【薬物の世界史】生贄にされたスペイン軍捕虜の悲劇

【薬物の世界史】生贄にされたスペイン軍捕虜の悲劇

Photo: Adobe Stock

火の発見とエネルギー革命、歴史を変えたビール・ワイン・蒸留酒、金・銀への欲望が世界をグローバル化した、石油に浮かぶ文明、ドラッグの魔力、化学兵器と核兵器…。化学は人類を大きく動かしている――。白熱のサイエンスエンターテイメント『世界史は化学でできている』は、朝日新聞、毎日新聞、日本経済新聞夕刊、読売新聞夕刊と書評が相次ぎ、累計8万部を突破。『Newton9月号 特集 科学名著図鑑』において、「科学の名著100冊」にも選出された。
池谷裕二氏(脳研究者、東京大学教授)「こんなに楽しい化学の本は初めてだ。スケールが大きいのにとても身近。現実的だけど神秘的。文理が融合された多面的な“化学”に魅了されっぱなしだ」と絶賛されたその内容の一部を紹介します。好評連載のバックナンバーはこちらから。

■悪魔の植物と「ペヨーテ」

 一五一九年十一月、およそ三〇〇人の部下を率いたスペイン軍の指揮者エルナン・コルテスは、アステカ帝国の首都ティノチテトランに侵入した。

 このときの様子を従軍僧が詳しく記録していた。アステカ軍に捕らえられたスペイン軍捕虜の様子を引用しておこう。

 軍神ウィツィロポチトリ(Huitzilopochtli)をたたえる太鼓や笛、ラッパ、ホラ貝など、ありとあらゆる無気味な音があたりに鳴り響いた。

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