「謎フレーズ探偵」でぶでぶひゃっかんでぶの歌 @

"ひゃっかんでぶの歌"を調査

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若い世代の人たちは知らないだろうが、私が小学生の頃、「で〜ぶ〜、で〜ぶ〜、ひゃっかんで〜ぶ〜♪」で始まる、謎の歌が流行っていたことがあった。


ここだけを抜粋すると、いっけん太った子供を、悪口で囃し立てる歌のように聞こえるのだが、その後のフレーズは、じつは「でぶ」とは何の関係もなく、まるで連想ゲームのような言葉遊びになっていた。


という訳で、今回はこの出所不明の、「でぶでぶひゃっかんでぶの歌」をふか〜く掘り下げてみたいと思っている・・・・・・。


ところでこの、「でぶでぶひゃっかんでぶの歌」は、聞き取り調査をしてみると、じつは歌詞に様々なバリエーションがあって、いったいどれが本来の元歌なのか、今となってはさっぱり分からない状況になってしまっている。


そこでまずは、私が子供の頃に実際に歌っていた、最もオーソドックスと思われるものを、先にご紹介してみたいと思う。
それがこちら(↓)。


「でぶでぶひゃっかんでぶの歌 A」

で〜ぶ〜、で〜ぶ〜、ひゃっかんで〜ぶ〜
くるまにひかれてぺっちゃんこ
ぺっちゃんこはせんべい
せんべいはあまい
あまいはさとう
さとうはしろい
しろいはうさぎ
うさぎははねる
はねるはかえる
かえるはあおい
あおいはやなぎ
やなぎはゆれる
ゆれるはじしん
じしんはこわい
こわいはゆうれい
ゆうれいはきえる
きえるはでんき
でんきはひかる
ひかるはおやじのはげあたま


昭和50〜60年代に小学生の間で歌われていた、「でぶでぶひゃっかんでぶの歌」は、恐らくこれが元歌だったのではないかと私は思っている。
今回、私の友人知人、その関係者にも協力してもらい、複数の人に聞き込み調査をしてみたところ、この歌をベースにして、変化して行ったと思われる歌詞のものがいくつか出て来た。


そしてそのほとんどは、人から人へ伝わる際に、聞き間違えて覚えてしまっていたり、歌詞の一部を忘れてしまい、強引に繋げて歌ったと思われるものが大半を占めていた。


一番多かったのが、「かえるはあおい」から、「じしんはこわい」までの後半のフレーズが、他のワードにすり替わってしまっていたり、歌詞を忘れて、途中を省略して歌っているものだった。


例えば本来は「かえるはあおい」→「あおいはやなぎ」と続くところが、「あおいははっぱ」や「あおいはなっぱ」に歌詞が変化してしまっているケース。


そして本来は、「あおいはやなぎ」→「やなぎはゆれる」→「ゆれるはじしん」と繋いでいくところが、「ゆれるはゆうれい」と、一部の歌詞を飛ばしてしまっているケースもあった。
この場合、「ゆれるはじしん」→「じしんはこわい」→「こわいはゆうれい」と続かなければ、意味が通じないだろう。


また、「かえるはあおい」から「あおいはゆうれい」と強引に繋げていくものもあった。
「あおいはゆうれいって、いったいなんだよ!」という話である。


ちなみに冒頭の「くるまにひかれてぺっちゃんこ」は、「でんしゃにひかれてぺっちゃんこ」バージョンもある・・・・・・。


そんな中、これは明らかに別系統と思われる歌詞のものもあったのでご紹介してみたい。
それがこちら(↓)。


「でぶでぶひゃっかんでぶの歌 B」

で〜ぶ〜、で〜ぶ〜、ひゃっかんで〜ぶ〜
くるまにひかれてぺっちゃんこ
ぺっちゃんこはせんべい
せんべいはあまい
あまいはさとう
さとうはしろい
しろいはうさぎ
うさぎははねる
はねるはかえる
かえるはあおい
あおいはきゅうり
きゅうりはながい
ながいはへび
へびはこわい
こわいはゆうれい
ゆうれいはきえる
きえるはでんき
でんきはひかる
ひかるはおやじのはげあたま


このように、「かえるはあおい」→「あおいはきゅうり」→「きゅうりはながい」→「ながいはへび」→「へびはこわい」→「こわいはゆうれい」と繋げていくパターンもけっこう見られた。
これはどう考えても聞き間違いなどではないだろう・・・・・・。


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そしてこの「かえる」から「きゅうり」に繋げていく歌詞のものには、最後のオチまで違うバージョンも存在していたのでご紹介してみたい。
歌詞の後半からオチへ向けての展開に注目してご覧頂きたい(↓)。


「でぶでぶひゃっかんでぶの歌 C」

で〜ぶ〜、で〜ぶ〜、ひゃっかんで〜ぶ〜
くるまにひかれてぺっちゃんこ
ぺっちゃんこはせんべい
せんべいはあまい
あまいはさとう
さとうはしろい
しろいはうさぎ
うさぎははねる
はねるはかえる
かえるはあおい
あおいはきゅうり
きゅうりはながい
ながいはろうか
ろうかはすべる
すべるはおやじのはげあたま


また、今回調査した、「でぶでぶひゃっかんでぶの歌」には、途中の歌詞を忘れてしまったのか、異常に短いバージョンもあった。
それがこちら(↓)。


「でぶでぶひゃっかんでぶの歌 D」

で〜ぶ〜、で〜ぶ〜、ひゃっかんで〜ぶ〜
くるまにひかれてぺっちゃんこ
ぺっちゃんこはせんべい
せんべいはあまい
あまいはさとう
さとうはしろい
しろいはゆうれい
ゆうれいはきえる
きえるはでんき
でんきはひかる
ひかるはおやじのはげあたま


「いくらなんでも短かすぎやしないか?」とつっこみたくなるが、ポイントは「しろいはゆうれい」の部分だ。
最初の方でご紹介した、「あおいはゆうれい」と違って、「しろいはゆうれい」なら、なんとか意味が通じている。


もしかしたら歌詞を忘れて、「あおいはゆうれい」と歌った人が、「これじゃあ、どう考えてもおかしい」と気付いて、途中を大幅にショートカットして、辻褄を合わせたとも考えられる・・・・・・。


さて、今回は昭和50〜60年代に小学生の間で流行っていた、「でぶでぶひゃっかんでぶの歌」をご紹介して来たのだがいかがだったろうか。
じつは今回の調査でたまたま分かったのだが、「でぶでぶひゃっかんでぶの歌」には、歌詞がたいへんよく似た、「そっくりさんの歌」が存在していた。


そして、どうやらそのそっくりさんの歌は、「でぶでぶひゃっかんでぶの歌」のルーツを探るうえで、非常に重要な役割を果たしてくれそうなのである。
という訳で、次回はそのそっくりさんの歌の方も合わせて調査して行きたいと思っている・・・・・・。


ところで、「ひゃっかんでぶとはいったいなに?」と思われているかたも少なくないと思うので、一応解説しておく。
「貫」とは昔の質量の単位で、一貫は3.75キログラムになる。
ということは、百貫は375キログラムということになり、早い話が「そんなデブはこの世にいね〜よ」ということになるだろう。


いつの時代も小学生というのは、突拍子もないことを考えるものである・・・・・・。

(画像上、公園のシラカシの木に樹液を吸いに来たアカボシゴマダラ。画像下、「み〜ん、み〜ん、み〜ん、み〜ん」と鳴くミンミンゼミ)