鉛筆1本で描いたウクライナ戦争日記。子どもたちの腕に連絡先を書いた理由とは。

 「子どもたちの腕に名前と生年月日、連絡先を書いた。万が一、死んでしまっても身元が分かるように。」

 2022年9月5日、河出書房新社より『戦争日記 鉛筆1本で描いたウクライナのある家族の日々』(オリガ・グレベンニク 著、奈倉 有里 監修、渡辺 麻土香 訳、チョン・ソウン 訳)が発売予定。

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 本書は、絵本作家で2児の母であるオリガさんが、ロシアによる軍事侵攻直後から鉛筆1本で描いた絵日記。侵攻が始まった2月24日からマンションの地下室での避難生活を余儀なくされ、ハリコフ(ハルキウ)から西部の街リヴォフ(リヴィウ)を経てブルガリアまで逃れていく過程を、絵と文章で綴っている。

 韓国の出版社が4月に書籍化すると世界で大きな反響を呼び、日本でもNHK「おはよう日本」(6月6日放送)で紹介され、イタリア、ドイツ、ルーマニア、フィンランドなど、世界数カ国で出版が決定している。

 河出書房新社は、本書の売上1冊につき100円をウクライナ赤十字社に寄付するという。また、日本での出版に際して、ユニセフ(国際連合児童基金)親善大使で、多くの慈善活動に携わっている黒柳徹子さんから推薦のメッセージが寄せられている。

【黒柳徹子さんの推薦メッセージ】「鉛筆一本もって地下室に避難し、戦争と二人の子どものことを描き続けるウクライナの絵本作家。走り書きのような絵と文章は、差し迫った彼女の心が表れている。今までになかった戦争日記」

【著者の言葉】わたしがこの日記を書くのは「戦争反対!」と叫ぶためである。戦争に勝者はいない。そこにあるのは血、破壊、そしてわたしたちひとりひとりの心の中に出来た大きな穴だけだ。わたしは民族で人を分けない。人を定義するのは、民族ではなく行動だからだ。多くのロシア人が戦争に反対しているということも知っている。今わたしは国籍や民族を問わず、わたしを助けてくれる人たちと共にいる。彼らには「力」がある。戦争は終わり、そういう力を持った人たちは今は、はっきりと分かる。戦争と人間が別物であるということが。戦争は人間など気にしない。戦争はわたしを思いっきり揺さぶった。

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地下室にチョークを持ってきた。とうとう、ここにも「洞窟壁画」と言えるくらいのものが出来上がった。

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はっきりとどこへ行くのかは分からないまま、わたしたちは電車に飛び乗った。

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夫はわたしたちをバスに乗せた。ここから先、彼はわたしたちと一緒に行くことができない。

 ウクライナの現実、戦争の現実を描く、慟哭のドキュメンタリー。心に迫る絵と切実な文章で綴られた、今こそ読まれるべき1冊だ。

■著者 オリガ・グレベンニク(Olga Grebennik) 1986年、ウクライナのハリコフ(ハルキウ)生まれ。大学では建築学を専攻し、現在は絵本作家、イラストレーター、アーティストとして活動している。9歳の息子と4歳の娘の母(2022年4月現在)。『ママ、怒らないで』などの絵本を出版。彼女が挿絵を描いた本はすべてベストセラーになり、イラスト作品も世界各国で人気を博す。

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■ロシア語監修 奈倉有里(なぐら・ゆり) 1982年東京生まれ。ロシア国立ゴーリキー文学大学卒業、東京大学大学院博士課程満期退学。博士(文学)。著書に『夕暮れに夜明けの歌を──文学を探しにロシアに行く』(イースト・プレス)、『アレクサンドル・ブローク 詩学と生涯』(未知谷)、訳書にミハイル・シーシキン『手紙』、リュドミラ・ウリツカヤ『陽気なお葬式』、ウラジーミル・ナボコフ『マーシェンカ』(以上、新潮社)、サーシャ・フィリペンコ『赤い十字』(集英社)など。

※画像提供:河出書房新社

(BOOKウォッチ編集部)

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