不安がちな人でも5分で幸福度を高められる「ぽじれん」のススメ

自分の気持ちを表現できなかったり、要望を伝えられなかったり、緊張してコミュニケーションをとれなかったり。そのような状況は多くの人が経験していると思いますが、日常生活に支障が出てしまうほどになってしまうと「社交不安症」という病気と診断されます。その手前とされるのが「人見知り」です。“生まれつき”だからと諦めずに不安をコントロールする方法を、認知行動療法のスペシャリストである清水栄司氏が紹介します。

※本記事は、清水栄司:著『大人の人見知り』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

■寝る前の5分間にポジティブなことを思いだす

人見知りの方は、どうしてもネガティブな面ばかりを見てしまいがちですが、練習次第でポジティブな出来事を見つけられるようになります。その結果、認知の偏りもバランスが良くなり人見知りも薄らいでいきます。

ポジティブ心理学を提唱したアメリカのマーティン・セリグマン教授は「3つの良いこと」(Three Good Things)として、寝る前に3つの良いことを書くと幸福度が高まる可能性を示しました。

私は3つの良いことをさらに、@できたことA楽しかったことB感謝することと分けて、小さな良いことを見つけてもらうようにしています。

このような3つのポジティブな出来事を見つける練習のことを「ポジティブな練習」、略して「ぽじれん」と呼んで、5分間でできる認知療法の心の健康づくりとして勧めています。

▲寝る前の5分間にポジティブなことを思いだす イメージ:PIXTA

■自分に優しくしてくれる人と会話する

「ぽじれん」とは、ポイントを貯めるような感覚で1日に小さな良いことを少なくとも1個、できれば3個ぐらい挙げて、紙に書き出すというもので、とても簡単なものです。

1日の終わりに「今日、何かいいことあった?」と自問し「何にもない」ではなく、どんな些細なことでもいいですから、絞り出せるようにします。

私が所属している千葉大が開発した小学校高学年向きの不安の認知行動療法プログラム『勇者の旅』では「ぽじれん」と似た方法で「できたこと(Mastery)」「楽しかったこと(Pleasure)」のふたつの良いこと(英語の頭文字をとって、MP法と認知療法で呼ばれています)を「ミラクル・ポイント」と呼んで、子どもに毎日、小さな良いことを見つけてもらっています。

「ぽじれん」を日々行うと「今日、人に会って、嫌なことを言われた」というネガティブな出来事ばかりを見るのではなく「今日あいさつをしてもらえた」といったようなポジティブな出来事を見つけられて、毎日が楽しくなります。

気心の知れた仲間と会ったり、お客さんに親切にしてくれる美容院やコンビニなどを回って、優しくしてもらうと「今日は優しく接してもらえた」「笑顔で店員さんと話せた」というミラクルポイントが、どんどん貯まっていきます。

そうすれば次の段階で、あまり知らない人に話しかけてみる勇気につながっていくのです。

▲自分に優しくしてくれる人と会話する イメージ:PIXTA

■できて当たり前のことを褒める

「ぽじれん」の基本的な考え方は、小さな幸せを見つけることです。次に自分を褒めてあげることも重要です。自分を褒めることができない人は褒める練習をしましょう。

ただし、自分に厳しい人は、自分を褒めたり、自分に優しくしたりすると、たがが外れて自分がどんどん堕落して駄目人間になってしまうのではないか、などと危惧することがあります。それは「全か無か思考」とか「一般化のし過ぎ」といった認知の歪みによるものでしょうから、人見知りの人はそこまで心配しなくて良いのです。

どんな小さなことでも、できたら褒める練習です。

例えば歯磨きをした後は「歯磨きをして偉い」と自分を褒めてあげましょう。散歩をした後は「散歩をして偉い」と自分を褒めてあげましょう。できて当たり前のことだから褒めない、というような思いこみは捨てましょう。

■モチベーションに必要なのは「アメ」

人見知りの人は褒める基準を高く設定しているので、なかなか自分を褒められない。しかし、現状の自分を評価することができなければ、不安を低下させることはできません。

ここで自分を褒めることと関連して「オペラント条件付け」という理論をご紹介しましょう。オペラント条件付けは、行動療法の基本的な学習理論で、報酬(あるいは罰)に反応して自発的にある行動を増やすように(あるいは減らすように)学習することです。

簡単にいうと、アメとムチです。ライオンに火の輪をくぐらせるサーカスのトレーナーは、ライオンが火の輪をくぐるとエサをあげて褒め、跳ばないとムチで叩いて調教するわけです。

これを自分に対しても行うのです。良い行動を伸ばしたかったら、それに対して自分に報酬をあげる。社交不安症の人は、いつも自分を罰するクセができているので、こちらはやらなくて大丈夫です。

どんな小さなことであっても良いことをしたら、自分を褒めてあげるということを徹底してください。子どものしつけも基本的には褒めて伸ばします。

何かを習慣付けようとしたら、毎回「自分って、凄いじゃん」と褒めてあげないと、次からのモチベーションにつながらないからです。

■自分が映えている写真を撮ってみよう

もうひとつ、普段から自己肯定感を高める技術を教えましょう。

それは自分の一番良く撮れた写真を手元に置いたり、持ち歩いたりすることです。自分は写真写りがいつも悪いと思っている人は少なくありません。しかし、たくさんの写真を探せば、良く撮れているものが何枚かはあるはずです。もしくは上手な人やプロに撮ってもらってもいいでしょう。

▲上手な人やプロに撮ってもらってもいいでしょう イメージ:PIXTA

良く撮れた写真をいつも携行していると、自己イメージが向上します。特に社交不安症と別に「醜形恐怖」を軽減するためにも有効な手段なのです。

「醜形恐怖」は簡単にいえば、自分の外見が良くない、醜いという恐怖症です。他人から見ると普通なのに、自分は醜いと思い込んでしまっているケースです。鏡で自分の容姿を見て、悪いところばかり探す行動の偏りからそうなってしまうのです。

なかには美容形成外科の依存症になってしまう人もいます。「美容整形して、まぶたを直したら鼻も直さなければいけない」と悪い方向に深入りするのではなく、正しい鏡で正しい自分を見てほしいです。

最近は、目を少し大きくしたり、肌を白くしてくれるスマートフォンのアプリやパソコンのソフトがあります。そんなものを使って、ちょっとかっこいい、美人な自分のイメージを作って、それを見ているだけでも気分が良くなって自分もイケてると自分を褒めることができるでしょう。

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