ロッテ重光武雄はいかにして“寝首”をかかれたのか――魑魅魍魎が蠢いた舞台裏

この2人と昭夫の心が一つになっていなければ、本来あり得ない乗っ取りが成就することはなかっただろう。

 兄を追い落とし、それを認めない父親を追放してでも経営権を握りたい昭夫。詳しくは後述するが、現在の地位に恋々とし、そのためなら、戦国武将の斎藤義龍のような父や兄弟を殺す企みに加担することも厭わない2人の取締役。そうした利害が一致し、反目することさえあった魑魅魍魎が徒党を組んだからこそ謀反は成功したのではないか。

 なお、昭夫、佃、小林の3人は裁判で一貫して共謀の事実を否定している。だが、「天地人」によるクーデターを振り返ると次々と疑問が湧いてくる。ロッテ株を持たない雇われ社長や専務がクーデターを起こしても、株主総会で即座に覆されることがわからないほど佃と小林も愚かではなさそうだ。大株主の従業員持株会や役員持株会が佃や小林の支持へ転じるような人望が彼らにまったくないことは当の本人たちが自覚しているだろう。創業家から経営権を奪うクーデターなら、昭夫も追放しなければ意味がないはずだ。宏之と武雄を追放したら、たまたま昭夫が残ったのでトップに据えたということはあり得るのか。こうした疑問を解決できる唯一の答えは、昭夫が佃、小林に地位や議決権確保などを保証して、3人で共謀してクーデターを実行したからとしか、私には思い浮かばないのである。

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