子どもを塾へ通わせる前に、性教育を始めるべき理由

 わが子には幸せに生きてほしい。だからこそ、英語を習わせたり塾に通わせたりして将来の選択肢をなるべく増やしてあげたい、という親御さんは多いだろう。

 一方で、性教育はどうだろう? 親子で性の話はしづらく、学校でも踏み込んだ教育は行われていないのが現状だ。家庭でも教育現場でも避けがちな話題だが、「自分のからだのことを自分の意思で決められること」は、子どもの将来を左右する、もっとも大切な能力だ。

 では、何歳から、何を、どういう順で身につけていけばよいのか。それを親子で楽しく学べるのが、本書、『安全、同意、多様性、年齢別で伝えやすい! ユネスコから学ぶ包括的性教育 親子で考えるから楽しい! 世界で学ばれている性教育』(講談社)だ。

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??人間に大事なこと「全部入り」

 幼いころから性教育を行うことは、子どもたち自身や周囲の人を守る上でも大切だ。とはいえ年齢が変われば教える内容やアプローチも変わるはず。そこで今、5〜18歳を4段階に分けるユネスコ式の「包括的性教育」が注目されている。

 世界で取り入れられている「包括的性教育」とは、安全・同意・多様性・ジェンダーなど、ひとりひとりの人権に基づいて、世界の子どもたちが「一生幸せな生活を送るために」必要な学習目標をまとめた性教育のことを指す。

 月経や射精といった生理的なことを学ぶだけではなく、「性」を生物学や政治・経済などの社会、環境など多面的にとらえて学ぶことに重点をおく、まさに「包括的」=「人間に大事なこと全部入り」の内容だ。

??国際標準の性教育をおうちで

 本書は親パート・子パートに分かれている。

 たとえば、5〜8歳の子パートでは、「自分はどこから生まれてきたのか」「からだはなぜ大事なのか」を考え、自分がかけがえのない存在だということを学ぶ。

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 親パートでは、「伝え方」もふくめてわかりやすく紹介していく。ユネスコ「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」に基づき、「同意」「安全」「人間関係」「多様性」などの大切なことを年齢別にどこまで伝えればいいのか、しっかり解説されている。

 「お風呂は何歳まで混浴OK?」のような身近な質問から「どう生きるべきか?」まで、幅広い疑問を本書1冊でカバーしている。

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 性的な関心が強まってくる12〜15歳は、社会にあふれる情報から正しいものを選択し、自分の意思で決定する力を身につけていく。

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 15〜18歳の学習はさらに発展的だ。納得のいく決断を子ども自身がするための「自主性」を学んでいく。意思決定力とともに、相手の意思を確かめることも大切だ。

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 2児の母であるライター・上村彰子さんが、『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』(明石書店)の翻訳者のひとりでもある田代美江子先生(埼玉大学 教育学部教授)に、わからないこと知りたいことを全部聞き、Q&A形式で紹介している。性教育の大事さを日々発信している多彩な人々へのインタビューも掲載。今、何が大事なのか、何が問題とされているのかが、より深く理解できる。

 性教育は、親しい家族だからこそ伝えにくさを感じることもあるだろう。大切なことだからこそ段階的に子どもの発達に応じた内容を教えられるようにしておきたい。子どもたちが自己肯定感を育むうえでも、国際標準の性教育が求められている。

※画像提供:講談社

(BOOKウォッチ編集部)

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