星野リゾート代表に聞く、ホテルなどの観光業で価格を変動させる功罪



 ちなみに、顧客満足度調査で正しい数値を得ることは重要なのですが、それは簡単なことではありません。サンプルを間違えないこと、そして返答率を最低でも20%は維持することが重要です。客室のデスクの上にアンケート用紙が置いてあるケースがありますが、それで得られる返答率は数パーセントであり、全体の意見を反映していないサンプルと言わざるを得ません。返答率20%以上を獲得することは、多くのケースで満足度を高めるよりも大変なことで、私が既存の運営施設を引き継ぐケースでは、まず顧客満足度調査の返答率だけを目標設定し、最初の1年目はそれを最も重要なKPI(重要経営指標)としているのです。

 返答率の話になるとついテンションが上がってしまいますが、話を価格戦略に戻しましょう。

 お客さまは、払っている価格に見合ったサービスを享受できたかどうかで、自身の満足度を評価されます。例えば、同じレストランの料理を食べても、価格次第で「おいしかったけど、この価格だとコストパフォーマンスはいまひとつ」とネガティブな評価になることもあれば、「おいしかったし、この価格なら大満足」とポジティブな評価になることもあります。ですから、同じサービスに対しても、価格が違えば満足度は変わってくるのです。

 観光地の宿泊施設は、繁忙期と閑散期とでは料金が変動します。週末や祝日と平日でも大きな価格差があります。このように一定の稼働率を確保するため、市場の需給関係に応じて価格を変動させることを「ダイナミックプライシング」と言い、それを経営上最適になるように管理することを「イールドマネジメント」と呼んでいます。ホテルは、在庫を事前に蓄えることができない上、繁忙日と閑散日の販売個数が同じであるために、売上最大化の手法としてダイナミックプライシングが必要になるのです。

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