東京メトロに乗って、あの街へ。ガイドにもなる「#東京デートストーリー」

 浅草、上野、神保町、銀座、荻窪、四谷三丁目、根津、後楽園、新宿、八丁堀、北千住......。「愛とか、恋とか、好きとか、嫌いとか、"東京"が全部教えてくれた」

 カツセマサヒコさん、shin5さん、りょかちさんによる『恋が生まれたこの街で #東京デートストーリー』(株式会社KADOKAWA)は、東京メトロ50の駅が登場する、18の短編デート小説。

 「デート気分が味わえる!」「コロナ禍が明けたときのシミュレーションができる!」と話題で、刊行から1ヵ月経たずして重版が決定した。

 「よく知る駅も、登場人物の目を通すと、新しい発見があるかもしれません。メトロに乗って、一緒に街を巡ってみませんか?」

◼️東京メトロ50の駅、実在するお店が登場

 本書は、東京メトロが運営するインスタグラム「@tokyodate_metro(東京デートストーリー/東京メトロ」で2019年10月から2021年3月まで連載された17篇を加筆・修正のうえ、再構成したもの。さらに、カツセマサヒコさんによる書き下ろしを追加。

 物語には、東京メトロ50の駅をはじめ、実在するお店やスポットが登場。付き合う前の食事デート、一緒に暮らすための雑貨を買いに行くデート、将来を想像しながらのんびり過ごすデート......と、いろんなデートを疑似体験できる。

■目次chapter01 彼女は僕より本が好きだからchapter02 まだ見てなかったものを探しにchapter03 今日だけは先を歩きたいchapter04 まるであの頃の二人のようにchapter05 今のままでも、大人になってもchapter06 あなたはいつも正しいよchapter07 娘がハタチになりまして。chapter08 ゆっくりと時間が流れる場所を探してchapter09 答えなんて、出なくても。chapter10 「またね」が言えなくなる前にchapter11 「また来ようね」と言える幸せchapter12 だからこれからもよろしくねchapter13 予想外の雨が教えてくれたことchapter14 飽きっぽい私たちchapter15 東京を、もっと知りたくなった夜chapter16 腹が空くまで歩こうよchapter17 未来に続く道で、ふたつ巻末書き下ろし小説 昔行ったあの店がなくてもメトロの雑学

※18篇のうち、13篇をカツセマサヒコさん、1編をshin5さん、4篇をりょかちさんが執筆。※本書に登場するお店やスポットは、2021年12月17日時点の情報。

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東京メトロ内の路線で中づり広告も登場(路線や時期は未定)

◼️まだ行ったことのないところに行こう

 ここでは、「chapter01 彼女は僕より本が好きだから」を紹介しよう。

 僕と彼女は恋人になって4年。その日、「まだ行ったことのないところに行こう」という彼女の提案に乗り、メトロの24時間券を買った。銀座線に乗り、浅草駅から徒歩3分。隅田川沿いにある「スケロクダイナー」へ。レンガ調の外観が趣深く、3階まで吹き抜けになった天井が心地いい。

 「彼女は綺麗に盛り付けされたアボカドトーストを頬張りながら、『なんか今日、イイ日になりそう』と嬉しそうに言った」

 よく意見が食い違う僕と彼女が、どうして4年も付き合っているのか。それは「本が好き」という共通点があるから。

 「浅草文化観光センター」の屋上から雷門周辺の賑わいやスカイツリーを一望した後、「落ち着いて本を読める場所」を探した。そして新宿の「BOOK AND BED」へ。受付横のロッカーが隠し扉になっていて、重い扉を開けると、開放的な空間が広がっていた。ベッドの周囲には独特のセンスで選書された本が並ぶ。

 「僕はカフェラテをカウンターに置くと、隅から隅まで本棚を覗く彼女の横顔を眺めた。なんだか、機嫌が良さそうだ」

 本書は「物語に出てきたお店リスト」付き。いくつかお店のサイトを見てみたが、どこも見事におしゃれ。コロナ禍が落ち着いたら、気になったところを巡ってみるのもおすすめ。

 自分の恋が生まれた街を思い出したり、これから生まれるかもしれない恋を想像したり......。本の中で「気分を味わう」のもいいものだ。

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■カツセマサヒコさんプロフィール 1986年東京都生まれ。一般企業勤務を経て、2014 年よりライターとして活動開始。20年刊行の小説家デビュー作『明け方の若者たち』(幻冬舎)が大ヒットを記録し、映画化。21年にはロックバンドindigo la Endとのコラボレーション作品として2作目となる小説『夜行秘密』(双葉社)を刊行。東京 FM のラジオパーソナリティや雑誌連載など、活動は多岐にわたる。

■shin5さんプロフィール 都内で会社員をしながらなにげなく始めた、妻と3人の子どもとの日常を綴ったTwitterのつぶやきは、理想の結婚生活として一躍有名に。その内容は、妻への恋心と愛情いっぱいの"本当にあった"結婚生活ラブコメディで、2016年にコミック『結婚しても恋してる』(KADOKAWA)として出版された(全3巻)。著書に『いま隣にいる君へ、ずっと一緒にいてくれませんか』(KADOKAWA)がある。

■りょかちさんプロフィール 1992年生まれ。学生時代より各種ウェブメディアで執筆。新卒でIT企業に入社し、アプリやWEBサービスの企画開発・コンテンツマーケティングに従事した後、独立。現在は若者やインターネット文化についてのコラムのみならず、エッセイ・脚本・コピー制作も行う。2021年8月、キャリアSNS『YOUTRUST』で運営中のユートラ編集部・編集長に就任。著書に『インカメ越しのネット世界』(幻冬舎)がある。

※画像提供:株式会社KADOKAWA

(BOOKウォッチ編集部 Yukako)

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