マイクロソフト社Windows 3.0を発表(1990年5月22日)

マイクロソフト社Windows 3.0を発表(1990年5月22日)

Win3.0が発表されるまで

 1980年代のパソコンは一回の起動でひとつのソフトウェアしか動かすことができませんでした。フロッピーディスクというソフトウェアの入ったディスクを使ってパソコンを起動すると、パソコンがそのソフトウェアの機能を持つ道具となるわけです。

 やがてソフトウェアを動かすOSとしてデジタルリサーチ社のCP/Mやマイクロソフト社のMS-DOSが広く使われるようになりました。OS上でソフトウェアが稼働するようになると複数のソフトウェアをフロッピーディスクに記録することができるようになりました。つまりパソコンを1回起動するだけで複数のソフトウェアを動かすことができるようになりました。もちろん複数のソフトウェアが同時に動くというわけではありません。別のソフトウェアを動かすためには動いているソフトウェアを終了し、コマンドを入力して別のソフトウェアを起動する必要がありました。この頃のパソコンは比較的パソコンに詳しい人しか使いこなすことはできませんでした。

 1980年代後半にハードディスクが一般化するとパソコンはハードディスクに記録されたOSから立ち上がるようになりました。数十メガバイトの容量をもつハードディスクにはたくさんのソフトウェアを記録することができるようになりました。この頃になるとIBMにPC-DOSとして採用されたMS-DOSが主流となりました。

 ハーディスクにたくさんのソフトウェアを記録できるようになると後にラウンチャーというソフトウェアを起動するためのソフトウェアが使われるようになりました。パソコンが起動するとラウンチャーが立ち上がり、ハードディスクに保存されているソフトウェアのメニューが表示されます。そのメニューを矢印キーで操作して使用したいソフトウェアを選び起動します。ソフトウェアを終了すると再びラウンチャーが画面が表示されます。後にマウスが登場するとマウスでラウンチャーを操作できるようになりました。ラウンチャーによって多くの人がパソコンを使えるようになりました。しかしながら、同時に複数のプログラムを使うことはできなかったのです。

 当時1台のコンピュータで複数のプログラムを同時に動かすことができるシステムは存在していました。現在のようにマウスとキーボードで画面を操作しマルチウィンドウで複数のプログラムを動かすことができるシステムは米国のダグラス・エンゲルハートによって発明されたものです。マウスの発明者としても知られるエンゲルハートは1968年に次世代のコンピュータシステムについて発表していますが、これが現在のウインドウシステムの原型となっています。

 いち早くウィンドウシステムを採用したのはUNIXシステムです。1980年代後半にサンマイクロシステムズのSuntools(SunView)やマサチューセッツ工科大学が開発したX Windowを使った経験がありますが誰もが気軽に使えるものでもありませんでした。

 パーソナルコンピュータで稼働する最初のウィンドウシステムで有名なのは1984年に登場したAppleのマッキントッシュのOSですが、ウィンドウシステムが多くの人に知られるようになったきっかけはマイクロソフト社のWindowsでしょう。

 最初のWindows 1.0は1985年11月20日にリリースされましたが宣伝の割には作動するプログラムも限られていたため評判はよくありませんでした。またウィンドウがオーバーラップ表示できず使いにくいという問題もありました。その後、IBMとマイクロソフト社が共同で開発したOS/2が注目されました。OS/2は本格的なプリエンプティブマルチタスクOSで1988年11月にリリースされたVersion 1.1ではプレゼンテーション・マネージャというGUIが搭載されていました。このプレゼンテーション・マネージャはウインドウをオーバラップ表示することができましたが、そのGUIとして採用されたのがWindows 2.0でした。1989年10月にOS/2 Version 1.2がリリースされると、マイクロソフトはOS/2の開発から手を引きWindowsの開発に注力するようになりました。以降のOS/2はIBMが単独で開発することになりました※。

 マイクロソフトはWindows 2.0を1987年12月にリリースしていましたがマルチタスクOSとしてはOS/2に劣っていました。当初はOS/2が優位に見えましたがMS-DOSとの互換性の高いWndowsが次第に多くのユーザーを獲得していきました。マイクロソフトの表計算ソフトウェアExcelも台頭しはじめ、当時よく使われてた表計算ソフトウェアLotus 123の市場を席巻していきました。

 マイクロソフトはWindows 2.xを大幅に改良したWindows 3.xの開発に着手しました。25人で編成されたWin3チームが2年半の歳月をかけて開発にあたり、1990年5月22日にWindows 3.0が公式に発表されました。日本では1991年1月23日にNECのPC9800シリーズ用の発売が始まり、その後多くのパソコンメーカーがWindows 3.0を採用しました。

 次の写真は自宅の本棚から出てきた東芝のWindows 3.0のカタログです。

Windows 3.0のカタログ(東芝)
Windows 3.0のカタログ(東芝)

 Windows 3.0はMS-DOS上で稼働するため本格的なマルチタスクOSではなくノンプリエンプティブ・マルチタスクOSでしたが複数のソフトウェアを同時に起動して利用できるウィンドウシステムになりました。GUIも大幅に改善されパソコンが使いやすくなり、Windows 3.xで稼働するアプリケーションが増えていきパソコン用OSとして市場を拡大していきました。そして1992年に使いやすさや機能を向上しながらより安定的に稼働するWindows 3.1がリリースされると、Windowsがパソコン用OSとして不動の地位を確立していくすきっかけを作りました。

 当時はインターネットよりもパソコン通信が主流で自分はニフティサーブを利用していました。パソコンのRS232C端子にモデルを取り付けパソコン通信を行い、ニフティサーブのフォーラムに参加しました。やがてインターネットが利用できるようになりましたが、Windows 3.1にはインターネット接続環境(WinSock)が存在していませんでした。雑誌に付録としてついてた「Trumpet Winsock」や「Internet Chameleon 」を自分でインストールしモデム接続でインターネットを楽しみました。当時の回線速度はわずか14,400 bpsでした。

※本格的なマルチタスクOSでOS/2バージョン2でWindows 3.0互換環境でGUIもしっかりしていましたがMS-DOSとの互換性や稼働するアプリケーションが少ないことなどが原因で2002年に最終バージョンをリリースし2006年にサポートを終了しました。

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