ビル・ゲイツが激賞した『コンテナ物語』著者がその背景を追う「第一次大戦の4年3ヵ月で世界貿易は3分の2に縮小した」
2022年05月08日 06時00分 ダイヤモンドオンライン
ロングセラー書籍『コンテナ物語−−世界を変えたのは「箱」の発明だった』(日経BP社)の著者マルク・レヴィンソンの最新刊『物流の世界史−−グローバル化の主役は、どのように「モノ」から「情報」になったか?』より、その一部をご紹介する。
第一のグローバル化が終わった日は、ある程度正確に特定することができる。1914年6月28日、オーストリア=ハンガリー帝国の皇位継承者が、当時の帝国領ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボで暗殺された。1ヵ月にわたって威嚇や派兵が繰り返された末、各国がそれぞれの同盟国を支援しようと介入し、ヨーロッパ全域で戦争が勃発した。
オーストリア=ハンガリー帝国がセルビアに宣戦布告した7月28日、モントリオール、トロント、マドリードの証券取引所が閉鎖された。7月30日にドイツとロシアが軍隊を出動させると、ウィーンからパリに至る取引所もことごとく閉鎖された。7月31日、ドイツ軍がベルギーとフランスへの侵攻を計画していることが明らかになり、ロンドン証券取引所が業務を停止した。それから数時間後、ニューヨーク証券取引所には開場の10時を前に仲買人たちが立会場に集まっていたが、取引開始を知らせる鐘を鳴らす役の男性は待機を命じられた。
閉鎖を決断したのは、世界中の取引所が閉鎖されるなかで「その日の朝に取引を再開すれば、ニューヨークに世界的パニックが集中する」はずだからだと、取引所の所長はのちに語っている。
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