枕営業の女性起業家から ヤクザに雇われた地下ディーラーまで、 怪しげなベンチャーバブルの世界

上部組織に上納金をおさめられず、解散に追い込まれる組も珍しくない。情婦をソープに売り飛ばし、それでも上納金が足りず、ヤケになって拳銃で自分の頭をふっ飛ばした親分もいる。極道はいまや絶滅寸前、業界全体が斜陽産業だ。しかし、それと元辣腕ディーラーとなんの関係がある?

 もう、と富子が肘で突っついてくる。

「ヤクザ業界はあんたのテリトリーでしょうが」

 返す言葉がなかった。富子は説明する。

「だから経済ヤクザの切れ者が雇って、株の売買をやらせてんのよ」

 噂では聞いたことがある。さばけた経済通のヤクザがマンションの一室にディーリングルームを開設。ワケありのディーラー連中を高報酬で雇い、派手に稼いでいる、と。

「最初は上手くいってたらしいけどね」

 ということは──。

「強欲なヤクザさんにキャピタルゲイン、つまり株の売買差益のハードなノルマを与えられ、あまりのプレッシャーに耐えきれず、ああなっちゃったのよ」

 ああなっちゃった──。イケメンディーラーのうつろな目が宙を彷徨う。なるほど。

「身も心も疲れ果てた虚脱状態ってわけか」

 語りながら、身体の芯から熱いものが湧いてくる。

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