偽装死で「人生リセット」は本当に可能か

偽装死で「人生リセット」は本当に可能か

別の人生を歩もうとネットの威力を逆手にとり、「偽サイトを作って攪乱させれば、情報消去よりもたやすい」と考えていないだろうか…(写真はイメージです)

 あぁもう何もかもイヤになった、生まれ変わってやりなおしたい。誰だってふとそう考えることはあるだろう。残念ながら、生まれ変わるのは生物学的に不可能だし、よしんばできたとしても、それまでの記憶がなくなってしまうのだから意味がない。しかし、死んだことにして、別の人生を歩み始めることならばできるかもしれない。そんな可能性を探っていく一冊だ。

 『偽装死で別の人生を生きる』の著者であるエリザベス・グリーンウッドは、大学院を出て小学校の先生になったアメリカ人女性。トランプを大統領に選び出す原動力となったラストベルト出身で、そんな地域から脱出するために高学歴を身につけた。しかし、その代償として、6桁のドルというから、1000万円以上の学資ローンを背負い込んだ。

 利息を計算すると、生涯に返さないとならない金額は50万ドル、6000万円近くにもなる。いまの生活から考えると、そんなことは不可能だ。たとえ返せるとしても、借金返済のためだけに一生を送るのはイヤだ。いささか身勝手な理屈だが、グリーンウッドは考えた。死んだことにして、別の人生を歩み出せばいいのではないかと。そして、調査を始めることにした。その結果が、それぞれの章にまとめられている。

 まず訪ねたのは、『失踪請負人』フランク・アハーンだ。この人の本は読んだことがある。日本ではあまり話題にならなかったが、アメリカではベストセラーになったという『完全履歴消去マニュアル』の著者である。

1 2 次へ

関連記事(外部サイト)