クラスに1人はいる「ギフテッド」 IQが高すぎて起きるトラブル

 NHK「Dear にっぽん」日テレ「news every.」TBS「日曜日の初耳学」など、TVでも盛んに取り上げられるようになった「ギフテッド」。彼らは、特異な才能をもつ一方で、繊細さや強いこだわりを併せ持つといわれている。なぜ彼らは困難を抱えるのか。なぜ教育はその才能を伸ばさないのか――。

 2023年5月19日に発売されたノンフィクション『ギフテッドの光と影 知能が高すぎて生きづらい人たち』(朝日新聞出版)は、ギフテッドが抱える「影」の部分、時代、社会、環境に翻弄されてきた実情に焦点をあて、朝日新聞デジタルで500万PVを超える大反響を呼んだ連載を書籍化したものだ。

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「ギフテッド」と聞くと、「計算がものすごく早い」「複雑な絵を描く」「難しいものごとを一瞬で覚える」など、ポジティブな側面を思い浮かべる人は多いはず。

 しかし、それはギフテッドという属性の「光」の面に限った話。実際には、「話が合わない」「なじめない」「生きづらい」など、個性の強さ、知能の高さゆえの悩みやトラブルに直面する人が多いという。

 海外の研究では、ギフテッドはさまざまな領域で3〜10%程度いるとされ、1教室35人のクラスに、1〜3人はギフテッドがいる計算になる。ギフテッドは、必ずしも「遠いところにいる天才」ではなく、私たちが実際に関わっている身近な人間を指す言葉なのだ。

 本書で紹介するギフテッドたちに共通するのは、「周りの人の助けによって、自分の個性に気づけた」ということだ。つまり、本書を読み、もしかするとギフテッドの親や同僚や友人であるかもしれない私たちが、ギフテッドの存在について知ることが、ギフテッドたちの助けになるということでもある。多くの人に手に取ってほしい一冊だ。

【目次】第1章 とびぬけた頭脳、なじめない環境・IQ154、小4で英検準1級の少年・36歳で知った、IQと私の居場所・「5度の視野」から鳥を見る 特別な目の少年・「できる自分」を隠した IQ140のろう者・能力を発揮するたび上司と衝突、広がった「ずれ」第2章 「ギフテッド」とはどのような人か第3章 特異な才能の受け皿・世界中から「異能」が集う 孫正義氏の財団・僕もそうだった 大学生が寄り添うメタバース・「ギフテッドクラス」をつくった学校の挑戦と挫折第4章 「才能教育」の過去と現在・戦時中に行われていた日本のエリート教育・5年間で5億円 頓挫した東大のプロジェクト・ギフテッド教育を行う各国の事情・米国のギフテッド教育を受けた男性から見た日本第5章 変わる日本の教育現場

■阿部朋美さんプロフィールあべ・ともみ/1984年生まれ。埼玉県出身。2007年、朝日新聞社に入社。記者として長崎、静岡の両総局を経て、西部報道センター、東京社会部で事件や教育などを取材。連載では「子どもへの性暴力」や、不登校の子どもたちを取材した「学校に行けないコロナ休校の爪痕」などを担当。2022年からマーケティング戦略本部のディレクター。

■伊藤和行さんプロフィールいとう・かずゆき/1982年生まれ。名古屋市出身。2006年、朝日新聞社に入社。福岡や東京で事件や教育、沖縄で基地や人権の問題を取材してきた。朝日新聞デジタルの連載「『男性を生きづらい』を考える」「基地はなぜ動かないのか 沖縄復帰50年」なども担当した。

※画像提供:朝日新聞出版

(BOOKウォッチ編集部)

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