ツイッターを買収した「世界一のお金持ち」。イーロン・マスクの正体に迫る

 ロシアの侵攻後すぐに、衛星インターネット接続サービス「スターリンクシステム」をウクライナに無償で提供して英雄扱いされる。ツイッター社を買収し、直後に大規模なリストラを実行する。2022年4月には「ツイッターが社会の信頼に値するためには政治的に中立でなければならない」と言っていたのに、11月になると社主自ら「共和党に投票することをお勧めする」と投稿してしまう......。

 この数年間さまざまな言動で世界を振り回し、ツイッターの買収を経て日本人の生活にも密接に関わるようになった大富豪イーロン・マスク氏。今や2位以下を大きく引き離して「世界一のお金持ち」の座を占めるマスク氏とは、どんな経歴でどんな考えを持つ人物なのか。それを教えてくれるのが、2022年11月4日に発売された『イーロン・マスクとは何者か』(リベラル社)だ。

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◼️数々の気まぐれ発言

 マスク氏の気まぐれな発言は、今に始まったことではない。最も有名なものとして、マスク氏が経営者を務めるテスラに関する2018年のツイートを挙げている。

「(一株)420ドルでテスラ株の非公開化を検討中。資金を確保した」

 この時もどこまで本気なのかとその本気度をめぐってさまざまな憶測が飛び交ったが、最終的にテスラは非公開化されるどころか、資金の調達先についてすら明らかにならなかった。これは「上場企業のCEO」としてあり得ない発言であり、実際に詐欺として提訴されて制裁金2000万ドルを支払うことに。それでも「テスラを率いることができるのはマスクしかいない」ということで、マスク氏はその後もCEOであり続けている。

◼️「世界一のお金持ち」の半生と戦略

 その強烈なキャラクターで映画「アイアンマン」のモデルになったことでも知られるマスク氏だが、1989年にはカナダに移住したばかりの何も持たない若者だった。そこからわずか30年余りで、どうやって世界を動かす存在へと成長することができたのか。

 本書は、マスク氏を「壮大過ぎるほどのビジョンを掲げる一方で、緻密なマスタープランに沿ってものごとに取り組み、結果が出るまで何度失敗しようとも決して諦めることなく頑張り続ける」人物であるとして、その半生と経営哲学を描き出している。

 マスク氏を知ることは、自分のビジョンや夢をいつか実現したい人や、起業を考えている若者や経営者にとって、大きな財産になるかもしれない。時代の寵児の軌跡から、人生を生きる上でのヒントを学ぼう。

■桑原晃弥(くわばら てるや)さんプロフィール 経済・経営ジャーナリスト。1956年広島県生まれ。慶應義塾大学卒。業界紙記者を経てフリージャーナリストとして独立。トヨタ式の普及で世界的に知られたカルマン株式会社の顧問となって、トヨタ式の実践現場や大野耐一直系のトヨタマンたちを幅広く取材、トヨタ式の書籍やテキストなどの制作を主導した。一方、業界を問わず幅広い取材経験を持ち、企業風土や働き方、人材育成から投資まで、鋭い論旨を展開することで定評がある。『スティーブ・ジョブズ名語録』(PHP研究所)、『トヨタ式「すぐやる人」になれる8つのすごい!仕事術』(笠倉出版社)、『自分を活かし成果を出す ドラッカーの言葉』『人を大切にし組織を伸ばす 稲盛和夫の言葉』『トヨタの描く未来』(以上、リベラル社)など著書多数。

(BOOKウォッチ編集部)

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