測定すべきはリスクではなく「◯◯」。『反脆弱性』で明かされた今私たちに必要なもの

リーマン・ショック、アラブの春、地震と津波、そして原発事故……。私たちは今、昨日までは「ありえない」と言われたことが、今日、現実のものとなる不確実な世界で生きることを強いられている。ではどうすれば、ランダムで、予測不能で、不透明で、物事を完璧に理解できない状況でも、不確実性を味方につけて、したたかに生き延びていくことができるのだろうか――。
サブプライムローンに端を発する金融危機を喝破し、ベストセラー『ブラック・スワン』で全世界に衝撃を与えた「知の巨人」タレブが、その「答え」を見つけた最高傑作『反脆弱性』から、「プロローグ」を順次公開していく連載第3回。リスクの測定や未来の予測を否定するタレブが提案する、真に測定すべきものとは?

■頑健なだけじゃダメ

 母なる自然は“安全”なだけじゃない。破壊や置き換え、選択や改造を積極的に繰り返す。ランダムな事象に関していえば、「頑健」なだけでは足りない。長い目で見れば、ほんのちょっとでも脆弱なものはすべて、容赦ない時の洗礼を受けて、壊される。それでも、私たちの地球はまあ40億年くらいは生きている。とすれば、頑健さだけじゃない、何かがあると考えるのがふつうだ。

 小さな亀裂がシステム全体の崩壊につながらないためには、完璧なる頑健さが必要だ。だが完璧な頑健さなどありえないことを考えると、ランダムな事象、予測不能な衝撃、ストレス、変動性を敵に回すのではなく、味方につけ、自己再生しつづける仕組みが必要なのだ。

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