「世間様」に読んでほしい。FTM当事者の秘められた青春の記憶

FTMとは「Female to Male(女性から男性へ)」の略で、「女性として生まれてきたけど、心は男性」の人たちを指す。LGBTの「T」にあたるトランスジェンダーの中のアイデンティティーの1つだ。

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2022年6月28日から「くらげバンチ」で連載開始したマンガ『拝啓、世間様。』では、LGBT当事者が違和感を隠しながらも自分らしさを模索する物語が描かれている。主人公は、今から20余年前の地方の女子高生・橘りの。今よりもさらに「普通」であることが求められた時代に、りのは何を感じ、「世間様」とどう闘ったのか――。

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??「自分は女という生き物なんだ」と自覚した

本作は、著者であり、LGBT当事者の神ア新さんの体験も反映されている。本作の主人公、りのは高校生だが、自身が16歳のころには、すでに社会にでていたという神アさん。オナベBARで働いた経験もある。

インタビューで神アさんは、(自身がFTMであるということに)「いつ頃から自覚があったか」という質問に、次のように答えている。

「これはオナベBARで働いてた時によく聞かれたのですが、答えは「生まれた時から」が1番しっくりくると思っています。『あ、自分心が男なんだ』と自覚したのはFTMという存在を知って、それを受け入れた時なので21歳頃ですが、自分が『女という生き物なんだ』と自覚したのは小学校に入ったくらいだと思います。」

本作を「世間様」と「昔の自分」に読んでほしい、と神アさんは語る。

「初めは誰にも知られたく無かったし、嫌だったんですが、自分がFTMだと気がついて、自分の事を受け入れるようになった時に、自分の様な人間もいる事を知ってもらえたらなと思い、いつか描けたらなと思うようになりました。まだ知らない昔の自分の様な人が一人で悩まないように、知識の一つとして、生き方の一つとして共有できたらいいなと思い描かせて頂きました。」

「橘りの」の人生を通して神アさんが伝えたかったこととは。多様性が叫ばれる時代に送り出した、秘められた青春の記憶。

※画像提供:新潮社

(BOOKウォッチ編集部)

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