関東ローカルのCM

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全国区だと思っていたCMがじつは関東ローカルだったと知った時の衝撃は大きい。
私がこれまでに一番以外に感じたのは、「三井のリハウス」のCMだ。
このCMが最初に放映されたのは1987(昭和62)年。
「初代リハウスガール」としてCMに起用されたのは、当時まだ10代だった宮沢りえだった。


「三井のリハウス」のCMは、思春期の娘がいる家庭で、娘が成長したことをきっかけに、住み替えをするという設定。
この時、CMで宮沢りえが演じていたのは転校生の役。
担任と2人で教室の前に立ち、クラスメートに「白鳥麗子です」と、自己紹介をしているシーンがとても印象的だった。
そして当時、このCMを見た多くの人が、「なんて透明感のある少女なんだ」と、まだほとんど無名だった宮沢りえを絶賛し、世の中の大きな話題となったのだ・・・・・・。


余談だが、当時はこの「三井のリハウス」のCMが転校生のハードルを上げ、転校して来る側も、それを受け入れる側も、「白鳥麗子」を変に意識してしまい、不安や期待の入り混じる妙な空気で、教室が満たされていたものである・・・・・・。


で、その後もこの「三井のリハウス」のCMでは、「リハウスガール」として、代々、新人の女優を起用し、現在に至るまでそうそうたるメンバーが名を連ねている・・・・・・。


ところが、じつはこの「三井のリハウス」のCMは、首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城)を対象とした、ローカルCMなのだそうだ。
私は1987(昭和62)年に宮沢りえが「白鳥麗子」として登場したあのシーンが未だに忘れられない。
彼女はあのCMがきっかけで、女優として様々な作品に出演するようになって行ったのだ。


そして当時あのCMは、テレビ番組や雑誌、新聞などを巻き込んで、「あの娘は誰?」と大きな話題になっていた。
それなのに、「三井のリハウス」のCMが、首都圏ローカルだったなんてちょっとショックである。
バラエティ番組や情報番組などで、あのCMが話題になっていた時は、他の地域の人には全く意味が通じていなかったということなのだろうか・・・・・・。


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昔はよく放映されていたのに、いつの間にか全く見なくなっていたCMに「宇津救命丸」がある。
CMは記憶にないけど、「宇津救命丸」という名前は聞いたことがあるという人は、このCMを絶対に見たことがあるはずだ。
「宇津救命丸」のCMは、まるで絵本のページをペラペラと捲って、読み進めて行くような作りになっていた。


私が覚えているのは、影絵のとんがり帽子の小人が2人登場し、チューリップの花の中で眠っている影絵の赤ちゃんを、そっと覗き込んでいるバージョンと、一羽のコウノトリが、その長いくちばしに赤ちゃんをたずさえて、夜の街を一軒の家を目指して、ゆっくりと飛んで行くバージョンの2つだ。
そしてそのどちらのバージョンも、CMの締めくくりは、「赤ちゃんも夢を見るのかしら。風邪ひき、かんの虫、胃腸障害に宇津救命丸」というナレーションだった・・・・・・。


私は子供の頃、この「宇津救命丸」のCMが大好きで、自分にとっては全く必要のない商品だったにも関わらず、どこにいてもCMが始まるとテレビの前まで走って行って、その場に突っ立ったまま、最後までCMを食い入るように見つめていたものだ。


ちなみにこの「宇津救命丸」のCMも関東ローカルとのことで、関東以外の地域の人は、「宇津救命丸」の名前すら知らないらしい。
その代わりと言うのも変な話だが、関西には「樋屋奇応丸」という、関東の人間には馴染みのない、似たような薬があるそうだ・・・・・・。


「ホントにホントにホントにホントにラ〜イオ〜ンだ〜♪」という歌で有名な、「富士サファリパーク」のCMもじつは関東ローカルだという。
ちなみにこのCM曲、開園以来40年間、CMで流され続けていて、恐らく「関東では知らない人はいない」と言うくらい浸透している。


ちなみに現在CMで流されているのは15秒バージョンだが、1980(昭和55)年の放映開始当初は、30秒CMが主流だったこともあり、30秒バージョンで流されていた。
若い人は聞いたことがないだろうが、「ホントにホントにホントにホントにラ〜イオ〜ンだ〜♪」には続きがあって、その後は「ホントにホントにホントにホントにゾ〜ウな〜のだ〜♪」、そして「ホントにホントにホントにホントにク〜マな〜のだ〜♪」とリレーされて行く・・・・・・。


ところでこの歌、和田アキ子さんが歌っていると思い込んでいる人がじつに多いらしい。
どこからそんな話が出て来たのか全くもって不明だが、この曲を歌っているのは、キン肉マンや宇宙刑事ギャバンのOP曲を歌っていた串田アキラさんである。
キン肉マンの歌い出しの、「GO! GO! マッスル!リ〜ング〜に〜♪」というあの声を想像してみてもらえれば分かりやすいと思う・・・・・・。


ところで、「富士サファリパーク」のCMは、バラエティ番組の中で何度か紹介されていたこともあり、私は全国区とまではいかないまでも、日本のかなり広い範囲で放映されているCMなのだろうと勝手に思っていた。
ところがじつは関東ローカルだと聞いてたいへん驚いた。
と言うことは、それを全国放送のバラエティ番組のネタにしても、関東地方の人にしか意味が通じていなかったことになる訳だ。


そしてこのCMが放映されていない地域の人たちは、「ホントにホントにホントにホントにラ〜イオ〜ンだ〜♪」を、番組で初めて聞かされて、いったいどのように受け止めていたのだろう。
そして大盛り上がりの東京のスタジオと、それを呆然と見つめているお茶の間との温度差も、きっとかなりの開きがあったのだろうと思うと、なんだかちょっとやるせない気持ちになる・・・・・・。

(画像上、「藁ボッチ」が並ぶ里山の田んぼは今の季節ならではの風景。画像下、草地でショウリョウバッタモドキと「こんにちは!」)