昭和の懐中電灯

昭和の懐中電灯 重さに疑問

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▲金属製の懐中電灯から少し遅れて出回り始めたプラスチック製の懐中電灯。プラスチックになって本体は軽くなったのに、使用する電池の本数が増えて逆に前より重くなった・・・・・・。

最近の懐中電灯を手に取って見ると、昔と比べてずいぶんと小さく軽くなったものだな~とつくづく思う。
私が幼い頃に家に置いてあった懐中電灯は、金属製の銀色のボディのもので、まるでおもちゃのラッパのような形状をしていた。


当時の懐中電灯はラップの芯ほどの太さのグリップに、小さなお茶碗のような形をした発光部分が取り付けられていた。
そして発光部分とグリップのつなぎ目あたりには、「ON、OFF」の切り替えスイッチが付いていた。


ちなみにこのスイッチも本体と同じ金属製で、今と違ってボタン式ではなく、前方にスライドさせることでスイッチが「ON」になり、電球が点灯する仕組みになっていた。


このスライド式のスイッチには欠点があって、懐中電灯が新しいうちはいいのだが、古くなって来ると、スイッチの隙間にホコリやゴミが入り込み、年々スイッチが重たくなって来るのだ。


ただ単に懐中電灯を点けるだけなのに、スイッチをスライドさせる親指にはかなりの負担がかかっていたものである。
子供の頃は片手の親指だけではスイッチが動かず、両手を使って点けていたのを、今でもはっきりと覚えている・・・・・・。


そして当時の懐中電灯は、今のものと比べると、信じられないくらい重たかった。
ボディが金属製だったこともあると思うが、それに加えて使用する乾電池が、太い単一乾電池だったことがその要因になっていたと思われる。


しかも乾電池は1本では足りず、ボディにはきっちり2本が収まっていたのだ。


現在では単一乾電池の出番はめっきり減ってしまったので、その重さはなかなかピンと来ないかもしれないが、単一乾電池が2本入った当時の懐中電灯は、子供にはずっと持っているのが、ちょっと辛いぐらいの重さだった。


スライド式のスイッチのことといい、こうなるともはやちょっとした筋トレグッツである。


当時は今と違って外灯が薄暗かったので、町内会や子供会の行事で懐中電灯の出番が多くて、子供もしばしば持って歩く機会があったので、この重さだけは毎回うんざりしていたものだ・・・・・・。


ちなみに乾電池は懐中電灯のお尻の部分のふたを開けて、中に落とし込むようにして入れる仕組みになっていた。


で、このふたになっている部分には、なぜかクリップのような形をしたフックが付いていて、「これはいったい何に使うのだろう?」と、いつも疑問に思っていたものである・・・・・・。


学校の職員室や用務員室には、赤色灯付きの懐中電灯が置かれていたのを覚えている。


このタイプのものは、スイッチを前方にスライドさせると普通の懐中電灯として使えて、スイッチを後方にスライドさせると、側面の赤色灯が赤く発光するようになっていた。


恐らく赤色灯は非常時に使用するものなのだろうが、実際に使っているところは、結局のところ一度も見たことがなかった・・・・・・。


修学旅行で訪れた旅館の部屋には、壁掛け式の懐中電灯が置かれていた。


形は家庭用のものと変わらなかったが、懐中電灯のグリップの部分に穴が開いていて、ここを壁掛け部分に引っ掛けて収納するようになっていた。


で、この壁掛けタイプのものは、壁に引っ掛けている時は、内部の電池と電池の間に絶縁体が通って、電気が通らない仕組みになっていた。
そして壁掛けから取り外すと、電池と電池が接触して使えるようになっていたのだ・・・・・・。


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▲巨大懐中電灯の内部構造は驚くほどシンプル。この中に大きな単一乾電池がなんと4本も入る・・・・・・。

この金属製の懐中電灯から少し遅れて、プラスチック製の寸胴で巨大な懐中電灯も出回り始めた。


このタイプのものは反射板部分の直径が、金属製の懐中電灯の倍以上もあって、まるで車のヘッドライトを取り外して、懐中電灯に改造したかのような印象だった。


このタイプのものは、懐中電灯のグリップの部分が、反射板とほぼ同じ太さになったため、金属製の懐中電灯のように、手で握って持つことは出来なくなった。


このためこのタイプのものは、上部にラジカセのような持ち手が付けられていた。


そしてこの持ち手の上部には、やはりスライド式の「ON、OFF」スイッチが付いていたのだが、素材がプラスチックになったせいか、年月が経過しても動作はとてもスムーズだった。


ところでこの巨大な懐中電灯は、ボディの色が必ず「赤」と決まっていた。
当時は別に気にもしていなかったが、今こうして振り返ってみると、当時は赤いラジカセが大ブームを起こしている時期と重なるのだ。


恐らくこの懐中電灯は、その赤色ブームに乗っからせてもらったのではないだろうか。
そう考えると、ボディの形状もなんとなくラジカセっぽい気がしないでもない。


で、この寸胴で巨大な懐中電灯にもある欠点があった。
プラスチック製になって、せっかく本体が軽くなったのに、なんと使用する乾電池の本数が一気に4本に増えてしまったのだ。


しかも、またしても重量のある単一乾電池仕様だったので、結局は重いことには変わりがなかった。
いったいなんのために本体をプラスチックに変更したのか、全くもって意味が分からない。


それに本体は倍以上のサイズになったのに、肝心の明るさそのものは、以前のものとたいして変わっていなかったように思う。


そもそも懐中電灯の「懐中」とは、「携帯することが出来る」ことを意味する。
こんなに大きなものをどうやって携帯しろというのか。


そういう意味では懐中電灯はようやく近年になって、本来の意味の「懐中電灯」になったのかもしれない・・・・・・。