"正しい"より"優しい"が尊い。菅野美穂さんが27歳だったころ

 27歳のころ何に迷い、何に悩んでいたか、覚えているだろうか。そして、その時の選択は正解だったと胸を張って言えるだろうか――。

 本書『わたしたちが27歳だったころ』(講談社)は、俳優、映画作家、脚本家、宇宙飛行士、映画字幕翻訳者、ドラマプロデューサーなど、さまざまな分野で活躍している女性たちに「27歳だったころ」の話を聞いてまとめた一冊だ。副題には【悩んで、迷って、「わたし」になった25人からのエール】とある。憧れのあの人は当時、何に悩み、どんな生き方を選択し、今、何を思うのか。

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 俳優の菅野美穂さんは、27歳のころがまさに自身の「ターニングポイント」だったと振り返る。

 15歳でデビューした菅野さん。当時すでに10年超のキャリアがあり、初々しさでは乗り切れない「微妙な年齢」を迎えていた。26歳の時に『大奥』で初めて時代劇を演じ、連ドラの仕事も立て続けに入り、息をつく暇もない日々。そんな中、27歳の誕生日を迎えて「30歳まであと3年しかない」と愕然とする。菅野さんにとって30歳とは「完成した大人のイメージ」で、あと3年でそのイメージにたどり着けるとも思えず、現実とのギャップに焦りを感じていたのだ。

◼️選んできた自分の道に、後悔はない

 現在の事務所に移籍したのはそのころ。それを機に、オンとオフを長いスパンで切り替える働き方ができるようになり、仕事に対する責任感も変わったという。

 その後、結婚を経て出産。37歳での出産は大変だったが「それまでの人生で選んできた自分の道に、やっぱり後悔はありません」と断言する。

<今もし、27歳の自分に会えたとしたら? もうあの頃の気持ちはほとんど別人のことみたいで思い出せないけど、ひとこと伝えるとしたら「この先、"正しいこと"より"優しいこと"が尊いって気づくようになっていくからね」って言いたいかな。>

 今も憧れの先輩たちの背中を追って「修行を重ねている」という菅野さん。謙虚な姿勢は変わることなく、俳優として母として、しなやかな人間力を身に付けてきたことがわかる。

 本書では、各世代のさまざまな分野で輝いている25人の女性たちの言葉が掲載されている。

【悩んで、迷って、「わたし」になった25人からのエール】1 菅野美穂(俳優)「"焦ってよかった"と思えるまで、走り続けて」2 永作博美(俳優)「20代は、選択する力を養う修行の時間なんだと思う」3 河瀬直美(映画作家)「自分が自分らしく居られる場所を掘り下げて」4 野木亜紀子(脚本家)「夢やビジョンがなくたって、人生はまだまだこれから」5 紅ゆずる(俳優)「立ち向かわずに凌ぐだけでも、大丈夫」6 吉瀬美智子(俳優)「取り柄がないと思うなら、明確な目標を立てること」7 優香(タレント・俳優)「"ここしかない"、"これしかない"って、思い込みかも」8 佐々木恭子(フジテレビアナウンサー)「カッコ悪くても、愚直に行けば想いは届く」9 吉田羊(俳優)「20代の自信に、根拠なんかなくていい」10 大竹しのぶ(俳優)「自分が大事にしたいものを、信じてさえいれば」11 北川悦吏子(脚本家・映画監督)「休むことだって、誠実に生きるということ」12 向井千秋(宇宙飛行士)「人間の命は有限。"後悔先に立たず!"で挑戦を」13 海野つなみ(漫画家)「ボール球も時代が変わればストライクになる」14 山口智子(俳優)「試練に立ち向かった日々は、新たなチャレンジの力になる」15 安野モヨコ(漫画家)「乗り越えた分だけ、できることが増えていく」16 夏木マリ「本気で動けば、可能性はグンと広がる」17 風吹ジュン(俳優)「経験が少ないときほど自分の感覚を大切に」18 大和和紀(漫画家)「ピークはこれから。20代は、地道に努力してみて」19 村木厚子(元厚生労働事務次官)「仕事と育児の両立が辛いなら、借りを作る時期があってもいい」20 長谷川京子(俳優)「1日1日を乗り越え続けると、自由な世界が広がっていく」21 倖田來未(アーティスト)「全力を出し切ったら、自分を労うことを忘れずに」22 新井順子(ドラマプロデューサー)「仕事も人間関係も、まずは面白がることから」23 戸田奈津子(映画字幕翻訳者)「目標の近くに居れば、夢は叶う」24 本谷有希子(劇作家・小説家)「今抱えているコンプレックスは、無理に解消しないで」25 野田聖子(衆議院議員)「真面目に頑張り過ぎずに、"ふつう"の願望を叶えよう」

 彼女たちの「今」を形作ってきた生き方や知られざる葛藤は、決して特別なものではない。今、27歳前後の人だけでなく、アラフォー以上の人が読めば、自分の過去と照らし合わせて共感できることも多いだろう。「わたし」を見つけた人も、探している最中の人も、ぜひ手に取ってほしい一冊。

(BOOKウォッチ編集部)

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