生活保護受給者を追い詰める「就労指導プレッシャー」の功罪

生活保護受給者を追い詰める「就労指導プレッシャー」の功罪

「働けるのに働かない」。生活保護受給者は、そんなレッテルを貼られがちだ。行政の就労指導にも、そんな偏見がにじみ出ていないだろうか(※写真はイメージです)

  2018年、政府は生活保護法再改正・生活保護基準見直し(≒引き下げ)を予定しており、2017年度に入って、それらを視野に入れたものと見られる動きが活発化している。大きな焦点の1つは、生活保護世帯に対する就労指導の強化と、従わない場合のペナルティの強化だ。

 しかしながら、「働けるのに働かず、生活保護に甘えている」という状態にある人が多数いるという実感は、私には全くない。私から見ると、「働きたくない」は「働けない」のバリエーションの1つだ。そもそも「働けるのに働きたくないから働かずに生活保護」という人に対して、就労意欲アップ、本人に適した仕事探しや仕事づくり、就労後の就労継続のためのフォローアップなどを丁寧に行うには、支援者の人件費その他の費用、受け入れ企業側の環境整備費用、もちろん本人の給料その他の費用が必要だ。

 もちろん、生活保護費コストを別のどこかに“付け替え”することに成功すれば、表面的には「就労促進によって、生活保護費削減に成功した」ということになる。税収も若干は増加するかもしれない。しかし、それらを考慮しても、社会的コストの総額は減少せず増加するかもしれない。

■就労指導を受ければ生活保護を抜け出せるのか?

 今回は、生活保護のもとで就労指導を受け、生活保護脱却へと向かう野神健次郎さん(仮名・53歳)の経験を通して、就労指導の“いま”を眺めてみたい。

 野神さんは高校卒業後、専門学校に進学したが、在学中に就職した。

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