梅の匂いで春を待つ 『梅が香』を愛でる気持ちは失いたくない

こんにちは、フリーアナウンサーの押阪忍です。

ご縁を頂きまして、『美しいことば』『残しておきたい日本語』をテーマに、連載をしております。宜しければ、シニアアナウンサーの『独言』にお付き合いください。

山茶花さざんかから梅の季節へ

1月2月の冬枯れの季節に、街中に明るくいろどりを与えてくれたのは 山茶花でした。山茶花は 椿によく似ていますが、花は 椿よりも少し小振りです。

拙宅の山茶花も、花枯れの庭に赤 白が花をつけ、数ヶ月間、元気とうるおいを与えてくれました。その山茶花には、まだ残花がありますが、季節は早春の花、梅へと移り始めています。

山茶花

梅を見るのを観梅かんばいと言いますが、今の時季は、観梅の前の『探梅たんばい』の頃でしょうか…。厳しい寒さに堪え、ほのかな匂いとともに凛と咲く梅の花…。

拙宅にも紅梅 白梅とありますが、開花は白梅の方が早いようですね。梅は 桜と違って大むね大木は少く、顔を上げる程度で咲く木が多いためか、主に庭木に使われているようです。

勿論、水戸の偕楽園や熱海の梅の名所などには、立派な大木もありますが…。

梅のあの馥郁ふくいくとした香りは、花枯れの野や町やご家庭の庭に、春の訪れをほんのりと伝えてくれます。

白梅

東風こち吹かば にほひおこせよ梅の花、あるじなしとて春な忘れそ。

時の右大臣であった菅原道真が九州の大宰府へ左遷されていた折、みやこの梅のことを思い詠んだ歌として 余りにも有名です。

『東風吹かば』は、学問の神様 菅原道真ですが、
『梅一輪、一輪ほどのあたたかさ』 は、
著名な俳諧師の服部嵐雪です。

梅の匂いで春を待つ気持ち… 今はコロナ禍で殺伐とした世の中ですが、ほのかに ほころび咲き匂う『梅が』を待ち望みでる気持ちは、人として決して失いたくないと思っております。

<2021年2月>

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フリーアナウンサー 押阪 忍

1958年に現テレビ朝日へ第一期生として入社。東京オリンピックでは、金メダルの女子バレーボール、東洋の魔女の実況を担当。1965年には民放TV初のフリーアナウンサーとなる。以降TVやラジオで活躍し、皇太子殿下のご成婚祝賀式典、東京都庁落成式典等の総合司会も行う。2021年現在、アナウンサー生活63年。
日本に数多くある美しい言葉。それを若者に伝え、しっかりとした『ことば』を使える若者を育てていきたいと思っています。

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