リスクとブラックスワンの決定的な違いを 金融の専門家すらわかっていない

金融業界は今や、政治を動かし、一度揺らいでしまえば日々の暮らしを左右する存在になってしまった。世界的に尊敬を集める世界最高のエコノミストの一人であるジョン・ケイは、最新刊『金融に未来はあるか』で、他の産業とは違う特別な存在であるかのように語られる金融業界の神話を切り崩し、巨大銀行の業務の大半が社会にとっていかに有害無益であるかを解き明かす一方で、リーマン・ショック後、金融業界の肥大化を抑制するために導入された膨大な規制も逆効果だと断じ、銀行を「よそ様のお金を預かる」まっとうなサービス業に回帰させていくための全く新しい改革案を提示する。フィデューシャリー・デューティー、ガバナンス・コード、スチュワードシップ・コードなどを提唱し、日本の金融庁などにも大きな影響を与えたことでも知られるジョン・ケイのザ・エコノミスト、フィナンシャル・タイムズ、ブルームバーグでベストブック・オブ・ザ・イヤーを獲得した著作『金融に未来はあるか』からエッセンスを抜粋する。

■ギャンブルの偶然を自分でコントロールできると思いこむ人が多いのはいったいなぜなのか?

 毎週、何百万人もの人々が買い求める宝くじは、賭けである。皮肉屋のアドバイスによると、締め切りぎりぎりに買うほうがお得だ。さもないと1等を勝ち取る確率よりも、結果が出る前に死ぬ確率のほうが高くなるから。

 しかしこの計算は、宝くじを買うという行為を誤解している。

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