この40年間で、ポップソングの主語が「私たち」から「私」に変わったのはなぜか

この40年間で、ポップソングの主語が「私たち」から「私」に変わったのはなぜか

孤独を悪化させるのは…(Photo: Adobe Stock)

過去40年間におけるポップスソングの歌詞の変化に、どのような理由があるのか? 「世界的なリーディング・シンカー」といわれるノリーナ・ハーツ(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン名誉教授)は、現代の孤独危機の構造とその処方箋をまとめた最新刊『THE LONELY CENTURY なぜ私たちは「孤独」なのか』のなかで、新自由主義がいかに孤独を悪化させてきたか述べている。そのわかりやすい悪影響・変化をポップスソングにも見ている。

■食うか食われるか

現代人の孤独を悪化させているもの──それは、現代のライフスタイルや、仕事や人間関係の性質、都市やオフィスのデザイン、人と人の接し方、政府による市民の扱い方、スマートフォン依存症、そして人の愛し方などすべてだ。

だが、そのイデオロギー的な原点は、1980年代に確立したネオリベラリズム(新自由主義)にある。これは、自由を極端に重視する冷酷な資本主義の一形態で、現実離れした自助努力と、小さな政府、そして残酷なほど激しい競争を追求し、地域社会や集団の利益よりも個人の利益を上に位置づける。

なぜ、それが21世紀の孤独危機の根幹をなすのか。

第一に、新自由主義は世界の幅広い国々で、所得と富の格差を大幅に拡大してきた。1989年、米国の企業経営者の平均年収は、平均的な労働者の58倍だったが、2018年には278倍にも拡大した。

1 2 3 4 5 6 次へ

関連記事(外部サイト)