『毎日かあさん』で話題......"親子"の難しさを見つめ直す。

 子育てマンガ『毎日かあさん』で知られる西原理恵子さんの実の娘、鴨志田ひよさんのブログが話題だ。

「お母さんは何を思って私の許可無く、私の個人情報を書いて、出版したんだろう。」「出演した舞台の初日が終わった日、お母さんは書かないでと言ったことをsnsに書いた。」(2020年9月21日の投稿「?」より)

 『毎日かあさん』の中とは違った親子の一面に、多くの人が衝撃を受けている。 親と子の思いはしばしばすれ違い、ぶつかり合うこともある。さまざまな"親子関係"の難しさを書いた4つの作品を紹介し、親子というものを見つめ直してみたい。

??「この子のために」が親子をむしばむ

朝比奈あすか『翼の翼』(光文社)

 本作が描いているのは中学受験だ。翼は小2のときに受けた全国の学力テストをきっかけに、中学受験に挑戦することに。母の円佳は「この子はできる」「この子のために」と愛情を注ぎ、翼の勉強を後押しする。 3年生のときには塾で最上位のクラスにいた翼は、4年生で大幅にクラスを落としてしまう。焦り、苛立ち、翼に過酷な勉強をさせる円佳。「成績を上げれば母は自分を好きになってくれる」と思う翼。親子はどんどんエスカレートしていき......。 圧倒的なリアリティをもつ本作。子育てをするすべての親に突き刺さる。

??すれ違う母と娘の思い

町田そのこ『星を掬う』(中央公論新社)

 本作は、大人になった親子のすれ違いの物語。元夫のDVから逃げ出した千鶴は、恵真という女性から連絡を受ける。恵真は、かつて千鶴を捨てた母・聖子と同居し、聖子を「ママ」と呼んで慕っていた。聖子とは「死んでも会うものか」と思っていた千鶴を、恵真は「絶対に会ったほうがいい」と説得する。聖子は進行の速い若年性認知症を患っているのだった。 恵真は、彼女と聖子、そして娘に捨てられた彩子という女性の三人が住む「さざめきハイツ」に千鶴を連れて行く。千鶴と、別人のようになった聖子との22年ぶりの再会は、悪夢のようだった。「ああ、このひとは、ほんとうにわたしを捨てたのだ」-------- すれ違う母と娘の奇妙な同居は、いったいどこへ向かうのか。

??もしも、子どもが親を選べたら?

イ・ヒヨン『ペイント』(イースト・プレス)(訳:小山内園子)

 こちらは少し視点を変えた作品。子は親を選べないということを意味する「親ガチャ」という言葉が浸透しているが、もしも子が親を選べたらどうなるのか。本作は、そんな究極の"if"を描いた韓国のベストセラーだ。 舞台は近未来の韓国。「国家の子ども(nation's children)」=「NC」という制度のもと生まれた子どもたちは、20歳までに「父母面接(parent's interview)」=「ペイント」で養親を選ぶことになっている。優しげに見えて、本当は政府の支援金目当ての親候補たち。主人公であるNCのジェヌは、そんな一見感じのよさそうな候補たちを避けていた。しかしあるとき、ジェヌは少し風変りな親候補と「ペイント」する。 大胆な設定で、「親子とは何か」「親の資格とは何か」を問い直した作品だ。

??子どもに寄り添っていたつもりなのに......

深爪『親になってもわからない 深爪な子育てのはなし』(KADOKAWA)

 最後は、親の視点から子育ての難しさを語ったエッセイを紹介する。深爪さんは、子どもの頃母親に怪我を「そんなの痛くない」と言われて傷ついた経験から、自分の子どもには「大丈夫?」「痛かったね」と寄り添うよう心がけていた。 ところが、娘が4歳の頃に家族で花火をした後、娘が足の指にやけどをしていて、深爪さんに気づかれるまで隠していたことがわかった。「怒られる」と思って我慢していたのだと言う。普段から寄り添っていたのになぜ......。深爪さんは、長男の忘れ物やなくし物など、「本人に落ち度がありまくる」場合は烈火のごとく怒っていたことに思い当たった。4歳の娘は、落ち度にかかわらず「失敗すれば怒られる」と思ってしまったのだ。 「誰か『正解』を教えてほしい。」親になればわかるとよく言うが、親になってもわからないことは山ほどある。

(BOOKウォッチ編集部)

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