【翁邦雄・元日銀金融研究所所長に聞く】インフレはそれ以上に賃上げ率を高める、という幻想。国民の求める「物価安定」とは何かを考え直す

【翁邦雄・元日銀金融研究所所長に聞く】インフレはそれ以上に賃上げ率を高める、という幻想。国民の求める「物価安定」とは何かを考え直す

家計の生活防衛意識は高まっている。(写真はイメージ。 Photo: Adobe Stock)

黒田日銀総裁が2013年に就任した際「グローバル・スタンダード」と強調していた2%のインフレ目標。ようやくそれに達しようとしている今、国民の強い反発にさらされている。いま、国民の求めている「物価安定」とはなにかをもう一度考える必要がある。

■「家計は値上げ許容」発言への強い反発

 2022年6月6日、黒田東彦・日本銀行総裁は、講演で「家計が値上げを受け入れている」と述べた。

 この黒田総裁の発言に対しては、Twitterでは「#値上げ受け入れていません」というハッシュタグがトレンド入りして大きな話題になるなど、世間から強い反発があり、黒田総裁は発言撤回に追い込まれた。

 6月15日、岸田文雄総理は国会閉幕後に記者会見し、物価高や景気対策のため「物価・賃金・生活総合対策本部」を設置すると明らかにし、みずからが本部長に就く、とした。物価高騰については、「最大限の警戒感を持って対応する」と述べ、「迅速かつ総合的な対応策を検討し、断固として国民生活を守り抜く」とした。

 黒田総裁は2013年の就任記者会見で「2%の物価目標をできるだけ早期に実現するということが、日本銀行にとって最大の使命」とし、そのために採用したのが異次元緩和だった。また、2%のインフレ目標は「グローバル・スタンダード」であることも強調し続けている。

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