他社事例ばかりを気にする 企業が後を絶たない理由

企業では、業務改革やシステム導入などの新しい取組みを企画する際に事例情報を求めることが多い。しかし、当該案件に合致する事例を探すことは容易ではないし、同様の取り組みを行った企業があったとしても、それが自社にそのまま当てはまることは稀である。

■事例研究の目的とその功罪

 欧米においてもケーススタディは有効な調査研究手法の1つであると認識されているが、前例主義的な観点から事例を求めるのは国内企業の特徴といえる。

 ITRはリサーチ会社であるため、顧客から事例の紹介を求められることが多い。事例研究自体は無駄なことではないが、重要なのはその目的と活用方法である。事例研究の主な目的は、他者の取り組み状況や実態について知ることで自社のポジションを確認したり、自社が取り組むことの妥当性を確認したりする、成功した企業の「ベストプラクティス」を知ることでそれを真似る、他社が同様の取り組みで苦労した点、失敗の要因などを知ることでリスクを軽減するといったことが挙げられる。

 一般に、ユーザー企業がシステム導入や業務改革などを企画する際に、事例を求める理由は大きく2つあり、1つは上司(決裁者など)が求めるからであり、もう1つは自分自身が何かのヒントを得たいからである。

 前者の場合は、主に前例主義的な観点からの要求に対して裏付けを示すことを目的としている。後者の場合は、未経験な領域への挑戦であるため先行者の道程から教訓を得ることが目的となるだろう。

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