【翁邦雄・元日本銀行金融研究所所長に聞く】円安構造の固定化であきらかになる金融政策の不都合な真実

【翁邦雄・元日本銀行金融研究所所長に聞く】円安構造の固定化であきらかになる金融政策の不都合な真実

Photo: Adobe Stock

「円安がGDPを押し上げ、日本全体にプラスに働く」というのは本当か? 為替レートの変動によって、その受益者と被害者はどの程度入れ替わっているのだろうか。元日本銀行金融研究所所長で、『金利と経済――高まるリスクと残された処方箋』などの著書もある翁邦雄氏が、長期的に為替レートの推移をみて受益者と被害者を分析した。

■「受益は輸出企業へ・損失は消費者へ」という円安構造の固定化

 前回、円安の恩恵を受ける輸出企業と、輸入物価上昇によって被害を受ける内需依存型企業や消費者等とについて、その利益と損失を試算した。紹介した数値化は、大胆な単純化の仮定に拠っている。円ドルレートの輸出入金額への影響に限っても、実際には、輸出のドル建て契約比率は5割程度、輸入については7割程度だから、円ドルレートの変動をそのまま反映するわけではない。

 そもそも為替レートは円高化したり円安化したりするものだろうから、やや長い目で見れば、受益者と被害者は入れ替わりうるはずである。かつて円高が問題視された時期もあったわけだから、最近の円安の損得だけを議論すべきでない、という意見もあるだろう。

 そこで、少し視点を変えて長期的な為替レートの推移を眺めてみよう。

 上図は、1980年以降の円ドルレートと実質実効為替レートの推移をグラフ化したものである。

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