身体から生えてくる!柔らかいロボットがもたらす新しい体験価値

身体から生えてくる!柔らかいロボットがもたらす新しい体験価値

Photo by Young ah Seong

電話を着信すると、ふわふわのアバターが腕からニョキッと生えてきて、遠く離れた家族や恋人と触れ合うように会話が楽しめたとしたら……。デザイン工学の研究者、ソン・ヨンア氏が「次世代の携帯電話」として提案するのは、愛嬌たっぷりのソフトロボット(=柔らかいロボット)だ。モノと人のインタラクションを探究する女性エンジニアユニット「CHORDxxCODE」のソン氏、橋田朋子氏、上岡玲子氏の3人に、ソフトロボットがもたらす新しい体験価値の可能性を聞く。(聞き手/音なぎ省一郎、坂田征彦、構成/フリーライター 小林直美)

■自分の体から、他人が生えてくる!?

――体から柔らかい分身ロボットが生えてくる、という「次世代の携帯電話」のコンセプトは、デジタルとアナログ、バーチャルとリアルが溶け合っていて、とてもユニークですね。

ソン 遠い所にいる人が、柔らかい実体を持った姿で現れ、インタラクティブに会話できる未来が実現したら人々のコミュニケーションは大きく広がると思います。この研究は、東京大学と明治大学と共同で開発を進めており、展示やワークショップを通じて色んな人にそれを体験してもらっています。今回、私たち「CHORDxxCODE(コード・コード)」が主催するワークショップでは、この柔らかい分身ロボットを題材に新しい体験価値について議論していきたいと思っています。

――「CHORDxxCODE」とは、どのようなユニットでしょうか。

橋田 研究者同士の緩いチーム活動です。メンバーは7人で、それぞれ研究テーマも活動領域もバラバラですが、時々互いの興味がクロスするので、フォーメーションを変えながら、共同でデバイスを作ったり、ワークショップをやったりしています。さまざまな創発を起こしながら、互いの研究領域を広げています。

ソン 例えば、橋田さん、上岡さんと私の3人のチームでは、以前「rapoptosis(ラポトーシス)」というプロジェクトを進めました。クローゼットに死蔵されている服が自発的にリサイクルされていく、というサステナブルな仕組みのプロトタイプです。このときもワークショップを通じて、参加者に実際使わない服を持参してもらい、服の自死を実演しながらモノと人との関係について考えました。

――それぞれのご専門の研究領域について簡単に紹介してください。

ソン 私の専門はインタラクションデザインです。最初は、人間感情に深い関係があるといわれている「匂い」をセンシング・記録するライフログシステムの提案をしたり、耳当ての「温度」を変えることで暖かい所に人々が集まるように誘導する作品を作ったり、人間の感覚特性を応用したシステムを手掛けていました。その後、2012年から17年まで電機メーカーでUXデザインを手掛けていましたが、製品やサービスをデザインする中で、人が何かを決めるときの「嗜好」や「愛着」といった感情に興味が移ってきて、現在は大学で人間の感情や認知メカニズムに着目した「体験のデザイン」を研究しています。

――なぜ、企業の研究職から、アカデミック領域の研究者に戻ったのでしょうか。

ソン ある企業で次世代ロボットの企画に携わっていたときに、「柔らかい素材でできた、会話のできるソーシャルAIロボット」というコンセプトを提案したことがあります。柔らかさがもたらす愛着や愛嬌に強く可能性を感じたのですが、ソフトロボティクス自体が新しい研究分野で、ビジネス化は時期尚早と判断されました。それならアカデミアの立場で柔らかいロボットの可能性を明らかにし、社会実装を早めることに貢献した方がいいのではと思ったのです。

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