「毎日7色の野菜を食べる」名医が教える免疫力を上げる方法

新型コロナウイルスの感染が広がりはじめて以降、ますます関心が高まっているのが「免疫力」です。ワクチンや特効薬のない状況で、感染を防御し重症化を防ぐために、もっとも重要なのは自分の体が持つ免疫力を高めること。そのためには、まず日々の食事によって、免疫細胞の7割が集まる「腸」の環境を整えることが最重要です。腸内細菌研究・感染免疫学の第一人者である藤田紘一郎博士が教える「最強の食事術」を紹介します。

※本記事は、藤田紘一郎:著『腸内細菌博士が教える 免疫力が上がる食事術』(ワニ・プラス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

■まず食事をする前に知っておきたい3原則

日本でも世界でも、新型コロナ対策に追われる生活が続いています。ウイルスは、微生物のなかでもっとも原始的で、寄生する相手(宿主)がいないと生きていられません。宿主の体内に入り込むと、細胞のなかに入り込み、宿主の細胞が営んでいる正常な活動をさえぎって、自らのコピーをつくらせるように仕組むのです。

だからこそ、それを成立させられなかったウイルスは消えるしかありません。私たちも日々懸命に生きていますが、ウイルスも生き残りをかけて必死だということです。その必死の闘いにおいて「ウイルスの感染力と人の免疫力、どちらが強いか」というパワーバランスの問題になってきます。

ウイルスが体内に入り込んでも、細胞をのっとられる前に退治できる免疫力を、私たちが持っていればよいのです。たとえ感染が成立してしまっても、自然免疫の段階でウイルスを排除できれば、重症化して命を落とすこともありません。

私たちの体には、免疫というすばらしい防御システムが備わっています。免疫力をもっと高め、活用していくことができれば、新型コロナはそれほど怖いウイルスではないということです。

免疫力には個人差があります。持病によって免疫抑制剤や抗がん剤を使っていれば免疫力は下がり、妊娠や加齢によっても下がります。また、若く健康に見える人でも、生活習慣によって自然免疫の力には大きな差が生まれ、感染・重症化のリスクは高くなります。

自然免疫の力を高めるためにもっとも有効なのは、自然免疫の7割を担う腸内環境を整えること。そして腸内環境を整えるために一番大切なのが「日々の食事」です。まず「何を食べればいいか」以前に、知っておいてほしいのは以下の3点です。免疫力はストレスなどによっても低下することも覚えておいてください

なるべく一人で食べず、好きな人と食事をとる 『おいしいね!』といいながら食べること ニコニコしながら食べること

ストレスを感じながら食べると、それだけで免疫力は下がります。いやいや食べる、叱られながら食べる、嫌な相手と仕方なく食事する、感染の心配ばかりしながら食べる、ということはできる限りやめましょう。

▲まず食事をする前に知っておきたい3原則 イメージ:PIXTA

免疫の7割は腸が担うと書きましたが、残りの3割は「心」が担っていると考えてください。

■免疫力を上げるために食べるべきもの

■キノコを毎日食べよう

きのこの細胞壁には「マクロファージ」という免疫細胞を刺激する「β‐グルカン」と呼ばれる化合物の分子が存在します。さらに、腸内環境を整えるために非常に重要な水溶性・不溶性両方の食物繊維が豊富に含まれていますから、毎日食べたいものです。安いときに大量に買って冷凍しておくと、旨味もアップしていいことづくめです。

■発酵食品を毎日食べよう

発酵食品を食べれば、たくさんの細菌をとり込め、自然免疫が高まります。このことも、日本人に新型コロナでの死亡者が少ないことの一因になっているのではないか、と私は考えています。

発酵食品を毎日食べよう イメージ:PIXTA

しかも、発酵食品をとっていると、腸内細菌の働きが活発になります。それは、仲間の細菌が入ってくると、働きを活発化させる腸内細菌の性質によるものです。よい菌をたくさん腸に送り込んであげれば、腸にいる仲間の菌を活性化できます。

土壌菌を送り込めば、腸の最大勢力の日和見菌が数を増やします。善玉菌が優勢で、多種多様な日和見菌がよい働きをするようになると、悪玉菌はおとなしくなります。こうなると腸内環境が整って、免疫力が総じて高まっていくのです。ヨーグルト・味噌・納豆などは積極的にとってください。

■「色み」「香り」「辛み」「苦み」の強い野菜を食べる

野菜に含まれるフィトケミカルは、強い抗酸化力を持ち、日々体内で発生する活性酸素を消去してくれます。フィトケミカルは、野菜の色素・香り・辛味・苦味に含まれます。

■7色の野菜を食べる

フィトケミカルの種類は1万種以上あると言われますが、その種類は主に「色」によって分類できます。赤(トマト、スイカなど)。オレンジ(ニンジン、カボチャなど)、緑(鱗理、オクラ、春菊など)、紫(ナス、赤しそ、ぶどう、黒豆)、黒(ゴボウ、コーヒーほか)、白(キャベツ、ダイコン、ニンニク、ネギなど)など、覚えるのは大変ですが「できるだけ毎日7色食べる」ことを心がけましょう。

■感染症の重症化予防にビタミンD

ビタミンDには、免疫賦活作用・抗ウイルス作用・抗炎症作用を有していることが分かってきています。そのため、ビタミンDは新型コロナだけでなく、風邪やインフルエンザや肺炎などの悪化を防ぐ効果も期待できます。ビタミンDは、紫外線にあたることによって体内で合成できますが、高齢になると合成能力が落ちます。

魚ではサケ・イワシ・ブリ・サンマなど、それからキノコ類にも多く含まれるので、積極的に食べてください。シイタケは天日干しにすると含有力が増えます。

■今こそ必要なのは「土を食べる」という発想

■「粉もの」のとりすぎを避ける

過敏性腸症候群など腸の不調に悩む人が多くなっています。その背景には、小麦粉のとり過ぎがあると私は考えています。問題となるのは、小麦粉に含まれる「グルテン」というたんぱく質です。

グルテンは、パンをふわふわにしたり、麺をもちもちにしたりする物質です。そうしたおいしさをつくり出すために品種改良が進み、現在の小麦には、昔のものより約40倍ものグルテンが含まれているとされます。

そのグルテンには「グリアジン」というたんぱく質が含まれます。グリアジンには、小腸のなかで「ゾヌリン」という物質を放出させる働きがあります。このゾヌリンの濃度が高くなると、小腸の上皮細胞の結合部分(タイト・ジャンクション)がゆるみ、細胞と細胞の間にすき間が開きやすくなるのです。

このすき間から分解が十分ではないタンパク質が、血液中に入り込み、免疫に異物と判断されることにより食物アレルギーの原因になってくることもわかっています。さらに腸内細菌や、腸のなかの腐敗物質などを通過させる可能性も高くなります。これらも、腸を抜け出して血液中に入り込めば、免疫の攻撃を受けることになります。

免疫はその異物の対応に追われ、いざ病原体が侵入してきたときに十分な力を注げなくなります。しかも、免疫が働けば、そこで炎症が生じます。腸もれが起こっている限り、ジワジワと炎症が慢性的に続いて、細胞の劣化を起こしていきます。これが老化と病気の発症にかかわってきます。

パンやラーメンを含め「粉もの」が好きな人は、とりすぎに十分気をつけてください。できればパン・ラーメン・パスタなどは、週2回くらいに抑えてほしいものです。

■土付きの野菜を選んで食べる

現代を生きる私たちに、今こそ必要なのは「土を食べる(Eat Dirt)」という発想です。これは、米国の医学界でも広がりを見せている考え方です。もちろん、道端の土を食べましょう、というのではありません。加工されたものではなく、土壌菌がいるような自然のものを食べる、ということです。

自分の生命力が落ちているな、と感じるときほど、土付き野菜を買ってきましょう。それを台所で洗うという過程で、多くの土壌菌が舞い散ります。それを吸い込めば自然免疫を刺激できます。土付き野菜は洗うのを大変に感じるかもしれません。その手間が免疫力を高めるために役立ちます。

ネギやニンジン、イモ類など土付き野菜が売っていたら、そちらを選ぶことから、ぜひ始めてください。

■自然の中で食事をする

自然のなかで深呼吸すれば、空気中に浮遊する土壌菌をたくさん吸い込むことができます。お弁当を広げれば、土壌菌を腸まで送り込んであげることもできます。それこそ、腸内細菌が喜ぶ食事です。

ふだんは自然と遊離した生活を送っていても、休日には自然のなかに出かけて行って、自然のものたちとおおいに触れあい、土をいじり、お弁当を広げるような機会を増やしましょう。1万年前の原始的な生活環境で暮らすことはできなくても、ときどき、それに近い経験をすることが、自然免疫を高め、腸内フローラを豊かにするには大切です。

▲自然の中で食事をする イメージ:PIXTA

まだまだ他にも書きたいことはありますが、まず上記に留意し、さらにできる限り、加工食品やレトルト食品を使わないことです。

ほんとうに便利なものではありますが、これらのほぼすべてに含まれる食品添加物は、間違いなく自然免疫を低下させます。人類が誕生した1万年前にまったくなかった成分は、人体にとって今も「異物」なのです。異物は免疫システムの攻撃対象であり、活性酸素も多く発生します。その結果、腸内には活性酸素が大量に発生し、免疫力も低下することにつながります。

皆さんの免疫力が高まり、幸せな日常を過ごせますように!

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