枕営業の女性起業家から ヤクザに雇われた地下ディーラーまで、 怪しげなベンチャーバブルの世界



「いまは本物のジャンキーとなり、脳みそぐっちゃぐちゃ。ディーラーとしてはもう使いものにならないって噂。本人はまだ諦めちゃいないけどね」

 有馬の胸を黒々としたものが満たしていく。

「今夜、雇い主のヤクザさんが、同世代の起業家連中から刺激を受けて少しでも立ち直るきっかけになれば、と親心で参加させたわけよ。でも、あれじゃあねえ」

 地下ディーラーのとろんとした目が哀れだ。

 ほら、と富子が目配せする。

「怖いおにいさん方もついているしね」

 少し離れた場所でグラスをかたむけるブラックスーツのふたり。目つきが鋭く、硬質のオーラをまとっている。闇社会の監視役だ。

「取材、しないの?」

 面白がるように顔をのぞきこんでくる。有馬は返す。

「終わった人間に興味はない」

 ふふん、と口元で笑い、富子は言う。

「夢よもう一度、ってあがく男はみっともないもんねえ。でも──」

 意味ありげな一瞥をくれ、しゃあしゃあと語る。

「ゴージャスな夢を味わったことのない男はもっとみじめだけど」

 ちっきしょう。

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