)振り分けるとお金がたまる――というものでした。

これを見て、私は自分が寝ることにお金を使っていたのか気になりました。思い起こすと、私自身、結婚してから寝具を買った覚えがなかったので、20年以上寝具にお金を使っていないことになります。枕くらいは替えたかもしれませんし、子どもが生まれて布団は買いましたが、それにしても大した額ではありません。

しかし、睡眠は一日の3分の1を占める重要なもの。人生の3分の1は寝ているというのに、その割にはお金をかけていないと言わざるを得ません。

「家計の黄金比率」でも、住居に一番お金を使っていますが、住居の「住」にお金をかけるのは、雨風をしのぎ、安全に寝られる場所を確保するためではないでしょうか。安全に食べられる場所は外にもありますが、雨風をしのいで、質のいい睡眠を取るためには、住居が必要となります。

そこで、私は間違えていたことに気がつきました。「衣食住」のうち「住」、さらにそのうちの「睡眠」にお金をかけていないということに。

衣服も、本来は体を守るための、防御服としての役目がありました。食も、健康のため、命をつなぐために食べていたはずです。それが、ファッションと嗜好という、命にかかわらないものにシフトし、そこに私たちはお金をかけています。

総務省統計局が発表した『令和元年家計調査報告』によると、総世帯(平均世帯人員2.97人、世帯主の平均年齢59.4歳)の消費支出は、1世帯当たり1カ月平均29万3379円となっています。

月々約29万円出費するということは、1年間で約350万円の出費です。月給が30万円で出費が29万円なら、その家庭では子どものために何もできないと思われます。

しかも、このデータでは住居に月々1万7103円(5.8%)しか使っていないことになっています。住宅ローンを払い終えた人がいるにせよ、この金額には納得できません。月に1万7000円の物件など、大学生向けの部屋でもありません。

『あさイチ』で紹介された黄金比率のほうが、まだ私たちの生活の実情に近いのではないでしょうか。

また、総務省の統計では食料に8万円以上(27.4%)使っていることになっていますが、これもおかしいですよね。食事にこんなに使う余裕、普通はありません。

では、寝具類はどうでしょうか?

統計結果では年間9984円で、月々たったの832円しか使っていないことになっています。住居費や食料費については疑問のある統計ですが、この数字は現実に近いと思われます。これではいけませんね。やはり健康に、さらに言えば「睡眠」に投資しなければダメでしょう。

▲重要な役割を果たす睡眠にもっと「投資」を イメージ:PIXTA

「健康」といった時に、今まで私たちは食事や運動のことしか考えていませんでした。食べるものは健康にかかわることであり、しかも毎日消費されていくものなのでお金をかけていますよね。あるいは、健康を保つためにお金を払ってスポーツジムに通ったりしています。

しかし、それは間違いだったのかもしれません。健康のためには過度な努力も必要ないし、“寝ればいいだけ”の話です。ただし、寝る時にはポイントがあります。

健やかな生活、良い睡眠のために、やはり投資しなくてはならない――この発想は今までなかったのではないでしょうか。こうした考えをベースに、私は「睡眠は量ではない、質が重要だ」と主張したいのです。

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