あおり運転に「殺人罪」がついに適用された理由

あおり運転に「殺人罪」がついに適用された理由

今回は「あおり運転した側」のドラレコの記録が逮捕・起訴の決め手となった(写真はイメージです) Photo:PIXTA

オートバイの大学生にあおり運転をした末に乗用車を接触させ死亡させたとして、大阪の男が殺人罪で起訴された。あおり運転で殺人罪が適用されるのは「極めて異例」と報道されているが、まず間違いなく「初のケース」だろう。実は、これまでもあおり運転が原因で相手を死に至らしめたケースは枚挙にいとまがない。では、なぜ今回、殺人罪が適用されたのだろうか。事件の背景を探った。(事件ジャーナリスト 戸田一法)

■殺人罪の立証には高い壁

 そもそも「殺人罪」とは何か。事件を検証する前提として、殺人罪の定義を確認しておきたい。

 刑法では、明確な殺意を持って相手の生命を奪うこととされている。殺害方法は射殺でも、刺殺でも、絞殺でも、毒殺でも、焼殺でも、もちろん乗用車でひき殺すのでも構わない。方法は問わず、捜査当局は「殺す」意思があったと立証しなければならない。殺意がなく偶発的に死んだのであれば傷害致死罪、過失で死なせてしまった場合は過失致死罪(もしくは業務上過失致死罪、重過失致死罪)になる。

 よく報道等で、警察が殺人容疑で逮捕した容疑者の処分で、検察が「殺意の立証は困難と判断した」と殺人罪適用見送りの理由を発表したニュースを見て、一般の方々が「なぜ?人を殺したという事実は同じでは?」と腑(ふ)に落ちないケースがあると思う。これは、容疑者が「殺すつもりはなかった」と殺意を否認し、警察と検察が殺意を立証できなかったためだ。

「殺すつもりはなかった」と主張する容疑者の供述がうそだったとしても、目に見えない人間の意思を具体的に証明するのは、非常に難しい。だから、捜査当局は証拠を積み重ね、相手が死ぬと認識していた「確定的故意」か、少なくとも死んでも構わないという「未必の故意」を立証しなくてはならない。

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