「ウイルス感染映画」を絵空事と笑っていられない、感染症対策の難しさ

「ウイルス感染映画」を絵空事と笑っていられない、感染症対策の難しさ

写真はイメージです Photo:PIXTA

古今東西の映画を通じて、社会保障制度の根底にある考え方や、課題などを論じていく連載「映画を見れば社会保障が丸わかり!」。第17回では、新型インフルエンザなど大規模感染症対策の難しさを考えるため、1995年製作の『アウトブレイク』、2009年製作の『感染列島』を取り上げます。(ニッセイ基礎研究所准主任研究員 三原 岳)

■最大多数の最大幸福目指すため人権が無視されるときも

 21世紀に入って重症急性呼吸器症候群(SARS)や新型インフルエンザなどの脅威が顕在化しています。一見すると無関係かもしれませんが、その論点を探る切り口として、まずは1966年製作の『赤い天使』という戦争映画を見てみます。

 主な舞台は日中戦争前線の野戦病院。ここで勤める陸軍看護婦、西さくら(若尾文子)と岡部軍医(芦田伸介)を中心に、戦場の過酷さと戦争の不条理さを問う内容です。

 ここで注目したいのは岡部が西に対し、「(注:輸血は)佐官以上の高級将校だけだ(略)。もっと助かりそうなやつがおる」「ここには輸血する血も薬もない。だから俺は、すぐに手でも足でも切ったり、切らなくていいやつまで切ってしまう」と自嘲気味に話していることです。物資、人員ともに不足している緊迫した戦場では、岡部はマトモな手術ができないため、生き延びる可能性がある将兵だけを手当し、しかも時に壊死しないように手足を切断するしかありませんでした。

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