嫌がらせかよ…ウーバー配達員が語る「タワマン迷路」の恐怖体験

みなさんは東京ディズニーランドにどんな思い出がありますか? 恋人とデートした思い出ですか? それとも友達と遊んだ学生時代の青春の思い出ですか?

私は、東京駅周辺にいたのに、門前仲町・東陽町・葛西・新浦安と配達するたびに東へ、東へと流され、気がつけばレンタルの電動アシスト自転車がバッテリー切れ。自転車の返却場所までの10キロを、とぼとぼと湾岸道路を歩き、江戸川の橋を渡っているところで見えた、夕暮れ時のシンデレラ城が一番忘れられない思い出です。

みなさんお元気でしょうか。ウーバーイーツ自転車配達員のWです。

東京ディズニーランドといえば、幽霊が住み着いた屋敷を冒険する、ホーンテッドマンションというアトラクションがありますが、我々配達員にとってはホーンテッドマンションよりも恐ろしいマンションがたくさんありまして……。

そこで今回は、恐ろしいマンションの話をしようと思います。

■おしゃれなマンションはトラップがいっぱい

▲レンタサイクルのポートを見つけるとホッとします

レンタルの電動アシスト自転車を使っている私は、東京都の東側、中央区や江東区あたりを中心に配達しています。このエリアは、平坦で坂道があまりないのが特徴で、新宿・渋谷・六本木といった繁華街と比べると、自転車のバッテリーの“持ち”がいいのが魅力。

さらに埋立地エリアは、広い土地が確保しやすいからか、レンタル自転車の貸し出しポイントが多く、自転車も大量に置いてあるので、バッテリー残量の多い自転車が確保しやすい。そんなわけで、この2つの区を中心にウロウロしています。

しがないライター稼業の私には縁遠い話ですが、このあたりは最近、住宅地としても人気で、湾岸エリアに巨大なタワーマンションが建設されたり、路地が入り組む下町を区画整理して、おしゃれなマンションが建てられることもしばしば。

しかし、このマンションの「おしゃれ」の裏には、我々配達員を悩ますトラップにあふれているのです。

▲「コンクリート打ちっぱなし」はオシャレの基本

オーソドックスかつ一番危険なのが、1階のエントランスで見かける2〜3段の階段。建築の知識がまったくない私からしたら「どうしてこんなところに段差が!」と思う、イラッとくるやつです。そもそもバリアフリーの観点から見ても、おかしいのは明らか。

しかも、こういうちょっとした段差のあるマンションに限って、照明が薄暗かったり、床に使用されている石が黒くて足元が見えにくかったり、ツルツルで滑りやすかったりと危険がいっぱい。昼間の配達ならまだしも、夜の配達での段差は、配達員殺しのトラップと言っても過言ではありません。

宅配便の配達員さんは、担当エリアが決まっているので「このマンションには、段差があるから注意しないと」と意識できますが、どこへ配達するのか分からないウーバーイーツの配達員は注意しようがありません。

この手の段差トラップにつまずいて、品物を何度こぼしそうになったことか……。

■ゲームに出てくるようなタワマンで迷子に…

VIP感を強調したマンションも恐ろしいです。タワーマンションには低層階(1〜20階ぐらい)用のエレベーターと、高層階(21階以上)用のエレベーターが分かれているところが多く、私はエントランスに入ってから配達先を確認して、低層階用と高層階用を乗り分けています。

ところが、ごくまれにですが、低層階用のエントランスと高層階用のエントランスが完全に分離されているマンションがありまして……。

▲タワマン配達は少し緊張します

芸能人・著名人が住んでいるのでしょうか、こういったマンションの高層階用のエントランスは、ちょっとした隠れ家みたいな感じになっていて、入り口を探し当てるだけで一苦労。建物の周りをぐるりと1周しても入り口が見当たらず、地下駐車場へ通じる道の脇を入ったところにエントランスがあった某マンションは、入り口にたどりつくまでに10分以上かかりました。

▲色分けの意味すら理解不能 

おしゃれを通り越して、RPGのダンジョンのようになっていたマンションも、ある意味恐怖。10階建ての塔のような建物が6つ並ぶ某マンションのエントランスに入り案内板を見ると、6つの塔のうち2つにしかエレベーターが設置されていないことが書かれています。

「は? 10階建てなのに? どういうこと?」と配達先を確認すると、配達すべき部屋のある塔にはエレベーターが当然のようにないわけです。ここらへんで脇をツーっと汗が流れます、もしかしてまた階段かと……。

高級マンションに限って階段しかない、なんてことはありませんが、ややこしいのはここからです。中庭のような場所に行き、上を見ると、上空に塔と塔を結ぶ橋がかかっているではないですか。どうやらエレベーターである程度上がってから、橋を渡って隣の塔へ渡り、そこから階段で目的の部屋へと向かう構造らしいのです。

ふと疑問に思ったのですが、こんなに不便なタワマンに住みたい人っているんでしょうか? 大災害が来たら一体どうやって逃げるのでしょうね。

▲エレベーターもシンプルでスマート

なんとか状況を飲み込んで、エレベーターに向かうと、そこにあったのはエレベーターの扉と、コンクリートの打ちっぱなしの壁。そして薄暗い照明。早く届けないといけないので、エレベーターに乗りたいのに「▲」や「▼」のボタンが見当たりません……。

老眼が進む目を細めてよーく見てみると、カメレオンが自分の皮膚の色を周囲に合わせるかのように、壁と一体化したエレベーターのボタンを発見しました。時計を見ると、マンションについてからもう7〜8分が経過しています。急がねば、注文者から催促があるかもしれません。

焦った私は、配達先の階のボタンを押して向かいますが、その階には橋がかかっていません。別の階へ行くと、今度は橋があるものの、配達先の部屋がある塔へと向かう橋がない。

そんなことを繰り返し「中学生の時、ドラクエUのダンジョンで迷って途方に暮れたことがあったけど、リアルの世界でもドラクエと同じ経験をするとは……」と途方に暮れていると「迷っていますよね。すみません。1階まで取りに行きます」とお客様から電話が。

優しいお客様に救われました。

住んでいる方は、毎日出入りしているので慣れていると思いますが、配達員にとっては、おしゃれなマンションは迷路のよう。

住んでいる方は注文の際に、攻略の難しいダンジョン部屋までのルートなどを、メッセージ欄に注意事項として書き込んでいただけると助かります。

〈Uber Eats配達員W〉

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