学校のストーブ

昔の学校ストーブで恐怖体験

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現在では学校にも空調設備が完備され、エアコンを使用することで、四季を通して快適に過ごすことが出来るようになった。

しかし、私が学生の頃は、夏は教室の窓を開けて自然の風で涼み、冬は教室に大きなストーブを設置することで暖を取っていた。

早い話が室内とはいえ、夏は暑く、冬は寒かったのである・・・・・・。


で、今の季節はストーブが登場することになる訳だ。
今ではもう教室にストーブが置かれている学校なんてないのだろうが、私が小学生のころ教室に置かれていたストーブは、円筒形のとても大きなものだった。


こんな形のストーブはお店では見たことがなかったので、恐らく学校などの施設専用に作られたものなのだろう。
教室に置かれていたストーブは黒い円筒形をしていて、まるで太い丸太を切り出して、それを立てて置いてあるような印象だった。


家庭用のストーブと違うのは、本体の形状だけではなかった。
ストーブの側面からは、長い銀色の煙突が天井に向かって真っすぐに伸びていたのだ。


煙突は天井近くまで伸びてから、急に直角に曲がり、窓の上の壁に開けられた丸い穴から外へ出ていた。
このためストーブは、教室の前方の窓際にスペースが作られ設置されていた。


そしてストーブの周辺には、床にビニールテープが四角く貼られて、その枠に沿って金属の柵が設置されていた。
これは言うまでもなく、「危険だからこれ以上は近付くな!」という意味である。


小学生の頃というのは、友達同士ふざけ合って、机や壁に激突しているやつがしょっちゅういたので、もしこの柵がなかったら、大惨事になっていた可能性も無きにしも非ずである。


というのも、当時学校にあったストーブは、一度火を入れると、ストーブ本体のどこを触っても、火傷をするほど熱くなっていた。
もし、ふざけてバランスを崩して手でも付いたら、まず間違いなく病院送りである。


また、ストーブには大きな丸いやかんが常に置かれていて、まるで蒸気機関車のように、絶え間なく湯気を上げていた。
もし、ストーブに激突でもしたら、この煮えたぎったお湯も、きっと全身で受け止めることになっただろう。
もはや病院送りどころか、命に関わる話である。


いま考えると、当時はよくこんな危険なものを、教室に置くことが許可されていたものである。
いまだったら、危険性云々よりも、消防法にひっかかり、初めから設置すること自体、出来ないのではないだろうか。


当時は他に部屋を暖める手段がなかったと言えばそれまでだが、ストーブが危険物なら小学生だってある意味危険物だったのだ。
いや、ストーブより危険だったと言えなくもない。


そんな危険なもの同士を同じリングに上げて、一度も事故が起こらなかったというのは、もはや奇跡としか言いようのないことである・・・・・・。


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小学生の頃、席替えがある時は、窓側の席が特に人気だった。
なぜかというと、夏は窓から入って来る風が心地よく、冬はストーブに近かったので、暖かかったからである。


ところが夏はまあいいとして、冬場に関してはちょっと注意が必要だった。
教室に設置されていたストーブは、大きくて火力も強かったので、ストーブの真ん前の席になってしまうと、寒くはないが逆に熱かったのだ。


しかもそれは、「ちょっと熱いかな〜」というレベルを優に超えて、密教の護摩行をしながら授業を受けているような状態と言っても過言ではなかった。
このためストーブの前の席の者は、いつも鬼のように赤い顔をしていて、うつろな目をしながら、黒板の文字をノートに書き写していた。


ある日、ストーブの前の席のKくんが、授業が終わった後、ノートを持ったまま、廊下に「ボー」っと立ち尽くしていたことがあった。
みんなが心配して、「どうしたのか?」と聞いたところ、真っ赤な顔をしながら、「なんだか頭がボーっとしちゃって」と言いつつ、フラフラと歩き出し、流し台まで行って、水道の水を狂ったようにガブガブ飲み始めた。


そしてその時に、「ちょっと持ってて」と手渡されたノートには、社会科の授業を受けていたはずなのに、なぜか数字とアルファベットの、見たこともない暗号のようなものがびっしりと書かれていて、みんなで顔を見合わせてゾッとしたのを覚えている。


いま考えると、あれって数学の公式だったんじゃないかと思うのだが、小学校低学年でそんな難解な公式を知っているはずはない。
いまとなっては確かめようもないが、あの時Kくんはいったいどこにトリップしていたのだろう。
そしてあの時ほど、「教室のストーブ恐るべし」と思ったことはなかった・・・・・・。


(画像上、トウカエデは都市部でも綺麗に紅葉する樹木だ。画像下、晩秋から初冬にかけて咲くヒイラギの花)