「iPhoneの予言者」ツイッターの未来を語る マスク氏買収後の姿こうなる

発売前のアップル製品について精度の高いリークを提供し、「iPhoneの予言者」として知られるアナリストのミンチー・クオ(郭明?)氏が、米EV(電気自動車)大手テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)が買収に動いているツイッターの未来を予測した。

いわく、マスク氏はツイッターを中国のIT大手テンセント(騰訊)のビジネスモデルに寄せることで、2028年の財務目標の実現を狙っているという。

■収益力向上が重要ミッション

EV製造のテスラ、宇宙開発のスペースX......。人類のイノベーションをリードしてきたマスク氏が先月ツイッターの買収に合意し、世界中の注目を集めている。

ツイッターは4億人のユーザーを抱え、強力な情報拡散力があるにもかかわらず、2022年1〜3月期決算は1億2780万ドル(約170億円)の営業赤字を計上。マネタイズが進まないことが、マスク氏による買収劇につながった面もある。したがって、同氏の最も重要なミッションは、収益力の向上になる。

米ニューヨーク・タイムズの報道によるとマスク氏は、ツイッターの年間売上高を2028年までに264億ドル(約3兆4032億円)と、昨年の50億ドル(約6445億円)から5倍に増やす目標を掲げた。

また、売上高に広告収入が占める割合を2020年の約90%から45%に引き下げ、2028年の同収入は120億ドル(約1兆5475億円)になると示した。サブスクリプション(定額課金)収入を100億ドル(約1兆2896億円)と見込み、決済サービスなども収益源としたいようだ。

クオ氏は、テンセントがSNSサービス(サブスクを含む)から176億ドル(約2兆2697億円)、広告から133億ドル(約1兆7152億円)、フィンテック・企業向けサービスから258億ドル(約3兆3267億円)の収入を得ていることを指摘し、ツイッターがテンセントの収益構造をベンチマークすれば、マスク氏の目標は「達成可能」とした。

■「Twitter Pay」誕生か

テンセントはパソコン(PC)向けメッセンジャー「QQ」を祖業とし、スマートフォン(スマホ)普及に合わせスマホ向けメッセージアプリ「WeChat(微信)」をリリース、同アプリのユーザー数は12億人に達する。WeChatのリリースは日本で普及しているLINEと同時期だが、2014年からモバイル決済WeChat Payを展開し、中国社会のキャッシュレス革命の原動力になった。配車サービスや旅行の予約、料理宅配、買い物など日常生活のありとあらゆるサービスがWeChatで完結するため、中華圏の人々にとってライフラインになっている。

SNSとフィンテックに加え、テンセントは世界最大のゲーム企業としても知られ、さらには音楽配信、動画配信などコンテンツプラットフォームも手掛けている。

マスク氏が投資家に示した将来のビジネスモデルは、サブスク収入の成長を軸としているが、クオ氏は、マスク氏が「Twitter Pay」を導入し、外部サービスと連携して収益化を図ることにも期待している。

ちなみに、2019年にヤフーを傘下に持つZホールディングスとLINEが経営統合に向けて調整していると最初に報道した日経新聞は、統合の理由に「消費者のネット利用が一般的になり、中国では1つの窓口で各種サービスをまかなう巨大企業が出てきている」と分析し、その代表例としてテンセントの名を挙げた。

SNSを軸に、2010年代前半にコンテンツプラットフォームとフィンテックサービスを連携させ、巨額の収益を上げるようになったテンセント。世界のSNS企業にとって理想の姿なのかもしれない。

【連載】浦上早苗の「試験に出ない中国事情」

浦上早苗経済ジャーナリスト、法政大学MBA兼任教員。福岡市出身。近著に「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。「中国」は大きすぎて、何をどう切り取っても「一面しか書いてない」と言われますが、そもそも一人で全俯瞰できる代物ではないのは重々承知の上で、中国と接点のある人たちが「ああ、分かる」と共感できるような「一面」「一片」を集めるよう心がけています。
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