離婚する?しない?迷ったら...。19の想定パターンに見る「上手な離婚」への道筋

離婚を考え始めたときに知っておきたいのは、法律の知識だ。子どもや財産のことなどを考えると、後悔のないようにしたい。あえて、上手に結婚を続けるという選択肢もある。

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6月25日『夫婦をやめたい 離婚する妻、離婚はしない妻』(松竹芸能)が発売された。

本書は、弁護士の南和行さんの経験や体験をもとに、19人の女性を巡る離婚の物語が紹介されている。物語自体はフィクションだが、モラハラ夫・夫婦別姓と事実婚・セックスレスなど、実際に離婚を切り出す原因となるであろう設定がされている。

各物語の夫婦が離婚を考えるまでにいたった経緯と状況・事情と感情などを想定し、法律的観点から離婚や結婚を続ける選択をするまでの流れを描いている。

さらに、今まさに悩んでいる人向けに法律家としてできるアドバイスも掲載されている。

??離婚できなくても幸せになれる

本書は、集英社のウェブサイト「よみタイ」で連載していた「離婚さんいらっしゃい」に書下ろしを加えて単行本化したもの。ここでは、ケース9「結婚は罰ゲームなんですか?」を紹介しよう。

子どもに恵まれず夫との冷めきった関係を長年続ける妻、アレ子。脳梗塞で倒れた義母の介護に加えて、夫の不倫疑惑も浮上。そんな時、アレ子は大学時代に同じサークルだった男性と久々の再会をし、ダブル不倫に至る。その関係は数年続き、「彼と結婚して一緒に暮らしたい」と思うように。

彼からプロポーズをされたこともあり、アレ子は夫と別居をし、協議離婚を申し出る。しかし、「離婚する気は一切ない」と弁護士を通じて返事が。実質夫婦の形が成立していないのに、どうして断られるのだろうか。その後、離婚調停を申し出て夫と話し合うも話は平行線をたどる。

最終的に離婚訴訟を提起することになるも、敗訴してしまう。その理由は、アレ子が「有責配偶者」だから。有責配偶者とは、婚姻関係が破綻した原因について、特に責任がある側の配偶者を指す。敗訴後の控訴審で、アレ子は思わず裁判員に「結婚は人生の罰ゲームなんですか?」と言葉に出してしまう。

しかしアレ子は、今は幸せになれたと実感している。離婚訴訟を通じて、結婚という呪縛から解き放たれたのだ。

そして、弁護士の「有責配偶者だからといって、永遠に離婚できないわけじゃないです。何度も離婚訴訟を繰り返して、3周目くらいで離婚判決をもらえばいい」というアドバイスに任せることにしたという。

法律的には離婚が認められなくても前向きに人生を歩もうとするアレ子の姿は力強い。本書には他にも下記のエピソードが収録されている。

ケース1 家の表札が、夫の名字なのが許せないケース2 夫が勝手に解約して消えた、社内預金の行方ケース3 妊娠した不倫相手と夫の再婚のための、離婚はしないケース4 最愛の人との間に生まれた、無戸籍の赤ちゃんケース5 DV夫と重なる、母を怒鳴る実父の記憶ケース6「夜の生活」を求め続ける、老齢の夫への嫌悪ケース7 うつ病で失職した夫と息子を養う、キャリア妻の屈託ケース8 義理の両親と同居するこの家で、子供は作れないケース9 結婚は、人生の罰ゲームなんですか?ケース10 セックスが苦手な夫への不満と、不倫の罪悪感ケース11 母をガッカリさせない結婚のための、離婚相談ケース12 「雲の上」の存在だった、夫のモラハラ度ケース13 家族を捨てた妻は、「ちゃんとした母親」がわからないケース14 同業の夫より有能な検察官の妻が算段する、離婚までの道筋ケース15 流産をきっかけに、カルト集団にのめり込んだ妻の行く末ケース16 パートナーシップ宣誓した同性カップルに、法的離婚は存在しないケース17 夫婦別姓と事実婚を選ぶのは、ワガママなのか

身近に起こる離婚を想起させる設定にはリアリティがある。結末が気になるエピソードばかり。離婚をする・しないの選択肢によって、その後の人生をどう生きるかが大きく変わる。「離婚」の2文字が頭に浮かんだら、後学のために読んでおくことをおすすめしたい。

■南和行さんプロフィール1976年生まれ。大阪府出身。京都大学卒業後、住宅建材メーカーで技術研究職に就くが、同性である恋人と2人で弁護士になることを目指し、一緒に大阪市立大学のロースクールに入学。2008年に司法試験に合格。2011年4月、結婚式を挙げ、夫夫(ふうふ)となる。2013年に大阪市南森町で「なんもり法律事務所」を開設。離婚や面会交流、民放772条の無国籍問題など家族に関する業務を多く扱う。また、LGBT、同性婚、結婚、離婚、戸籍など家族と法律についての講演会を多数行っている。著書に『同性婚〜私たち弁護士夫夫です』(産業編集センター)、『僕たちのカラフルな毎日〜弁護士夫夫の波乱万丈奮闘記』(祥伝社)などがある。

※画像提供:松竹芸能

(BOOKウォッチ編集部)

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