夜の蝶に貢いで逃げられた若旦那の末路…「贈与税に相続税まで自腹」の危機

商いの仕込みは厳しいが、「紳士の嗜(たしな)み」や「旦那遊び」の心得をAさんに指南してくれたのも父親だ。

 初めは父親に伴われて高級クラブを訪れたAさんだが、接待などで何回となく利用するうち、やがてひとりでも足を運ぶようになった。しかし、ほどなくこのコロナ禍である。感染症拡大防止策を受け、店も時短営業せざるを得なくなり、次第に休業も増えて、Aさんの足も遠のいた。

 Aさんの家業とて、新型コロナウイルスによる不景気の波にいつのまれるかわからない。Aさんが商売に精を出す一方、仕事のストレスや外出自粛の閉塞感も抱え始めた頃、スマホに1本の電話がかかってきた。それは、あの高級クラブでなじみとなったホステスからだった。

 聞けば、彼女はあのクラブを辞め、今は暮らしのために知り合いの店を手伝っていると言う。「コロナ対策もしっかりしているお店だから、一度遊びに来て」と言われ、仕事で外出した帰りに立ち寄ってみた。訪れてみて、Aさんは衝撃を受けた。

 それは、お坊ちゃん育ちのAさんには想像に及ばない、こぢんまりとした店だった。暮らしのためとはいえ、つい先頃までシャンデリアに囲まれ、華やかなドレスを身にまとっていた、あの彼女が……。Aさんが彼女の生活の面倒を見るようになるまで、さほど時間はかからなかった。

 しかし、新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置も解除となる頃、彼女はこつぜんと姿を消したのである。もちろん、Aさんも手を尽くして探したが、行方は杳(よう)として知れなかった。困り果てて相談した友人は、同情と皮肉の混ざった表情で言った。

「それは、君、ヤラレタね」

 Aさんはハッと我に返って、青ざめた。

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