ラプラス「確率とは計算された常識である」

 ごく普通の6面のサイコロを1回投げたときに1~6のどれかの目が出る確率は1/6です。サイコロの目の出方を簡単に確率で結論づけてしまって良いのでしょうか。

サイコロを1回投げたときにある目が出る確率
サイコロを1回投げたときにある目が出る確率

 19世紀のフランスの数学者ピエール・シモン・ラプラスは「確率とは計算された常識である」と述べています。これは、未来に起きるあらゆる現象は、過去に起きた現象によって決まるという意味です。

ピエール・シモン・ラプラス
ピエール・シモン・ラプラス

 ラプラスの考えをサイコロの例で考えると「サイコロのどの目が出るかはサイコロを投げたときの初期条件とその後の力学的条件によって決まるのであって決して確率によって決まるものではない」ということになります。つまり手からサイコロが投げ出される速度、サイコロのどの部分が床にぶつかり、その後どのように跳ね返って転がるのかなどを詳細に調べればサイコロのどの目が出るかを求めることができるということです。

 私たちがサイコロのどの目が出るのか予め求めることができないのは、サイコロの運動の条件が複雑すぎるためです。サイコロを投げてから目が出るまでの時間が短すぎてその間に一連の計算をすることができないのです。十分に時間をかければ理論的にどの目が出るかを導き出すことはできるでしょうがそのような苦労をしてまでサイコロのどの目が出るかを求めることは非効率的です。それよりもサイコロのある目が出る確率は1/6であると考えた方が合理的なわけです。ラプラスは「確率とは計算された常識である」と述べています。

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