50代こそ「好き」を仕事に。「年34日の洋品店」店主が教える英国流セミリタイア

 吉祥寺よろず屋 The Village Storeには、洋服から雑貨、本、食品まで、イギリスの小さな町で仕入れた商品が所狭しと並んでいる。店主の井形慶子さんは、56歳の時、この店を始めた。

好きなものを集めて、好きな場所で、好きな時に店を開く。夢ではあっても、50代から始めるのは相当に勇気がいる。だいたい、そんな道楽のような商売では食べていけない。副業で片手間にできることでもなし、夢は夢として現実の世界で生き抜く方法を考えねば――と、普通の人なら考えるだろう。

しかし、井形さんは違った。

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『年34日だけの洋品店』(集英社)

28歳の時に出版社を立ち上げ、英国情報雑誌を刊行した井形さん。100回以上も渡英を繰り返し、英国好きが高じてロンドンにも住まいを持つように。そして、56歳で東京・吉祥寺に、イギリスの小さな町にあるような雑貨屋さんを始めた。

その奮闘記をまとめたのが、『年34日だけの洋品店』(集英社)だ。

??それが好きなことか、やりたいことか

井形さんは、子どものころから自分のお店を持つことに憧れを抱いていたという。しかし、社会に出て荒波にもまれるうちに、気が付けば50代も半ば。世間的には何かを始めるのに適した年齢ではないことは承知しているけれど、まだまだ気力も活力も備えている今を逃すなんてもったいなさすぎる。ならば新しいことを始めてしまえばいいではないかと、一念発起した。

曰く、50代で何かを始める前提は、「それが好きなことか、やりたいことか」の2つだけ。

雑誌編集長とかけもちのため、店の営業日は年にたった34日。それでも、食品から衣類、本まで、イギリスの魅力に溢れたアイテムが美しく並んでいる店には、毎回たくさんのファンが訪れる。

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お店の前の井形さん

井形さんが大切にしているのは「物を売るだけでなく、イギリスの生活文化や風土までお客さんに届けたい」という想いだ。取り扱っているアイテムのほとんどが、イギリスの小さな工房や個人の手仕事によるもので、ほかでは買えない商品が並ぶ。

限られたお金と時間で人気の街に店をつくった「ときどき店主」の井形さん。本書には、長く、自由に働くヒントや、イギリスで学んだ無理のないセミリタイアで、お店を開店するまでを紹介している。

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これから先の人生、何か始めたい、働き方を変えたい人という人に、勇気をくれる一冊。

目次は下記の通りである。

これからの仕事は小さく好きなことを中心にストレスフルな高給取りより少額固定給の自由人がいい!50代で始める小さな店作り無理なく、ずっとお店を続ける工夫英国流小商いで小さな洋品店オープン洋品店という名の何でも屋人生経験でこなす本格的接客仕事店を始めて分かったこと60代、好きなことでも未来は決めない

12月15日には、NHK文化センター町田教室の主催で、オンライン講座「好きなことを仕事にすること」と、大事な「お金のこと」を開催予定。とっておきの商品やこだわりの内装など、一つ一つに込められた思いを井形さん自身が解説する。申し込み方法など詳しくは、NHK文化センターのウェブサイトに掲載されているので、興味のある方は要チェックだ。

■井形慶子(いがた・けいこ)さんプロフィール

1959年長崎県生まれ。作家。28歳で出版社を立ち上げ、英国生活情報誌「ミスター・パートナー」を発刊。100回を超える渡英後、ロンドンにも住まいを持つ。『古くて豊かなイギリスの家 便利で貧しい日本の家』『ロンドン生活はじめ! 50歳からの家づくりと仕事』『イギリス流 輝く年の重ね方』『いつか一人になるための家の持ち方 住まい方』など著書多数。

※画像提供:集英社

(BOOKウォッチ編集部)

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